日韓問題について考える(34)。「中国は北朝鮮を捨てる」長谷川慶太郎氏

緊迫の度を深める朝鮮半島情勢について考えてみたいと思います。そして今一度長谷川慶太郎氏の『予言 』である「中国は北朝鮮を捨てる」について考えます。この『予言』は、2020年3月発売の本『中国は民主化する』に収録されています。詳しくはこの本をご覧ください。

北朝鮮はいらない

「中国にとっての北朝鮮とは、民主主義国家との緩衝地帯です。ですので、中国が共産主義国家でなくなればいらなくなります。民主化を成し遂げれば中国は、不要になった北朝鮮を切り捨てるでしょう。そうなれば北朝鮮は消滅し、その後は韓国が主導して朝鮮半島を統一すると思います」

中国は北朝鮮を助けない

「朝鮮半島統一となれば、北朝鮮の社会資本–鉄道、通信、発電所、上下水道など–を、すべて作り替える必要があります。でも北朝鮮の鉄道を修復するだけでも何兆円もかかると言われています。しかし中国は、ここで北朝鮮を助けないと言っています。そもそも他国の面倒を見るような余裕が今の中国にはないのです」

金正恩追放はすでに決まっている

2016年2月、「中国の王毅外相に対して、アメリカ政府は北朝鮮制裁を打ち出したのです。その制裁を中国は遵守すると約束しました。ここの一番のポイントは北朝鮮と取引をしている中国企業に対する制裁です。具体的には北朝鮮と取引している企業には、中国の四大国営銀行が融資をしないことが原則となります。そしてこの原則を王毅外相はのんだのです。北朝鮮はこれによって経済的な後ろ盾を失いました。つまり金正恩体制の崩壊は秒読みだということです。近い将来、北朝鮮では食べられなくなった国民が暴動を起こすでしょう。その動きを金正恩は抑え込むことができません。なぜなら暴動を鎮圧すべき北朝鮮の軍隊は、金正恩の命令に従わないからです。むしろ軍が国民の暴動に同調することが予想されます。その時中国は、事態を収束させるために人民解放軍を出動させることになるでしょう」

国境沿いに機械化部隊を配置

「北朝鮮と中国の国境沿いに流れている鴨緑江の沿岸に、中国人民解放軍は機械化部隊を展開しています。・・・中国は北朝鮮有事の際、いつでも作戦行動が取れる態勢を整えているのです。・・・人民解放軍が侵攻すれば、半日で平壌、北朝鮮を制圧できます。朝、9時に行動を開始したら、昼には平壌に中国国旗が揚がります。そして北朝鮮は中国が支配することになります。ただし進駐軍はすぐに中国に戻り、北朝鮮は金一族以外の実力者が運営していくものと予想されます」

誰が飢えた国民を食べさせるのか

「北朝鮮が崩壊したのち、金正恩の後継者は誰になるかわかりません。しかし中国は、新しい北朝鮮を統治できないでしょう。なぜなら中国はその負担に耐えられないからです。新しい朝鮮統一国家は北朝鮮国民2520万人を食べさせなければなりません。でも新しい政権ができたからといって、北朝鮮の深刻な食糧不足がすぐ解決するはずがありません。では当面どうするか。他国から緊急に支援してもらう以外にありません。しかし北朝鮮に無償で大規模な食糧援助をするほど余裕のある国家は、どこにあるのでしょうか。・・・援助ができる国はただ一国、日本です」。

さらに難民問題も課題となってきます。日本も韓国も今後の国際情勢の展開を見抜いて、それに備えなければなりません。猶予はありません。

日韓問題について考える(33)。「慰安婦問題」の真実。韓国の識者はどのように考えているのだろうか。

慰安婦の人数について 、これは大阪市と米サンフランシスコ市との姉妹都市解消にもつながった問題です。歴史的に定かでないにもかかわらず、サンフランシスコ市の碑文には「20万人」と記されています。これが大問題となりました。大阪市民の一人としても大いに関心を持つ命題であります。

李栄薫氏は『反日種族主義』という本の『我々の中の慰安婦』で次のように述べています。

何れにしても、大体、私は3500人程度が合理的であると思います。しかし、この程度の数値を、いくら考えても5000人を超えないはずの人数を、今まで3万人、あるいは20万人と主張してきたのは、あまりにも甚だしい誇張であったと思います。しかも、そういう数値は、教科書でも使われていました。今は20万人という説は、教科書からは消えたものの、なお、そのような数値が未だに主張されています。私は、これは非常に大きい問題だと思います」

「韓国女性運動指導者の一人と個人的に討論をしたことがありますが、その人が慰安婦20万人説を言ったので、私は『悪いけど、そのような話は根拠がないから、しないほうが良いと思います』と、丁寧に説明しました。しかし、その人は、聞こうともしないし、結局は、怒り出して席を蹴って出て行ってしまいました。その、どうしょうもない頑固な先入観が今まで、日本軍慰安婦問題の解決を難しくしてきたと思います」

李栄薫氏は『我々の中の慰安婦』の中で韓国政府作成の【保健社会統計年鑑】を引用して、韓国における慰安婦数の推移を掲載しています。これによりますと1955年は6万1833人、1959年になると9万8891人、そして日韓条約が締結されて間もない1966年では25万0964人となっています。

李氏は「歴史を詳しく調べてみると、軍慰安婦はずっと存在していたことが分かります。慰安婦という呼び方がなかっただけです。大きく見て、15世紀以来の朝鮮王朝時代からありました。また、1945年に日帝が敗れ韓半島から撤退した後でも、慰安婦は、我が社会の中でずっと存在していましました。繁盛したと言ってもいいでしょう」。

李氏によれば大韓民国独立後も、韓国軍慰安婦、民間慰安婦、米軍慰安婦など多数の慰安婦がいたということです。上記保険社会統計年鑑の数値がそれを示しています。

「しかし既存の研究は、その長い歴史の中で1937年〜45年の歴史だけを切り離し、日本軍の戦争犯罪だと責めています。そのため、史実に関する客観的理解に大きな問題が生じたのです」と述べています。