共産党が使う「戦争」と「平和」という言葉。どのような意味で使っているのでしょうか。元共産党員の兵本達吉氏は共産党が使う「戦争」と「平和」という言葉の概念について「マルクス主義の教義によると、『戦争と平和』の問題も階級闘争と関連づけて理解される。資本家や帝国主義者が行う戦争は不正義の戦争であり、これには反対するけれども、労働者や農民が行う戦争、内戦や内乱などの革命戦争、社会主義国が行う戦争は正義の戦争であり、これを断固支持するというのが『正しい』立場だとされる」と説明しています。共産党の考えでは、戦争には正義の戦争と不正義の戦争があり、不正義の戦争は否定するが正義の戦争は認めるという考え方で、全ての戦争を否定しているのではないということです。共産党は階級闘争のための内乱や革命戦争、社会主義国が行う戦争は肯定するということです。通常私たちは、全ての戦争に反対することが戦争に反対するということだと思っています。しかし、共産党は全く違う見解をもっていることがわかります。
この“日本共産党の「黒い履歴書」”と題するWiLL平成28年5月号への寄稿文で、兵本氏はさらに朝鮮動乱当時について触れ、日本共産党は「スターリンや毛沢東から、自国の政府を転覆せよという指示を受け、外国(中国)に軍事基地を設けて、放送局までつくって宣伝・扇動報道を行い、青年たちに軍事教練を施し、山岳地帯には軍事拠点をつくらせ、警察や税務署を襲撃し、皇居前の広場を血に染めて交通機関を襲撃し、列車の運行を妨げた。失敗に終わったというものの、これは立派に『内乱罪』『外患罪』に該当する」と当時の共産党の武装・暴力行動を記述しています。当時の共産党は武力革命方針にしたがい、実際に武装闘争を行い、死傷者を伴う破壊活動を行いました。にもかかわらずいまだになんの反省もなく、国民に対する謝罪もありません。武装・暴力行動は共産党が分裂時期に「分裂した一方の側」が行ったことであって、今の共産党には責任はないと開き直っています。
そしてさらに信じられないことですが、このような武力行動を行った結果、今もなお破壊活動防止法の調査対象団体となっているにもかかわらず、共産党は「侵略戦争に反対し、反戦平和のためには、投獄にも屈せず、命をかけて戦った日本唯一の党である」と臆面もなく自画自賛しています。
なぜこのような主張が平然とできるのでしょうか。それは「社会主義国が行う戦争は正義の戦争」として認めるなど、革命成功のためには戦争を含むあらゆる選択肢を肯定するという共産主義的価値観に立っているからであります。平和についても、兵本氏は「共産党にとって、『平和運動』というのはイコール社会主義の擁護」ということだそうです。