中国共産党政府との関係を見直そう(78)。「戦後」の世界について考える(15)。中国共産党政府に未来はあるか?

民主化する中国に緩衝地帯はいらない

中国は北朝鮮を助けない

長谷川慶太郎「中国は民主化する」(2020.3.26初版)よりー(4)氏は2019年9月3日、91歳で他界されました。謹んでお悔やみ申し上げます。

北朝鮮はいらない

「中国にとっての北朝鮮とは、民主主義国家との緩衝地帯です。ですので、中国が共産主義国家でなくなればいらなくなります。民主化を成し遂げれば中国は、不要になった北朝鮮を切り捨てるでしょう。そうなれば北朝鮮は消滅し、その後は韓国が主導して朝鮮半島を統一すると思います。親北派である韓国の文在寅大統領は、北朝鮮主導のもと朝鮮半島を統一したいと考えているという憶測が一部で流れています。しかし私はそうは思いません」

「共産主義国家である北朝鮮の主導で統一したら、韓国国民の自由はなくなるでしょう。そして『自分(韓国国民)たちも粛清の対象にされるのではないか』と恐れることになります。それに、韓国と北朝鮮の経済力は『月とスッポン』です。こうした状況を考えると、朝鮮半島は韓国主導のもと統一される可能性が高く、統一の日は決して遠くありません

中国は北朝鮮を助けない

「朝鮮半島統一となれば、北朝鮮の社会資本ー鉄道、通信、発電所、上下水道などーを、すべてつくり替える必要があります。でも、北朝鮮の鉄道を修復するだけで何兆円もかかると言われています。しかし中国は、ここで北朝鮮を助けないと言っています。そもそも他国の面倒を見るような余裕が今の中国にはないのです」

誰が飢えた国民を食べさせるのか

「北朝鮮が崩壊したのち、金正恩の後継者は誰になるかわかりません。しかし中国は、新しい北朝鮮を統治できないでしょう。なぜなら中国はその負担に耐えられないからです。新しい朝鮮統一国家は北朝鮮国民2520万人を食べさせなければいけません。でも新しい政権ができたからといって、北朝鮮の深刻な食料不足がすぐ解決するはずがありません。では当面どうするか。他国から緊急に支援してもらう以外にありません。しかし北朝鮮に無償で大規模な食料援助をするほど余裕のある国家は、どこにあるのでしょうか。もちろん今の中国ではなく、韓国やアメリカ、ヨーロッパ諸国などにもありません。

援助ができる国はただ一国、日本です。この件については後で詳しく述べます。さらに言えば、電力不足や、医療体制の不備などへの対策も講じないといけませんが、これに『力』を貸せる国家も日本しかありません。中国はカネや物資の支援はしませんが、後ろ盾にはなります。そして、新しい北朝鮮国家は韓国の主導の下、朝鮮統一へ向かうものと見られます」

1日に100万人以上の難民が押し寄せる

韓国国内は大混乱に陥る

「難民問題です。先ほども触れましたが、食料不足で飢餓状態にある北朝鮮の国民が38度線を突破して韓国に流れ込んできます。その数は1日に10万人、20万人どころではありません。1日当たり100万人を超えると予想されます。最終的には約2000万人もの北朝鮮難民が韓国に押し寄せることになるでしょう」

「問題は、食料品の備蓄がほとんど韓国にないことです。北朝鮮が崩壊して数十日が経過したら、間違いなく韓国に食料はなくなります。韓国国民も飢えはじめ、北朝鮮の難民への食料提供をストップさせるでしょう。すると、韓国国内にある、コンビニや食品スーパーに難民が押し寄せ、暴動が発生する可能性があります。韓国国内は大混乱に陥ることは火を見るよりも明らかです。韓国には約5000万人の国民がいます。北朝鮮の難民約2000万人を合計した約7000万人以上の人々に食料を提供することは至難の業です」

〈詳しくは氏の本をお読みいただきたいと思います〉

 

 

中国共産党政府との関係を見直そう(77)。「戦後」の世界について考える(14)。中国共産党政府に未来はあるか?

習近平は日本に接近する

習近平に甘い顔をしてはいけません

ー長谷川慶太郎「中国は民主化する」(2019.9.26初版)よりー(3)氏は2019年9月3日、91歳で他界されました。謹んでお悔やみ申し上げます。

「中国は経済的に大きく落ち込んでいることから、必ず日本に秋波を送ってきます。それは間違いありません。なぜなら、日本には豊富な資金と技術力があるからです。具体的には1800兆円にも及ぶ個人金融資産がありますし、企業にも460兆円を越す内部留保がある。中国はこれを狙っています。また中国が欲しがる技術力とは、ハイテク技術、公害防止技術、軍事技術などです。

今アジア諸国において資金面で余裕のある国家は日本だけです。現在、対立状態にあるアメリカが、中国に資金的な援助をするわけがありません。こうした中、2020年に習近平は国賓として国家主席となって初めて来日します。このとき安倍首相はどのように対応するか。これが問題となります。

結論を言えば、安倍首相は来日した習近平に甘い顔をしてはいけません。言うべきことは言うという姿勢が必要です。その姿勢があれば中国への支援は可能でしょう。何を習近平に言うべきなのか。尖閣諸島の領海に中国の公船が侵入している件についても、はっきりと抗議すべきです。そして『これからは侵入しないという約束を取り付けるべきでしょう。

また、反日教育の廃止、そして新疆うウイグル自治区やチベットで行われている人権無視の政策を即刻、止めさせることが会談で話し合われるべきです。

天安門事件の後、中国に最初に援助の手を差し伸べた日本が、その後、中国の『裏切り』にあったわけですから、再びそのようなことに陥らないようにすることが、絶対条件です。何らかの知恵が必要だと思います」

 〈詳しくは氏の本を読んでいただきたいと思います。コロナの感染拡大で習近平の国賓来日は延期となりました。〉