中国共産党政府との関係を見直そう(85)。「戦後」の世界について考える。日本の役割。
産経新聞(5月14日)掲載の《コロナ 知は語る》の紹介です。詳しくは産経新聞をお読みください。
対中依存の低下 日本は影響力行使を
(東大教授 松田康博氏)
ー中国が新型コロナのパンデミックの発生源となった責任の回避に躍起だ。東大東洋文化研究所の松田康博教授はその姿勢を『政治宣伝は逆効果』と断じる一方で、日本にとっては中国に対して影響力を行使する機会とも見るー
中国の政治宣伝工作は逆効果
「習氏は今後、外遊先が限られ、感染収束後もしばらく日米欧には訪問できないだろう。『感謝』を演出する中国当局の外交努力は、習氏の権威維持を目的とした内向きな工作にすぎず、責任回避をめざす政治宣伝は逆効果だ」
日本はどのように対応して行くべきか
「感染収束に伴い、第三次世界大戦が起きて戦後を迎えたかのような、次の世界秩序の形成が始まる。日本が『米中のどちらか』と選択を迫られた場合、安全保障なら明確に米国だ。だが、経済では政策手段が多い。(米国を除く)11カ国で発効した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のような国際的な枠組みを日本がリードし、米国を呼び戻す努力をすべきだ。日本は仲間を広げて存在価値を示した上で、中国と協力を図る方が良い」
日本が存在感を高めるには
「民主主義社会が新型コロナの感染を抑えるのにてこずる中で、権威主義の中国が成功したとする言説は大きなパワーを持ちかねない。それをまず抑止するため、日本が民主主義社会の成功例として台湾と韓国に続き、感染を抑え込むことが重大なカギを握る」
「経済的な対中依存度の高さに警戒を強める国も増えている。武器、航空宇宙などの産業に加え、ハイテクや医療の分野でも、中国のへの企業の進出が制限され、グローバリゼーションに一定の逆転現象が起きる。中国は外資系企業の撤退を防ぐのに必死であり、日本は受け身ではなく、中国の政策に影響を与えるべきだ。中国と欧米の間の仲介や国際ルールの形成に全力をあげて欲しい」