アメリカで何が起きているのか?(23)。「世界の混沌を一段と広げるきっかけにもなりかねない」(日本経済新聞)

アメリカの民主党系マスコミはバイデン政権について厳しい見方を示しています。11月4日のワシントン・ポスト紙とABCテレビの世論調査によれば、バイデン大統領の支持率は41%と非常に低迷しています。また副大統領のハリス氏については、「最も人気のない副大統領」(ワシントン・ポスト)、「機能不全」(CNN)などと最悪の評価を下しています。11月7日の米紙USAトウデーの世論調査によれば、ハリス氏の支持率は27.8%です。

このような中で”民主主義サミット”が行なわれたのですが、日本経済新聞のワシントン支局長の菅野幹雄氏は、

「指導力に陰りのみられるバイデン氏が仕掛けた民主主義再建の賭けは、世界の混沌を一段と広げるきっかけにもなりかねない」。

と否定的な評価をしています。さらに、

中国は、「分裂と対立を扇動する米国の行動は世界に大きな動揺と災いをもたらすだけだ」。ロシアは、「冷戦時代の思考の産物で、イデオロギー対立と世界の分裂を煽り新たな分断を生み出す」。招待されなかったハンガリーは、「無礼だ」。同じく招待されなかったタイは、「招待されれば参加の是非を判断しなければならなかった」

招待された国についても、

米ワシントンポスト紙は今回招待されたパキスタンやフィリピンの人権問題に触れ「資格があるとは思えない国も含まれる」

など民主党系のメディアの報道を紹介しています。 さらに12月12日の日本経済新聞は主張欄で、

「敵と味方を区別するような手法は分断を深める懸念が否めず、無用な摩擦を生じないような配慮があってもよかったのではないか」「米国でも連邦議会議事堂への乱入など民主主義を揺るがす事件が起きた。足元を見つめ直す必要があろう」。

と極めて厳しい意見を述べています。もし今回の〝民主主義サミット”が単に「米国民主党の価値観」を世界に広める意図で開催されたのであれば、現在の分断された米国社会の状況が世界に拡大するだけの結果を招くこととなり、強く危惧します。

アメリカで何が起きているのか?(22)。「国民はバイデン大統領にイエローカードを出していると言ってよいだろう」(著述家・山中俊之 JBpress)

JBpress 2021.11.22 「バイデン大統領の不人気で囁かれるトランプ氏の再登板は吉か凶か」(山中俊之: 著述家/芸術文化観光専門職大学教授)と題する記事からの引用です。

バイデン氏の支持率は2021年7月には40%台に落ち、11月現在では30%台との調査もある。歴代大統領に比しても、下落が早く、底飛行であることは間違いない。それだけではない。11月に実施された「USA TODAY」の世論調査では、60%以上の有権者が「バイデン氏は再選の大統領選挙に出馬すべきではない」と答えている。1期目の大統領は再選に向けた大統領選挙に出馬することが通例だ。出馬自体に否定的な世論は異例といえる。国民は、バイデン大統領にイエローカードを出していると言ってよいだろう。

バイデン大統領の低支持率に加えて、副大統領のカマラ・ハリス氏の評価はさらに異常なまでに低いようです。古森義久氏の「あめりかノート(12月5日産経新聞)」によれば、

バイデン政権びいきのCNNテレビまでが11月、ハリス氏の軌跡を取り上げて、「機能障害」と断じた。そして、副大統領としての職務能力を有していないようだというホワイトハウス内部の声も紹介した。さらに同じ時期、民主党寄りではないウオールストリート・ジャーナル紙が「ハリス氏へのパニック」と題する社説で民主党内に懸念が生まれたと論評した。次回の大統領選挙ではバイデン後の候補としてハリス氏を推すという展望が崩れつつあることへのパニックだという趣旨だった。

バイデン氏に対して米国民はイエローカードを出し、ハリス氏に至っては副大統領の職務能力を有していないとの評価が下されているという。アメリカは大丈夫なのか?