今、注目の共産党について考える(50)。共産党に民主主義はあるのか?
誰よりも民主主義を尊重し民主主義を守り抜くと、民主主義の旗手を自認する日本共産党。しかし日本共産党内では民主主義が実践されているのでしょうか?共産党内では、私たちが理解する民主主義とは全く異質な、と言うより民主主義という名に値しない「民主集中制」という独裁が行われているということです。兵本達吉氏に再び登場してもらいます。同じくWiLL5月号への寄稿文の中で、兵本氏は「日本共産党には、『民主集中制』という組織原則がある。これは、旧ソ連や現在の中国で行われている上意下達のシステムで、政治的決定は上から下へ下されるだけ、下部の党員は上の決定事項を黙って実行せよ、という原則である。指導部の方針と違ったことを話すと、規律違反として『査問』にかけられる。また、別の支部に所属する党員と話をしただけで、分派行動として処分される。党内で党員同士が自由に討論する権利も場もない」。「旧ソ連や中国では、スターリンや毛沢東に不都合な質問をすれば、それだけで失脚させられたり、最悪の場合には銃殺された。現在の北朝鮮は多分、こういうふうに最高指導部が運営されていると思う。日本共産党も、実質は旧ソ連や中国と変わらないのである。日本共産党には、中世の武家社会よりも厳しい上下の身分関係がある」と、驚くような党内事情を語っています。共産党は民主主義の旗手を標榜していますので、共産党内は民主主義のお手本となっていると思っている人も多いのではないかと思います。
ところがどっこい。旧ソ連や中国、北朝鮮と「実質は変わらない」と兵本氏は言う。「中世の武家社会よりも厳しい上下の身分関係がある」と言う。言い換えれば共産党内は民主主義とは無縁の独裁だということです。
ではなぜ、共産党は(内部は独裁なのに)外に向かって民主主義の尊重を訴えなければならないのでしょうか?まず言えるのは印象操作、親しみをもたれるようなイメージを作り出すためと言えます。次には、言論の自由がここまで保証されている日本のような民主主義の世の中でなければ革命政党共産党という党は存在できないので、民主主義を強調せざるを得ない事情があるからと言えるでしょう。さらに言えば革命に向けての準備活動は日本のような民主主義の世の中であれば容易だからということでしょう。共産党は本音で民主主義を尊重しているのではなく、民主主義という言葉を革命のために利用しているだけにすぎません。
共産主義の価値観からすれば、必要なのは民主主義ではなく、民主主義とは全く異質な「民主集中制」なのです。上意下達ですから、少数意見の尊重なんてありえない話であります。『民主』という言葉を使って独裁を隠蔽し国民を欺こうとしています。いったん革命が成功すれば、民主主義など認めず、旧ソ連や中国、北朝鮮のように共産党の一党独裁と「民主集中制」によって独裁政治を完成させるということです。共産党の独裁によって共産主義社会を永遠に存続させようという魂胆です。共産党のいう「民主集中制」とは、「独裁」を意味する言葉でしかありません。。