大阪の都市制度改革の必要性について考える(33)。政令指定都市市長会が提案している「特別自治市」とは。辻地方制度調査会委員と阿部川崎市市長の質疑(1)。

辻地方制度調査会委員の質問

「1点は、今回、いろいろ説明していただきましたが、この特別自治市が以前の特別市と結局どこが違うのかを現時点で教えていただきたいと思います。私がこの資料を読むと、区長公選としていないところと、国の事務も特別自治市の中でやっていく、というところに違いがありそうな感じもするのですが、しかし、国の仕事をやる一方で、国の税財源が書いていないので、この辺のところはどうなっているのかというのが聞きたいというのが1点です。

2点目は、今回の話の中でも、一定の経済効果や行政改革効果を提言されていますが、数字に完全落とすのは無理にしても、どのくらいの行政改革効果があり、どのぐらいの経済効果を現時点で想定されているのかというのが2点目です。

3点目は、結局、この制度をつくったときに、どのくらい水準超経費が発生してくるかということだと思います。特に川崎市は指定都市の中では最も財政力指数が高いということですので、多分、川崎で発生する水準超経費が指定都市の中でもマックスと思われるのですが、現時点ではどのぐらいなのか。それともまだ試算中なのか、その辺をお聞かせいただけたらと思います」。

阿部川崎市市長の答え

「今の時点では、特別自治市に今の政令市がなったとしても、あくまでも行政区の中で、その中に住民意見をできるだけ多く反映させるような、例えば区民会議についてもう少し住民意見を反映するものにしていくというやり方。合併の地域協議会が一つのモデルになっているのではないかと思っています。国の権限については、これはまた地方分権の観点から国の権限が特別自治市に移るということで、勿論部分的には法定受託事務もあり得ると思いますし、それが全体として合理的であるならば、そういったことも引き受けて、それに対する財源措置も国から行ってもらうということで、地方分権の部分は、分権として別立てで考えていただく必要があるかと思います。

経済効果、行革効果ですけれども、これはまだ具体的にどういう計算方式でやっていけばいいのかを確立していないので、これから計算していかないと思うのですが、少なくとも施設関係の重複部分、例えば高等学校だとか警察署をどこまでやるかが問題ですが、そういった重複部分を市の方で引き受けて、統合して、部分的に廃止していくという形で相当な効果が出てくると思います。一元的に法人関係の税金を扱いながら経済振興を行うことによってプラスアルファで出てくるものがあるのだと思うのです。今川崎市は環境産業あるいは福祉産業、ライフイノベーションということで、将来の成長分野に力を入れてやっております。これは法人関係が関係してきますので、そういう形でプラスアルファが出てくるという部分についてはちょっと難しいです。いずれやらなければいけないと思っています。

水準超については、今、川崎市から国税として出ているのが1兆円ぐらい。川崎市の税金は、市税が2800億円ぐらいです。川崎市から県に入っている税収はたしか1800〜2000億ぐらいだと思います。ですから、川崎市の場合にはおそらく県税が全部市に移ってくると水準超が相当出るのではないかと思っております。ですから、例えば石油関係とか、国税に出ているものについてどうするかという問題もあるのですが、さておいても、県との関係でも、どのくらいになるかわかりませんけれども、調整はいずれ必要になるということを覚悟しております」。