経済安全保障担当大臣・高市早苗衆議院議員の「さっぽろ自民党政経セミナー2024」(2024・5・18開催)より一部紹介します(4)。

【高市早苗】次にですね、皆様にお願いをしたいのは、今回の法律の対象はあくまでも、国が保有する情報なんです。国が保有する情報、ですから日本国政府が独自に分析をしたりして持っている情報だったり、あとは外国政府から、同盟国や同志国から、今日本危ないことになっているよということで提供された情報なんです。ようは国が保有する情報、だから民間事業者が最初から持ってた技術とかそういうのは当然対象外。国立研究開発法人も実は対象外。ここはいろいろ議論があったんですが、むかし行政改革があって、独立行政法人というのができて、国立研究開発法人も独立行政法人の中に入っています。独立行政法人の通則法というのがあって、これは本来は必要なサービスなんだけれども、必ずしも国がやる必要はなくて、かといって民間にすっかりお任せしたらやってもらえないかもしれないことをやっていただく。それが独立行政法人。だからいろんな研究所もありますし、その他のサービスをしているところもある。だから今回の経済安保版のセキュリティクリアランス制度の対象外なんです。そうすると国立研究開発法人にお勤めの方々、それからできましたら大学などの研究機関の方々で、民間企業で研究されている方々に、研究者だけではなく経営者の方に、特に心に留めて頂きたいのは、大事な本当に重要な「営業秘密」、これは営業情報も営業秘密に入りますが、技術情報も重要なものは営業秘密に入ります。これらは「不正競争防止法」をしっかりと活用していただきたい。ということです。不正競争防止法のほうが実は今回新しく成立した法律よりも、漏らした場合の罰則はきついです。10年以下の懲役が最高刑。今回、私が国会の皆様にお世話になって、成立させていただくことができた重要経済安保情報の保護及び活用の法律、これは重要経済安保情報を漏らした場合の最高刑は5年の拘禁刑です。懲役と拘禁刑の違いは、皆さんもお分かりだと思いますが、来年の6月から刑法が変わりますよね。改正刑法で、懲役刑っていうのがなくなって、拘禁刑というのになりますんで、それで今度は拘禁刑となっているんですが、不正競争防止法の方がはるかに罰則としてはきついんですね。ただやっぱり自分のところが持っている大事な研究開発した情報とか技術、それから営業先の大事な情報、これを辞めた従業員に持ち出されないように、もしくは現役の従業員の方が、よそに売り飛ばしてしまわないように、そういうふうにして秘密を守っていくためには3つの要件を満たしていただく必要があります。

一つ目の条件というのはこれは「秘密管理性」と言われます。要はこれは営業秘密、うちの会社にとって、またうちの研究所にとってものすごく大事な営業、もしくは技術上の秘密です、というだけの管理をしていること、ようは誰でも見れると社員が、そうじゃなくて、特定の方のアクセスできる重要な情報として管理している。「秘密管理性」っていうのが一つございます。

経済安全保障担当大臣・高市早苗衆議院議員の「さっぽろ自民党政経セミナー2024」(2024・5・18開催)より一部紹介します(3)。

【高市早苗】昨日、施行にはなっていないのですが公布された、皆様に正式にですねお披露目された新しい法律が1年9ヶ月もかかってかかってしまいましたけれども、私が一生懸命自分なりに取り組んできた経済安全保障版の「セキュリティクリアランス制度」でございます。「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律」が昨日公布されました。公布の日から起算して一年以内にこれも施行されていきますので、これから政令ですとか運用時基準を定めていくということなんですね。これももうみなさま新聞等でご承知かもしれませんけれども、セキュリティクリアランスって何やと、簡単に言うたら日本の安全保障に関わる重要な情報をちゃんと指定します。だから役所のファイルなんかでも、一つのファイルの中のほんの数行、すごく重要なこれが外に漏れたら安全保障に影響が及ぶような、そういう情報がある場合、そこが例えば経済、経済安保に関する情報だったら、重要経済安保情報です、ということでちゃんと表示をします。で、この指定された重要な情報を取り扱える人、最初に取り扱うのは国家公務員になります。国が保有する情報ですから、この国家公務員の方が取り扱う、そしてまた民間事業者の方と一緒にやらなければならないことがありますよね例えば国が持っている情報で近々、大規模な例えば電力施設を狙ったサイバー攻撃があるかもしれないと、どうもありそうだと、いうような情報があった時に、その民間事業者とも当然情報を共有して、どこに脆弱性があるのかという分析をしてくださる事業者もそこに当然入ってくるわけですよね。でもその脆弱性が先に攻撃者にバレちゃったら本当に攻撃されちゃいますから、例えばなんですがそういったケースが起きた時に、国がキャッチした情報、外国からもたらされた情報、国が独自に得た情報、こういったものを「重要経済安保情報」というふうに指定をする。指定をした上でそれを取り扱う国家公務員及び一緒にやってくださる民間事業者の方に、この適正評価のための調査を受けていただきます。例えばすごい借金がないかとか、その借金を持ってですねどっかにその情報を売り渡しちゃったりしたら困るんで、借金がないかとか冷静にいろんな判断ができるか、自らを律することができるかということで、大変申し訳ないんですが、アルコールに関する節度であったり、それから精神疾患であったり、ちょっとプライバシーに関わるようなものも含めて、適正評価の調査をさせていただいて、「セキュリティクリアランスホルダー」になっていただく。重要な情報を取り扱う、アクセスする資格を持っていただくそういう制度なんです。これはG7、プラスオーストラリアと見比べましても、よその国ではとっくに整備されてもうスタートしている制度でございます。

これまで日本にあった同じような仕組みの制度、情報保全制度っていうのは安倍晋三元総理が本当に内閣の命運をかけて成立させた「特定秘密保護法」でございました。これも全く同じ仕組みです。特定秘密を国が指定して、それを取り扱う人はさっき申し上げたような調査を受けていただいて、この人は信頼できるとされた人だけがそれを取り扱う仕組みでございます。ただ特定秘密保護法の場合は対象が、外交・防衛それからもう一つは特定有害情報、テロも特定有害情報ですから、スパイなどの防止、それからテロリズムの防止、この4つだけだったんですね。この4分野に限定されていたので、どうしても、例えば民間の重要な施設が攻撃を受けるかもしれないとか、それから私たちの暮らしにとって重要なサプライチェーンが、ここで断たれるような情報があるとか、日本のサプライチェーンのここにものすごい脆弱性があると、でもそれはちょっと今は伏しておきたい、そういった情報があった場合に、これらは経済安全保障上のセキュリティクリアランス制度のもとで、保護をしながら、民間事業者の方と協力しあって解決していこう、こういった法律でございます。