大阪の都市制度改革の必要性について考える(30)。政令指定都市市長会が提案している「特別自治市」とは。西尾地方制度調査会会長と阿部川崎市市長の質疑(2)。

第30次地方制度調査会、専門小委員会(平成24年2月)

西尾地方制度調査会会長

「2番目の質問に移らせていただきたいのですが、現在の政令指定都市の区域内から納められる地方税は一元的に徴収する。つまり、今は市税になっている部分と府県税になっている部分とあるわけですけれども、それをまとめて特別自治市は全部一括徴収するのだということをお書きになっているわけでありますが、たしかこの専門委員会で前回、横浜市長の林文子委員がご発言になった段階では、税収の全部取りを考えているわけではないと。これは横浜市長としてのご発言だったかもしれませんが、そうおっしゃったのですが、これは全部取りですね」。

阿部川崎市市長

「原則全部ですけれども、最終的に財源調整は、例えば神奈川県内だけでも必要ですし、あるいは神奈川県の政令市が税収が多いとするならば、全国をならすという財源調整制度が必要になってくると思うんです。ですから、地方交付税制度でどこまでできるかですが、原則として都道府県が持っている税源については全部、特別自治市に移すという前提で考えていただいて、そして、財源の状況を計算して、若干ならす仕組みをつくることは必要だと思うんです。特に法人関係税が必要だというのはまさに経済政策を行うとかそういうことで、政策税制とウエートをかけるわけではないのですが、企業誘致だとかいろいろなことで関係してまいりますので、都道府県の税金は原則特別自治市に全部移すということで考えていただければと思います」。

大阪の都市制度改革の必要性について考える(29)。政令指定都市市長会が提案している「特別自治市」とは。西尾地方制度調査会会長と阿部川崎市市長の質疑(1)。

第30次地方制度調査会、専門小委員会(平成24年2月)

阿部川崎市長による「特別自治市」についてのプレゼンテーションのあと。

西尾地方制度調査会会長

「最初のご説明にありましたとおり、これは現在の政令指定都市をすべて特別自治市にしようということではなくて、あくまで大都市の選択肢の1つとして新たな特別自治市を制度化してほしいという御趣旨は伺いましたが、その場合、特別自治市になり得る大都市の要件のようなものをきちんと決めるのかどうかです。そういうことをお考えなのか。極端に言えば、現在19ある政令指定都市全部が特別自治市への移行を希望したならば、すべてなり得るんだという趣旨の選択肢なのか。・・・極端なことを言うと、19〜20という政令指定都市がすべて府県機能を併せ持ったものになるということになりますと、ある意味では、現在、47都道府県があるところへ20の更に府県が誕生することになるわけでありまして、府県は67存在する状況になるということですが、そういう姿もあり得ると、そこを許容しろとおっしゃっているのかどうかをまずお伺いしたいと思います」。

阿部川崎市長

「まず第一は、旧5大市だとか、かなり早く政令市になったところで、もう既に事務事業が定着しているところ、財政的にもかなり充実しているところについてそういう制度が、要するに入り口として特別自治市を選ぶことができる制度をつくっていただきたい。選択肢としてつくっていただきたいということです。ですから、数としてどのくらいになるかは、いろいろまた科学的なデータに基づく検討が必要になろうかと思います。特別自治市になった道府県内の他の地域についてどうするかも一緒に問題になってきますので、その辺の議論をちゃんと詰めた上でやっていく必要があると思います」。