(1)中国共産党は世界平和家庭連合(旧統一教会)をどのように評価しているのだろうか?

遠藤誉氏(筑波大学名誉教授・中国問題グローバル研究所所長)は、中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」に掲載された記事を分析し、「中国は統一教会を邪教と位置づけ、日米政界が統一教会に牛耳られているとみなしている」との見解を表明しています。同氏によって和訳された「環球時報」の記事の内容がYahoo!NEWSに出ていましたので紹介いたします。日本のメディアや日本政府の動きに大きな影響を与えているように思われます。

以下Yahoo!NEWSより、

中国にも統一教会が潜入した時期があり、中国は邪教として公安部が動き駆逐した。しかし日米は選挙のため統一教会を利用してきたため、統一教会にビジネス帝国を築かせ、台湾問題を煽るのを許したと中国は見ている。

【環球時報の書き出し】

7月19日、中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」は〈日米などの保守的政治勢力と緊密な関係を築き、“統一教会”は多くの国の政界に密かに浸透してきた〉という見出しの報道をした。それをつぶさに考察したい。

安倍晋三元首相が銃撃で亡くなったことで、韓国で誕生した謎の組織、世界平和統一家庭連合が世界の注目を集めている。1950年代に設立されたこの組織は日本だけで数十万人、世界中では数百万人、いや数千万人の信者がいるとも言われている。統一教会の創設者である文鮮明は、さまざまな国の指導者や政治家に固執することを好み、特に日米の保守的な政治勢力と緊密な関係を築いてきた。この組織は反共産主義活動に従事しており、メディアや政治家を利用して「中国本土が台湾を武力攻撃する」という噂を作り上げてきた。しかし長期にわたる統一教会の活動は、多くの国で人々の日常生活を破壊してきたのに、日米などはそれを黙認し、中国やシンガポールなどの国では邪教(カルト集団)として厳しく取り締まってきた。(ここまで概要を引用)

【「現代的企業管理観念」を持つ邪教組織】

文鮮明は1920年に現在の北朝鮮の小さな村で生まれたと自称している。朝鮮戦争が休戦協定した 翌年の1954年、文鮮明は韓国に世界キリスト教統一協会を設立した。

韓国では直ちに多くの若者を魅了し、統一教会は設立から一年以内に、韓国に約30の教会活動センターを設立した。文鮮明が1960年代初頭にソウルで最初の合同結婚式を主催して以来、統一教会の規模は拡大し始めた。2012年、統一教会のスポークスマンは「統一教会は194の国と地域に宣教師を派遣し、世界中に300万人の信者がいる」と主張した。ロイター電によると、「世界中に数千万人の信者がいると主張する信者もいる」とのこと。

1963年、文鮮明は韓国に統一教会財団を設立し、その子会社はレジャー、建設、防衛、化学、自動車部品などのさまざまな産業で事業を展開した。

アメリカでは、統一教会の下で、保守的なメディア「ワシントンタイムズ」を創設したり、ウインダムニューヨーカーホテルを建設したりしている。統一教会には強力な洗脳能力があるだけでなく、「現代の企業管理概念」を持ち、宗教団体を企業として運営し、産業、金融、文化、教育、メディアなどに投資することによって政界へと浸透していった。

【日本の自民党との緊密関係は公然の秘密】

AP通信やフィナンシャル・タイムズおよび他のメディアの報道によると、彼は反共産主義運動を実行するために右翼政治グループ「国際勝共連盟」を設立しただけでなく、日米欧の政治グループや国家の指導者と深い関係を確立しようと努めてきた。

1959年、統一教会の宣教師・崔翔翼は日本に蜜入国し、日本で説教をし始めて大成功を収めた。統一教会は日本に約60万人の会員を擁しており、自民党との緊密な関係は長い間日本の政治における公然の秘密だった。

 

 

『「公共の福祉」という概念は、国際人権法のもとでは宗教又は信条の自由を制限できるものではない』(パトリシア・デユバル国際人権弁護士)ー浜田聡YouTubeチャンネルよりー

2025・1・27の参議院議員浜田聡YouTubeチャンネルで、フランスの国際人権弁護士パトリシア・デユバル氏へのインタビューが掲載されていましたので一部を紹介します。

【浜田聡参議院議員】今回の日本における旧統一教会に対する解散命令請求についてお伺いします。

【パトリシア・デユバル弁護士】

私が知る限り、この解散命令請求訴訟は、統一教会に対する32件の訴訟に基づいています。そして文科省はそれに基づいて、統一教会が日本の「公共の福祉」を著しく害したと主張しています。

しかしこの「公共の福祉」という概念は、国際人権法のもとでは宗教又は信条の自由を制限できるものではない、と言わなければなりません。日本は市民的及び政治的権利に関する国際規約を批准しており、それを遵守しなければなりません。そして宗教の自由について定めた第18条では、この権利を制限できる要件は厳格に列挙されており、その中には「公共の福祉」は含まれていません。

なぜなら宗教的信仰の分野における「公共の福祉」というのは、極めて恣意的だからです。「公共の福祉」を理由に特定の宗教的信仰を禁止することはできません。それができないのは「宗教または信条の自由」と呼ばれるものがあるからです。

そして国連の自由権規約人権委員会は、何年にもわたり繰り返し日本に対して「公共の福祉」という概念を、宗教又は信条の自由を制限する為に用いるのを止めるようにという勧告を出しているのです。これは10年以上続いているのですが、いまだに実行されていません。

国連の自由権規約人権委員会は国際規約に対する総評22号を発表し、政府がマイノリティの信仰を保護すべきであると明確に述べています。たとへその信仰が批判されていて、その国の多数派の宗教と一致していなかったとしてもです。政府は中立を保ち、マイノリティの信仰によって「公共の福祉」が妨げられていると主張することはできないのです。

さらに政府が言及している統一教会が敗訴した裁判というのは、「社会規範」に違反したことを根拠に、敗訴したものです。これも国際人権法のもとでは受け入れられません。なぜなら先ほどの総評22がここにも適用されるからです。

つまりマイノリティの信仰を保護したいのであれば、いわゆる「社会規範」「社会的相当性」という概念を用いて、彼らを抑圧したり迫害したり、運動や団体を解散させようとしたりしてはいけないのです。「公共の秩序」を脅かすなどの根拠があれば、制限は可能ですし、他にも制限はあります。しかしそれは本当に脅威がある極端な場合だけに限られるのです。

しかし、「社会規範」や「社会的相当性」は制限の理由にならないのです。申し訳ありませんが、もし日本政府が私を受け入れてくれたら、私はこのことを政府に言うつもりでしたが、今回それは実現しませんでした。