中国共産党政府との関係を見直そう(10)。中国共産党は何を隠蔽したのか(2)。

武漢(Wuhan)市長の発言から考察してみます。

1月26日の武漢市と湖北省幹部の記者会見の後の出来事。

記者会見を終えてエレベーターに乗ろうとしていた武漢市市長がCCTVの記者にテレビカメラとマイクを向けられた。すると市長は「武漢がすぐに情報を発信できなかったのは、上層部が私に発表する権限を与えてくれなかったからだよ」。

1月27日、朝日新聞1月28日の記事 《武漢市長『権限なしに情報公開できぬ』政府の責任示唆》より。

「武漢市の周先旺市長が27日、中国国営中央テレビのインタビューで『感染状況の情報公開が遅れた』と認めた。一方で『地方政府は情報を得ても、権限が与えられなければ発表することはできない。この点が理解されていない』とも発言。情報提供の遅れは中央政府の対応にも原因があることを示唆した格好だ」「周氏はインタビューで20日に国務院(政府)の会議で一定の情報公開などの職責を現場に求められたと説明した上で、『その後は我々の仕事はかなり主導的になった』と述べた。情報の遅れをめぐっては武漢市や湖北省の政府高官が批判の的になってきたが、習近平指導部は党・政府機関を厳しく管理しており、当初から感染状況を把握していたのではないかとの見方が広がっていた」 

1月27日  武漢市長逮捕?

2月11日  湖北省の衛生当局のトップら“更迭”。(テレ朝)

2月12日  武漢市の副市長ら事情聴取。(テレ朝)

2月13日  湖北省と武漢市のトップ更迭。(ブルームバーグニュース)

朝日新聞が報じるように、習近平指導部は当初から感染状況を把握していたのは間違いのない事実でしょう。そして状況把握だけでなく、武漢市や湖北省に指示も出していた。だから地方政府は動けなかった。20日になってようやく武漢市がかなり主導的に動けるようになった。それにもかかわらず、今になって全ての責任を武漢市や湖北省の地方政府に負わせて、中国指導部は自らの責任を回避、生き残ろうと画策している。このようにしか考えられません。

2月12日  時事通信《中国『言論の自由』拡大要求  知識人約400人が公開書簡》と題する配信記事では、

「新型コロナウイルスによる肺炎が拡大する中国で政府に対して言論の自由を求める動きが広まっている。12日までに、肺炎の蔓延は『言論の自由の圧殺が招いた人災だ』と李克強首相らに訴える書簡に360人以上の大学教授や弁護士らが賛同した。書簡は昨年末に新型肺炎に警鐘を鳴らしたにも関わらず警察に処分された李文亮医師の死去を受けて公表された。書簡は人民の知る権利剥奪』によって感染が拡大したと批判し、李医師を処分したことに対する当局者の謝罪や自由な言論活動の実現を求めた。・・賛同者に、北京大学の張千帆教授や清華大学の郭于華教授、人権派弁護士の王宇氏らが名を連ねている」と報道しています。

習近平指導部は状況をどの程度把握していたのか(時系列的に)、またその都度指導部はどのような指示や命令を武漢市政府にしたのか、また人民に対して何をしたのか、その全ての情報を開示する必要があります。検体の破棄を命じたり、独自公表を禁止したり、口止めを強制したり、いったい何のために、何をしてきたのでしょうか。中国政府はその全てを公表しなければなりません。