大阪の都市制度改革の必要性について考える(47)。恐れの根底に何があるのか?
自民党が都構想に反対する理由について過去の議会での発言を中心に見てきました。もっともと思える理論展開はなく、ことごとく橋下市長に打ち負かされていたように思います。ただ彼らの主張の根底に、大阪市が政令指定都市であることに対する思い入れと、政令指定都市であり続けたいとの強い思いが感じられます。しかし、なぜ政令指定都市であり続けなければならないのかについては理論的説明はなく、たんに感情的に都構想批判に終始しているだけのように思われます。
このことは京都大学大学院教授の藤井聡氏の主張にも見て取れます。氏は新経世済民新聞への寄稿文の中で「そもそも『都構想』が実現されれば、『大阪市が廃止されます』。一方で『住民投票』がなければもちろん、『大阪市の廃止』という事が起きるはずはありません。ということは『公明党・大阪市議団』は今、『大阪市が廃止』される『恐ろしいリスク』を生み出している、ということになります」「大阪が破壊され、日本が破壊されかねない恐ろしい帰結がもたらされかねない」などと極端に不安を煽る発言をしています。大阪市役所が特別区役所に再編され、大阪府庁が大阪全体の広域行政を担う新たな役所に生まれ変わることに対して、異常なまでに恐れ嫌っていることがわかります。
この両者に共通していると思われることは、大阪市役所が大阪府庁に勝るとも劣らない広域行政の「権限と財源」を有している今の政令指定都市制度に極めて高い執着心を持っているということであります。彼らにとって大切なのは、二重行政の解消によって税金の無駄使い(無駄な公共事業・ハコモノの建設・土木事業など)をなくすことではなく、また特別区制度導入によって住民自治を拡充することでもなく、政令指定都市が持っている「権限と財源」を今まで通り温存し、今まで通りその「権限と財源」に影響力を行使したいということに、ここに関心が集中しているのではないかと思われます。広域行政の「権限と財源」が大阪市役所の手から離れ、新たな役所に移ることを極端に嫌がっていることがわかります。京都大学、大阪市役所、天下り企業、天下り団体、何かあるのかと疑いたくなります。都構想が実現すれば政令指定都市が有していた広域行政に関する「権限と財源」が新しい役所に移りますので、このことが『恐ろしいリスク』とか『日本が破壊される』というような表現につながっているように思われます。自民党市議団からも都構想に対して、『大阪府の子会社化』とか『大阪府の植民地にでもするかのごとくの構想』などとの発言も飛び出してきております。「権限と財源」を今のまま温存したいという思惑がよくわかります。
また都構想が実現すれば、大阪市役所が特別区役所に再編されることにより大阪市役所がなくなり、また大阪市議会もなくなります。当然大阪市会議員という身分も無くなります。大阪市会議員は新たな挑戦をしない限り失業ということになります。都構想はこのように大きな変革を伴う都市制度改革でありますので、これを嫌悪するという感情もあるかと思われます。
以上私の推論ということになるかと思いますが、皆さんはどう思われますでしょうか。