4月9日、大阪市大で行われたシンポジウムの異常性。(2)

大阪市大で行われた、いわゆるシンポジウム(政治集会)で使われた、藤井聡京大大学院教授の「データーで振り返る『大阪ダブル選挙』」と題するレジメを見てみます。その中で都構想賛成・維新支持の人々の特徴と題して次のように書いています。【要するに、「真実」を知っている人は、大半が都構想にも維新にも反対する。でも、大半の人が都構想の「真実」を知らなかった(だから、都構想の結果は拮抗!真実が知られていれば、あっさり否決されていた)。なぜそうなったのか…「為政者の詭弁(=ウソ)」が原因では?これを「実証的・学術的に検証」】という文章がこのレジメに記載されていました。その“実証的・学術的分析”で藤井氏は【橋下氏は、TV発言の約半分が詭弁】だと一方的に断定しています。しかし、真摯に大阪のあるべき姿について考えている人を、“真実を知らない人”としてレッテル貼りしたり、また都構想賛成者が69万人に達したことについて、都構想に対する対案を出せなかったことを顧みることもなく、無理やりに「為政者の詭弁」という理屈を持ち出し、批判する姿勢は見苦しく感じます。藤井氏のこのような指摘は全くの的外れで、真実は全くの逆であります。都構想の住民投票で敗北した大きな要因の一つは、市民の不安を煽る目的で、都構想反対者によって、“都構想が実現すれば税金が上がるとか、健康保険の保険料、市営住宅の家賃、水道料金などが値上げされる。区役所がなくなる”等など、市民の不安を煽るための、偏見に満ちた情報が意図的に大量に流布されたことにあります。さらに“住民投票は何度でもできるんです。したがって、迷っている人は今回はとりあえず反対しましょう”などという呼びかけなども、反対者によってなされました。真実は、「真実」を知っていれば、さらに多くの賛成を得ることができたと言えるでしょう。人口減少・少子高齢化社会にあって、大阪のあるべき姿について真摯な議論がなされることを期待しております。しかしどう考えても、大阪市大杉本キャンパスで行われたシンポジウムは政治集会としか思えません。

大阪の都市制度改革の必要性について考える(14)。人口減少社会への提言。

元千葉県我孫子市長、中央学院大学教授の福嶋浩彦氏。

「これから30〜50年は出生率が多少上昇しても、日本全体の人口減少は確実に進む。子どもを産む世代の人口が既に決まっているからだ。《従来の社会の仕組みを維持していくには人口が減ると困る、何とか食い止めよう》ではなく、人口減少の中で皆が幸せになる、持続可能な仕組みに変えていくことが必要だ。自治体の首長には、こうした方向をしっかりと住民へ提起する勇気と、住民合意をつくり出して行くリーダーシップが求められている」。

「自治体は、人口奪い合いの不毛な競争をするのではなく、地に足がついた、持続可能な地域づくり戦略を立てる必要がある」。

「人口減少社会というのは、特別な地域だけでなく、普通の自治体が全て人口減少する。その時、今までの社会の仕組みを維持し、従来通りのやり方を続けるには人口が減ると大変だ、と言っている場合が多い。そうではなく、人口減の中で皆が幸せになる仕組みとやり方に変える必要がある」。

「人口減少社会では、何をやり、何をやめるか、適切に判断する必要がある。そのための住民の合意づくりが問われる」。(Governance February 2016)