大阪の都市制度改革の必要性について考える(34)。政令指定都市市長会が提案している「特別自治市」とは。阿部川崎市市長の言より。

第30次地方制度調査会、専門小委員会(平成24年2月)での

阿部川崎市市長の発言より、その他ピックアップしてみました。

「そして、それよりも今、行財政改革時代ですので、選挙をやって公選職を増やすことがいいのかどうかという問題も一緒に考えていかないといけないと思っております。とにかく政令市の県会議員をなくして、暫定的に必要であれば、市議会議員として選ばれた人の中から県議会議員として送るという仕組みを暫定的に考えていってもいいのだろうと思います。市から出てくる税金を県にも回すということであれば、そういう形で、市議会議員の上位得票者を何人か県会議員にして、兼務をしてもらうというやり方だってあるのだろうと思います」。

「実質、特別自治市にするという手だってあると思うのです。その場合に、住民に近いところに議会を設けるかどうかということですが、実は、私ども区民会議をつくってどういう具合にやっているかというと、公募の人数を少なくしているんです。それは入ってきて文句ばかり言っているんです。行政が肥大化するようになるんです。・・・ですから、そういう時代の流れの中で、民主主義が本当に機能するかどうか、私は疑問を持っているんです。例えば東京都の特別区は議会と区長公選があるために、ものすごく金がかかっているはずなんです。ですから、その辺の時代の流れとして、少子高齢化が進んで、税収が余り上がらない時代の組織機構というものも、真剣に検討していく必要があると思っております。今は科学技術が発達しているので、できるだけ科学的に行政をやるという考え方をとると、かなり住民の意向を把握しながら、住民の意向に近い行政を縦割りの行政の中でできると思っています」。

行財政改革という観点から、政令指定都市での府・県会議員を無くして、市議会議員が兼務するという話。また同じく行財政改革から、東京都の区議会議員選挙や区長選挙にはお金がかかるので、そのようなことをしなくても、科学的に行政を行うことによって住民の意向に近い行政を行うことができるという話。多分これらは特別自治市構想と不可分の考え方なのだと思います。住民自治から遠ざかっていく話であります。それにしても大阪の自民党府議会議員はこのことを知っているのだろうか。自民党大阪市議団は特別自治市が大阪の目指す都市の姿だと言っています。

大阪の都市制度改革の必要性について考える(33)。政令指定都市市長会が提案している「特別自治市」とは。辻地方制度調査会委員と阿部川崎市市長の質疑(1)。

辻地方制度調査会委員の質問

「1点は、今回、いろいろ説明していただきましたが、この特別自治市が以前の特別市と結局どこが違うのかを現時点で教えていただきたいと思います。私がこの資料を読むと、区長公選としていないところと、国の事務も特別自治市の中でやっていく、というところに違いがありそうな感じもするのですが、しかし、国の仕事をやる一方で、国の税財源が書いていないので、この辺のところはどうなっているのかというのが聞きたいというのが1点です。

2点目は、今回の話の中でも、一定の経済効果や行政改革効果を提言されていますが、数字に完全落とすのは無理にしても、どのくらいの行政改革効果があり、どのぐらいの経済効果を現時点で想定されているのかというのが2点目です。

3点目は、結局、この制度をつくったときに、どのくらい水準超経費が発生してくるかということだと思います。特に川崎市は指定都市の中では最も財政力指数が高いということですので、多分、川崎で発生する水準超経費が指定都市の中でもマックスと思われるのですが、現時点ではどのぐらいなのか。それともまだ試算中なのか、その辺をお聞かせいただけたらと思います」。

阿部川崎市市長の答え

「今の時点では、特別自治市に今の政令市がなったとしても、あくまでも行政区の中で、その中に住民意見をできるだけ多く反映させるような、例えば区民会議についてもう少し住民意見を反映するものにしていくというやり方。合併の地域協議会が一つのモデルになっているのではないかと思っています。国の権限については、これはまた地方分権の観点から国の権限が特別自治市に移るということで、勿論部分的には法定受託事務もあり得ると思いますし、それが全体として合理的であるならば、そういったことも引き受けて、それに対する財源措置も国から行ってもらうということで、地方分権の部分は、分権として別立てで考えていただく必要があるかと思います。

経済効果、行革効果ですけれども、これはまだ具体的にどういう計算方式でやっていけばいいのかを確立していないので、これから計算していかないと思うのですが、少なくとも施設関係の重複部分、例えば高等学校だとか警察署をどこまでやるかが問題ですが、そういった重複部分を市の方で引き受けて、統合して、部分的に廃止していくという形で相当な効果が出てくると思います。一元的に法人関係の税金を扱いながら経済振興を行うことによってプラスアルファで出てくるものがあるのだと思うのです。今川崎市は環境産業あるいは福祉産業、ライフイノベーションということで、将来の成長分野に力を入れてやっております。これは法人関係が関係してきますので、そういう形でプラスアルファが出てくるという部分についてはちょっと難しいです。いずれやらなければいけないと思っています。

水準超については、今、川崎市から国税として出ているのが1兆円ぐらい。川崎市の税金は、市税が2800億円ぐらいです。川崎市から県に入っている税収はたしか1800〜2000億ぐらいだと思います。ですから、川崎市の場合にはおそらく県税が全部市に移ってくると水準超が相当出るのではないかと思っております。ですから、例えば石油関係とか、国税に出ているものについてどうするかという問題もあるのですが、さておいても、県との関係でも、どのくらいになるかわかりませんけれども、調整はいずれ必要になるということを覚悟しております」。