中国共産党政府との関係を見直そう(51)。中国の国際社会での振る舞い(1)。中国共産党の機嫌を損ねた「不運」な5カ国。ノルウェーの場合。CHINA UNCENSOREDより

今回のエピソードでご紹介するのは、中国共産党に機嫌を損ねた「不運」な5カ国です。

チャイナ・アンセンサードへようこそ、キャスターのクリス・チャペルです。我が共産、大中国の逆鱗に触れると後悔するぞ。これが中国共産党の「戒律」をあえて破ろうとする国への警告です。時には主要な政策上の問題に関して、例えば南シナ海の領有権に異議を唱えたり、時には些細に見える問題、例えば、無作法な中国人旅行客をホテルから追い出したり、「これは殺人です!殺人です!」。問題の大小にかかわらず、中国共産党のルールに従わない者に「痛い厳罰」を確実に下すのです。そうすれば我が共産党に楯突こうと考える輩もいなくなるからです。では中国政権の機嫌を損ねたため代償を支払った不運な5カ国を見てみましよう。

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 ノルウェーの場合

北ヨーロッパの国でバイキングと白夜、いたずら好きな妖精トロールで有名なのです。私はノルウェーの妖精トロールの大ファンだけど、いたずらに荒らされるのは御免ですね。2010年に「妖精トロール」がノルウェーを襲ったのです。きっかけはノーベル委員会がノーベル平和賞を中国の反体制派作家の劉暁波氏に授与したことで、その後ノルウェーが見舞われたのは中国共産党トロールの「炎上荒らし」報復でした。中国外務省は激怒して厳重に抗議しました。劉氏の受賞は「賞の理念に完全に反しており平和賞を冒涜するものだ」と。中国共産党が最も忌み嫌うのは体制への批判であり、たとへ遠回しなほのめかしであっても許しません。ノルウエーにこのことを叩き込むため6年間の外交関係凍結の罰を下したのです。さらにユーロビジョンのノルウェー人優勝者のコンサートをも取り消したのです。ユーロビジョンが何だか知らないけど酷い話ですよね。他に巻き添えを食らったのは、ノルウェーの輸出と言えば石油&天然ガスに次いで第2位が「魚」です。ノルウェーはそれまで中国が最大の鮭の輸出国でした。そこで劉氏へのノーベル平和賞の「見返り」として、中国は鮭の輸入を60%以上カットしたのです。馬鹿げた話です。ノーベル委員会はノルウエー政府とは無関係な独立組織ですよ。ノーベル平和賞を誰に授与するかについて、政府は何の権限もなく口出しできません。この事実を中国当局は理解できないようで、ノルウェー政府に突きつけた関係修復の条件とは、今後絶対にノーベル平和賞を中国の反体制派に授与しないよう約束することでした。

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Beijing’s demands …supposedly included a clause in which Norway would guarante that a Chinese dissident would never again be awarded the prize

昨年劉暁波氏は中国で監禁されたまま肝臓ガンで亡くなりました。その数ヶ月後中国はノルウェーとの関係修復へ転向しました。ノルウェーの首相が中国Eコマースの巨人「アリババ」を訪れた直後、海産物貿易協定が合意され、2025年までに15億ドル分の鮭の輸出が決まりました。このニュースには決まりの悪い見出しが付けられました。「ノルウェーは人権問題の件で不機嫌になった中国を鮭でもてなした」。

Norway wants China to forget about the human rights thing and eat salmon instead

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中国共産党政府との関係を見直そう(50)。WHOを検証する(7)。

「台湾の警告  WHOが無視」と題する令和2年4月19付の産経新聞です。

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「トランプ米大統領は17日、新型コロナウイルスに対するWHOの対応に関し、ツイッターで『昨年12月に台湾の保健当局が、新型コロナは人・人感染の恐れがある、と警告していたメールをなぜ無視したのか』とする専門家の発言を引用して批判した。トランプ氏が引用したのは、14日にFOXニュースに掲載された米政策研究機関フーバー研究所のランヒー・チェン上級研究員の寄稿。チェン氏は『WHOがメールを無視したのは、中国の機嫌を損ねないよう、台湾を常に敵視しているためだ』と指摘している」。

トランプ米大統領は18日のホワイトハウスでの記者会見で、ウイルスが中国湖北省武漢市の研究所から流出した可能性について言及するとともに、「(感染は)世界中が苦しむ前に、中国で止まったかもしれない」と述べ、中国政府の失策が現在の危機を招いた可能性を指摘しています。

「Taiwan Still Shut Out of WHO 感染危機があぶり出す中国の台湾いじめ」はNEWSWEEK2020.2.4に掲載されていた記事です。

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ー中台関係  中国の圧力でWHO会合出席も叶わず、非常事態に蔡英文が情報共有を訴えるがー

「しかし現状では、中国本土と台湾の間に公衆衛生上の情報を共有する正式な仕組みはない。独立志向とされる民進党の蔡が2016年に総統に選出されて以来、中国側は台湾と政府レベルの対話を全て打ち切っている。蔡はWHOに、この問題に関する緊急の専門家会議に台湾が加わるのを認めるよう要請した。中国政府の圧力により、今の台湾はWHOから排除されている。過去には総会にオブザーバーとして参加していたが、蔡政権の誕生以降はそれも許されていない」「昨年5月にスイスで開かれたWHO総会でも、24カ国が台湾の参加を支持する意見を表明したが認められなかった。中国外務省はこの非常事態に及んでも『一つの中国』の原則を認めない限り台湾の国際機関への参加は認められないと繰り返すのみ。『中国政府は誰よりも台湾人民の健康を気にかけている』と言われても台湾人は誰も信じない」。