大阪の都市制度改革の必要性について考える(27)。政令指定都市の問題点。
府県と政令指定都市には二重行政があり、労力と時間の無駄、非効率性、莫大な税金の無駄遣いを生み出している、と吉田民雄氏や橋下徹氏が指摘していることを先のブログで紹介しました。この二重行政については中央大学教授の佐々木信夫先生も政令指定都市の問題点として「5️⃣大都市圏の中核として隣接市町村との連携不十分。県との〈二重行政〉ムダが多い」と指摘しています。
佐々木教授は、これ以外にも政令指定都市の問題点として「1️⃣制度自体、包括的ツリー状ではなく、個別法で特例を積んだモザイク状〈特例制度〉。2️⃣行財政のアンバランス。税財政の仕組みは府県制のまま。昼間需要の財政措置なし。3️⃣分権改革で蚊帳の外におかれた結果、依然、三層制下にあり、県と対等ではない。4️⃣行政区は決して自治区ではない。結果、協働参画時代にふさわしくない市集権体制となっている」。と、二重行政の問題に加えて以上の点を政令指定都市の問題点として上げています。そして「従来行われてきた府県と市町村間の部分的な事務・権限再配分といったレベルを超えて、本来の大都市が持つ機能と問題解決にふさわしい大都市経営主体としての『大都市制度』を設計する段階にきている」と述べています。
政令指定都市が抱える矛盾問題点については、日本都市センター主任研究員、吉田民雄氏も『都市問題』(1992年4月号)で二重行政以外でも同じような指摘をなされています。「1️⃣(多くが)国から委任された仕事を国の下部機関として処理する機関委任事務である。2️⃣現行の大都市特例はきわめて体系性を欠くものとなっており、市民の暮らしの立場に立った総合的まちづくりを有効推進しうる構造になっていない」と。そして「この他にも、大都市特例にもとづく財政需要に対する膨大な税制上の措置不足など、『政令指定都市制度』は大都市の総合的、自立的なまちづくりの推進という観点からすると、今日の都市状況、時代の要請に応えるものとなっていない」と言及しています。