中国共産党政府との関係を見直そう(88)。「戦後」の世界について考える。苛烈を極める欧州と中国の関係。
ドイツ紙「ビルト」と中国政府の衝突
ドイツの大衆紙 「ビルト」(発行部数220万部、ドイツで1位)は4月15日付紙面で中国に対しドイツの被害に対する賠償金を要求。世界的反響を引き起こしました。
ー以下、古森義久の報告よりー
ビルト紙の主張
「中国政府は新型コロナウイルスの拡散によって全世界に負わせた巨大な経済的打撃への賠償金を支払うべきだ」
「習近平主席、その政権、そして科学者たちはこのコロナウイルスが極度に感染力が強いことを長い期間、知りながら、外部世界にあえて知らせず、欺いた」
「中国のトップの専門家たちは欧米の科学者、研究者達が武漢で何が起きているのか質問を重ねたことに対し、答えなかった」
「習近平氏よ、あなたは明らかに真実を告げることは自国の屈辱だとみなし、隠したのだろうが、その態度は高慢であり、民族主義過多だった」
「中国政府はまずドイツに与えた経済的損害への賠償金として1650億ドルを支払わねばならない」
ドイツの中国大使館が翌15日、ビルト紙への反論を
公開書簡の形で公表。
「ビルト紙の記事はいま全世界に及ぶパンデミックへの責任を中国一国だけに帰するという劣悪な主張だ」
「中国はコロナウイルスに関する重要な事実を抑えたことはなく、WHOへの情報提供の責務を果たしてきた。だがビルトはその基本的な事実を無視している」
「いまコロナウイルスと戦う多くの諸国は中国が国際保健規則に沿ってその発生を報告した後、国境を越えての拡散に備える時間は少なくとも1ヶ月の猶予を与えたことを確認した。だがビルトはその点を何も記していない」
「一部の政治家や専門家、メディアの代表たちはウイルス抑止での自分の失敗や弱さから他者の注意をそらすために勝手な非難を誤った対象に浴びせている」
「ビルト紙はナショナリズム、偏見、外国嫌悪に火を付け、中国とドイツ両国民の間の伝統的な友好を傷つけている。このパンデミックの危機に対しては各国間の学習や協力こそが必要なのだ」
ビルト紙、中国の公開書簡に反論
「習近平氏よ、あなたは国家を監視によって支配している。監視制度がなければ、あなたは国家主席とはなっていない。国民の行動すべてを監視しているのに、武漢の海鮮市場での感染症をきちんと監視することを怠った」
「あなたは自分の統治に批判的なすべての新聞、すべてのウエブサイトを閉鎖してきたが、コロナウイルスの発生源だというコウモリのスープを売る屋台を監視も閉鎖もしなかった」
「あなたは自国民を監視して、抑圧するだけでなく、感染についての重要な情報を抑圧するすることで、全世界を危機にさらしたのだ」
「武漢で発生したコロナウイルスは市場ではなく同じ市内のウイルス研究所から安全基準の欠落によりコウモリのからむウイルスが流出したという情報もある」
「ドイツにあるあなたの大使館は私が中国の国民との伝統的な友好を傷つけたと非難する。だがあなたの友好とはマスクを全世界に輸出することではないか。それは有効ではなく、微笑で偽装した帝国主義であり、トロイの木馬なのだ」「あなたは疫病を輸出することにより中国を強化することを計画しているのだろう。だがあなたは成功しない。やがてはコロナウイルスはあなたの政治的な生命の終わりとなるだろう」
この「ビルト」紙と中国政府のバトルは、日本ではほとんど報道されませんでしたが、世界では大きく報道され大反響を呼んだということです。