中国共産党政府との関係を見直そう(56)。「新型肺炎パンデミックの脅威、真の懸念は中国の秘密主義」

Another Epidemic Brewing in China NEWSWEEK2020.1月21日号

2020年1月14日(火)19時30分 (パンデミックを警告していた)

ローリー・ギャレット(米外交問題評議会・元シニアフェロー)

〈SARSの記憶がよみがえる新型肺炎の流行ーー見えない正体と少なすぎる情報がアジアを翻弄する〉より。

【昨年12月12日】湖北省の武漢で相次いで原因不明の肺炎患者が出た。少なくとも59人が病院で隔離され、現在7人が重篤な状態とされている。中国政府は例によってく口を閉ざしている。中国以外の研究者を含む専門チームが病原体の特定を進めており、人から人に感染した明らかな証拠は見つかっていない、と述べた程度だった。

【12月末】武漢市当局はようやくウイルス性肺炎の集団感染を発表した。

【12月30日】武漢市の保健委員会は公式サイトに「原因不明の肺炎の治療に関する緊急通達」を掲載した。地元メディアが委員会に問い合わせたが、患者は27人で、その大半が華南海鮮市場と何らかの関係がある、という情報しか得られなかった。

【12月31日】湖北省当局は「27人にウイルス性肺炎の症状が見られ、ウイルス性の肺炎もしくは肺疾患に感染していると診断された。うち2人は快方に向かっており、すぐに退院できそうだ」と発表した。その夜、香港では、武漢を訪れた3人が呼吸困難を訴えて入院していることが分かり、香港当局は警戒を強化した。

【1月1日】海鮮市場を閉鎖。中国と当局は、SARSを含む複数の肺炎の可能性は排除されたと説明した。謎の病原体は従来のコロナウイルスと同じ種類ではなく、SARSウイルスとは遺伝子が4%未満しか一致しないという。一方で、武漢で8人が逮捕された。「根拠のない間違った情報をネットで広めた」罪で厳罰を受けることになるとも、中国当局は発表。

(しかし【1月2日】海軍工程大学を封鎖。「原因不明の肺炎防止、外来者の構内侵入の厳格な管理の実施に関する通知」中国共産党が軍内での新型肺炎の感染拡大を恐れていることを示唆している)

【1月5日】香港の香港中文大学の学生の感染が確認される。

人から人の感染は確実?

【1月10日】武漢で確認された感染者は41人。

【1月11日】(新華社通信は「人から人への感染は確認されていない」という記事を配信)。当局がこのウイルスによるとみられる初の死者が出たと発表。香港でも少なくとも16人の感染が確認され、シンガポールでは疑いが1人。中国政府は、今回の肺炎の詳しい情報をソーシャルメディアに流した人々に、懲役刑をチラつかせている。疾病の大流行に対する中国政府の冷酷さと秘密主義は習近平政権にとって好ましいものでは決してない。正式な科学的調査の最中だとしても、説明責任の欠如や、噂の流布(と彼らが呼ぶもの)に対する厳格な取り締まりは、国際社会の不信感を増大させている。事実を隠蔽しているのではないか、実はもっとも大規模な流行ではないのか、と。

迫る帰省ラッシュ。

感染者の発見される地域が広がり、潜在的な病原体ウイルスに関する情報が増えるに従い、「武漢の海鮮市場で魚か野生生物に接触した人しか感染しない」という当局の説明は、ますます受け入れがたくなっている。そして感染の懸念は高まっている。

中国共産党政府との関係を見直そう(55)。昨年末には「感染拡大」と「人から人への感染」を中国政府は把握していた。

 小原凡司(笹川平和財団上級研究員、防衛大学卒)氏の「中国動態」週間東洋経済2020.3.28より引用しました。この記事を読めば、中国政府は昨年末には「新型肺炎の感染拡大」と「人から人への感染」を把握していたことが分かります。そして当然習近平国家主席も知っていたということになります。しかし、中国政府は1月1日に「『武漢ウイルス性肺炎を捏造』という罪で医者を含む8人を検挙」しました。李文亮医師のことは世界中に知れ渡りました。さらに1月11日に新華社は「人から人への感染は確認されていない」という記事を配信しました。国家が嘘をついたということです。

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「台湾の報道によれば、1月2日の時点で武漢にある海軍工程大学は『原因不明の肺炎防止、外来者の構内侵入の厳格な管理の実施に関する通知』を発出し、実質的に大学を封鎖していた。同通知は、『武漢市衛生健康委員会が【原因不明の肺炎の治療状況報告に関する緊急通知】を発出し、国家衛生健康委員会が武漢に専門家を派遣して業務指導に当たらせている』としていることから、中国共産党指導部は19年末には武漢における新型肺炎蔓延の状況を認識していたと考えられる。海軍工程大学の早期封鎖は、中国共産党が軍内での新型肺炎の感染拡大を恐れていることを示唆する例だ」。(海軍工程大学は中国人民解放軍の海軍の教育機関です)

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「3月2日、国営通信社の新華社は、中国衛星航法援助システム管理弁公室の話として、『(中国版GPSである)北斗システムのプロジェクトは、新型肺炎感染拡大を食い止めて秩序を回復し、北斗システムの安定運用を確実にしており、発射任務を計画通り実施する』と報じた。同記事の表現は、北斗システムプロジェクト関係者の間に新型肺炎が蔓延し、プロジェクトの秩序さえ失われていたことを示唆するものである。同プロジェクト関係者には早い段階で集中的な対処が施されたということになる」

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