大阪の都市制度改革の必要性について考える(45)。自民党の反対理由について考える。

平成26年10月の市会本会議での質疑より。

『自民党』

・「二重行政はそんなにないんです。先ほどおっしゃったことを解決するのに大阪市を廃止して解体するほど、それほどしないとできないものかどうかということをきちっと伝えるべきです。国会での議論の中身、正確にとおっしゃいますけれども、デメリットがあることは明確です。しかし、市長はデメリットは一切おっしゃいません」

・「二重行政も含めてきちっと大阪会議で議論していけばいいと思います」

《橋下市長》

・「ぜひ、協議で二重行政の解消ということを議員もおっしゃっていただいていますので、いろいろな統合案件について、これはしっかりともう年内に解決すると、解決していただいた上で、やっぱりこれ今のままでできるじゃないかという議論にしていただいたら、より説得力を増すんではないでしょうか。二重行政の解消の問題について議会で否決しておきながら、二重行政を今のままでも解消できるというのは、これこそ論理矛盾であって、もう少し市民の皆さんに、この大阪市議会において、また大阪府議会において二重行政の解消案件については否決していますということを、はっきりと市民の皆さんに示してもらった上で、今のままでも二重行政は解消できますという論理矛盾を是非公にしていただいてほしいと思っています。ただ、年内に幾つも掲げている二重行政の解消案件について、きちっと解決ができるということであれば、確かに今のままでも解決できるんだなというふうに、これも住民の皆さん、そう思われると思いますので、ぜひ行動で示していただきたいと思っております」

『自民党』

・「我々、二重行政の否決は、反対のために反対しているわけではなくて、市民にメリットがないから反対しているんです。これを早くしろということは、市民は犠牲になってもいいから、それこそ広域のために犠牲になれというふうにしか聞こえてなりません。我々は、市民のメリットがないから反対をしております」

《橋下市長》

・「二重行政の案件について、市民の利益にならないから反対しているんだというふうにおっしゃられましたが、そのことがまさに二重行政の象徴例です。大阪府議会、大阪市議会という意思決定機関が2つある。広域行政で仕事が重なっているところで府議会、市議会という2つの意思決定があるので、これ、議員は市民の利益というふうに言うんですけれども、それが本当に市民の利益にならないのか、片や府議会の方では賛成している、この状況をどう捉えるのか、これが二重行政そのものですから、市民の利益を考えているということはおっしゃられるとおりだと思うんですけども、そのような広域行政を担う意思決定機関を2つ大阪府内に置いているという事が二重行政であることもご理解いただきたいと思っております。これがきちっと仕事の役割分担ができれば、大阪府議会と特別区議会の意思決定が相反しても全然問題ないんですけども、同じ広域行政のところで府議会と市議会の意思決定が相反するということは、これは本当に市民の利益を考えているのかどうなのか、府民のことも考えなきゃいけない、そういところがないがしろにされてきたのが大阪の二重行政の政治の象徴だと思っています」

『自民党』

・「大阪市を廃止・分割する大阪都構想に至っては、大阪市を大阪府の子会社化に、いや、まるで植民地にでもするかのごとくの構想。なぜそんなに急がれるのでしょうか。一度都区制度へ移行してしまえば、元の大阪市に戻る法律はありません。もとの大阪市に戻る法律がない以上、市民が支払うツケは無限大になります」

詳しくは議事録を読んでいただきたいと思いますが、以上自民党の反対理由と橋下氏の答弁を見てきましたが、皆さんはどう思われるでしょうか。大阪都構想は、大阪市を含めて大阪全体がよくなるための提案ですが、自民党の最後のフレーズは被害妄想のように感じます。一体どこからこのような感情が生まれてくるのでしょうか?

 

大阪の都市制度改革の必要性について考える(44)。自民党の反対理由について考える。

平成26年10月市会本会議での質疑より。

『自民党』

・「特別区が設置されることによって、関係市町村の住民には住民サービスの提供のあり方という大きな影響をうける。また、指定都市廃止に対して権限や税財源の面でいわば格下げとも言える事態が生じて、通常の市町村合併以上に住民の生活等に大きな影響がある」「大阪市民は損をする」

・「市長は、協議では何も決まらない、二重行政解消のためには指揮官を一人にする必要があるとかたくなに主張されております。市長がそのかたくなな態度を改め、議会と真摯に向き合い、議論を進めれば、十分に協議をまとめることは可能であります。特別区に移行することだけがその唯一の解決手段ではありません。無理やり特別区に移行されるよりも、大阪会議では素早い対応が可能ですし、大阪の為にも大阪会議を設置し、ともに議論を始めたいと考えますが、市長の見解をお伺いします」

《橋下市長》

・「不利益に確実になる案であれば我々も提案しません」「今回の大阪都構想の協定書は大阪市民の利益になる案として僕はつくりあげましたので、損になっていることは全くありません」

・「本来、住民自治の規模で考えたら、全国で1700ある自治体のうち85%が10万人未満なわけですよ。そしたら、今の24区という視点から見れば、今の区役所は何の権限もないし、財源もないわけです。だから、今のこの区役所、大阪市の出先機関である区役所をもっと拡充していこうというのが、この大阪都構想のもともとの考え方なわけですから、財源についても、今、大阪市が持っている財源、減るわけでもありませんので、住民サービスに使う分はきちっと確保した上で、そして各区間の格差というものをきちんとルールに基づいて透明性のある形で是正をしていく。そして、選挙で選ばれた長が大阪市内に複数人誕生することによって、きちんと大阪市内、地域の実情に応じた決定をする。これがニア・イズ・ベターですよ」(平成25年11月市会本会議)

・「協議をして解決ができるんじゃないかという議員のご指摘も、これもありがたいお話です。そうであれば、大阪都構想をせずに協議で解決できるというんであれば、まず港の一元化とか病院の統合、もっと言えば環境科学研究所と公衛研ですか、それから市立工研と産業技術総合研究所、もっと言えば大学の統合、・・・地下鉄の民営化問題も含めて全部これを解決した上で、ほら、大阪府庁、大阪市役所のままでも全部二重行政はなくなるじゃないのということを示した上で、今のままでも大丈夫だということを言っていただきたいので、ぜひ、府市統合本部に議員の皆さん入っていただいて、スピード感を持って決定できるということでありますから、年内に全てこれ議案解決していただいたら、大阪都構想については議員の考え方も踏まえて今後どういうスケジュール感でやっていくのか、また検討させていただきたいと思っています」