中国共産党政府との関係を見直そう(62)。「ウイルスは中国共産党政権を終焉へと導くか」
ウイルスは中国共産党政権を終焉へと導くのか?経済の混乱が、政権崩壊にどのようにつながるのか?中国問題の専門家Gordon Chang 氏にこれからの中国共産党について聞きました。
《本日はありがとうございます。さてコロナウイルスのため中国経済は2ヶ月停止しています。どんな影響があると思いますか?》
ニュージャージーでは強制封鎖真っ只中ですが、なんとか元気でいます。第一四半期の国内総生産(GDP)は確実にマイナスになると思います。中国は何かしら良いことを報告するでしょうけど。とはいえ基礎的な数値を注目すれば、経済はかなりの赤字だとわかります。例えば、石油需要は前年比で20%の減少、1月と2月の合計輸出は17.2%の減少。国内需要の重要な指標である輸入は4.0%の減少。2月の購買指数(PMI)は歴史的な下落をして、製造業はもちろん、特にサービス業が深刻です。ですから3月には若干回復が見られるかもしれないけど、たとえそうであっても、職場に戻った労働者は平均するとおそらく70%にすぎないでしょう。したがって3月もおそらくマイナスでしょう。つまり第一四半期は、中国は大きく落ち込むと思います。
《中国が発表したGDPの数値はあてにならないので、それらのデータや指数が中国経済の実情を理解するための参考になるのですね?現在中国では経済活動を再開させるため人々に仕事に戻るよう要求していますが、うまく行くと思いますか?》
まあ何らかの回復が見られることは確かです。3月はね。そして4月まで続くでしょう。でもここで見過ごせない問題があって、中国でのウイルス感染が完全におさまった訳ではないのです。今言えるのは、報告されないケースがたくさんあるため、人々が仕事場に戻ると再感染することになります。広東省の産業の中心である「東蒄」で、まさにそのような事例がありました。労働者が工場に戻った時に、実際にお互いに感染させあったのです。そのため労働者たちは隔離されたり病院行きになったり、つまりこれは相当緩やかな過程です。北京政府が他国に示そうとしている「回復プラン」よりはね。北京は「ほら見て中国は正常に戻った」と言いたいのです。それは一時の回復に過ぎず、実際は時間がかかるでしょう。
《では中国でウイルス感染の第2波が起きたらどうなるのでしょうか?》
1月と2月の再現に近いものを目にするでしょうね。そこまで悪くないかもしれませんが、再感染の波がすでに現れてきています。北京の発表によると過去一週間(3/20〜3/26)の感染はほとんどすべてが「外国から」の症例とのこと、現地での感染は一例のみで、しかも帰国者から「持ち込まれた」症例、でもこれはありえない話です。なぜなら我々が得ている感染指標は多数の感染者が出た感染中心地の武漢のものです。北京でさえもクラスター感染がありました。政権と党がずっと隠そうとしています。中国にとっては本当に難しいことに直面しています。同時に2つの相反する問題を解決しなければならないから、つまり人々を職場に復帰させなければならない一方、ウイルス感染が再び拡大してしまう恐れがあるのです。アジアでは既に感染の第2波が来ています。台湾、香港、そしてシンガポールは少しマシだけど、中国も同じようになるでしょう。
《これは中国共産党の支配にどんな影響を与えるでしょうか?》
長い目で見れば、共産党政権を崩壊させる「最後のわら」になるかも。例えば2月に「告発者」の李医師がなくなりました。感染情報を発信した8人の医師の一人でね。それがきっかけでソーシャルメディア全体に怒りが沸き立ちました。人々は根本的な政治改革を要求していました。その後武漢の人々は家のバルコニーに出て、副首相視察をだいなしにしました。彼らは今、政治色の濃いレ・ミゼラブルの歌「民衆の歌声が聞こえるか?」を歌っている。ちなみに香港の人々は抗議活動中にこれを代表歌としていました。だから何が起こっているかは非常に明確です。つまり本当に摩擦や対立が深まって行くと思います。特に疫病が収まった後、罪や責任のなすりつけ合いが始まるでしょう。人々は不平不満を言い始めるでしょう。そして忘れないで、中国では今が革命の季節で春ですよ。
《世界経済にはどのような影響を与えますか?多くの欧米諸国や企業は依然として中国に多額の投資をしていますが》
中国にとって本当に深刻なのは、重要な輸出市場が大きな打撃を受けていること。例えば米国では、大部分の地域が封鎖されて多くの場所では経済が停止している状態です。米国経済の第一四半期は散々な結果となりマイナスになるでしょう。もちろんヨーロッパも同じ。中国にとって大きな輸出先としてのイタリア、スペインそしてフランス、ドイツ。これらの国々も停止に至るでしょう。中国が輸出主導の経済から簡単には抜け出せそうもありません。したがって中国にとっては、厳しい局面と言えます。もちろん世界中のどこでも同じであり、例外もあると思いますが、どこも景気後退が見られるでしょう。つまり人々が心配している世界的な不況が来るということです。アメリカの人々は「大恐慌」の噂もしています。本当にそうなるかどうかはわかりませんが。それでもますます多くの人々がそれについて話しています。
《多くのアメリカ人は知らないうちに中国に投資をしていますが、例えば年金基金。中国市場を避けるためにアメリカ人は何ができるでしょう?》
万能なアメリカ人が一人います。トランプ大統領は緊急事態権限を行使して、連邦政府年金基金の中国株投資を禁止させることができます。大統領は実際に他の企業を中国から撤退させることもできます。本当に禁止する必要があると思います。だって常軌を逸脱したことですよ。間接に投資される多くの中国企業が商務省のエンテイテイリストに載っています。つまり商務省の事前承認がない限りアメリカ人による取引が禁止されている中国企業です。なのに年金基金がこれらの中国企業に投資可能だなんて!米国の国家安全保障上の脅威とされている企業なのに辻褄が合わないですよね。金融市場では米国と中国が分離して一線を画するようになるでしょう。それは早いに越したことはないね。
《ありがとうございございました》