今、注目の共産主義について考える(108)。「米中の衝突は政治・経済システムの優劣をかけた戦いの始まり」

米中の経済摩擦はエスカレートし、経済戦争に突入か?  7月11日の日本経済新聞によれば、

「トランプ米政権は10日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の追加措置案を公表した。衣料品や食料品など2千億ドル(約22兆円)に相当する6031品目の輸入に10%の関税を課す。発動は9月以降になる見通し。7月6日に課した関税に対して中国が報復に動いたため、追加関税の対象を広げて対抗する。中国側もさらなる報復に出る構えを示しており、両国間の対立は一段と激しくなりそうだ」。

米国のこの措置に対して中国は同じく日経新聞によれば、

「中国商務省は11日、米国が追加関税の対象を広げると発表したことに対し『国家と人民の利益を守るため、これまでと同じように必要な反撃を取らざるを得ない』とする声明を公表した」。

このように経済摩擦から経済戦争の様相を呈してきた根本的な理由については、

「トランプ政権がいらだちを募らせるのは、中国のハイテク企業の台頭は国家ぐるみの支援を受けた『不正競争』を許してきたことにあると見るからだ。通商政策を担うナバロ大統領補佐官が中心となって6月中旬にまとめた報告書は人民解放軍による産業スパイやサイバー攻撃、外資企業への技術移転の強要など中国の手口を詳細に分析」(日本経済新聞)しているとの記事を掲載しています。

さらに「街中に監視カメラが設置されるなど、一党支配下の安定は究極の管理社会という大きな代償を伴う。それでも異論を排し事業を進める圧倒的なスピードは、議会を通じて利害調整する民主主義国にとって脅威だ。・・・・民主主義と一党支配のせめぎ合いが米中による主導権争いの根底にある。米中の衝突は政治経済システムの優劣をかけた戦いの始まりでもある」(日本経済新聞7月5日)。

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今、注目の共産主義について考える(107)。『一体一路』のワナ(罠)。

中国が進める「一帯一路」政策はあらたな植民地化への罠(ワナ)なのか?   大いに危惧するところであります。以下、平成30年7月5日の日本経済新聞から一部記事を紹介します。

「中国が進める広域経済圏構想『一体一路』の実現に向けた大型の投資事業がアジア各国に懸念をもたらしている。経済成長に不可欠なインフラ整備を加速させる一方で、債務返済が困難になれば、完成したインフラを中国に譲渡するなどの『代償』を伴いかねない。ただ新興国にとっては中国の豊富な資金力は魅力的に写り『脱中国』は簡単ではない」。

「『各国は無償と勘違いしてはいけません』。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は今年4月の公演で『一体一路』についてこう指摘した。同構想はアジア各地で不足するインフラ整備を加速させているものの、中国の投資が各国の過剰債務になりかねないとの警鐘だった」。

「その典型例がスリランカでの港湾開発事業だった。南部ハンバントタ港は建設費の大半を中国からの融資でまかなって完成。しかし、需要の見通しが甘く、赤字が続いたため中国への返済が進まなかった。17年12月、99年間の港湾運営権を中国企業に譲渡せざるを得なくなった。・・・・最初からスリランカの港湾権益の取得を狙って中国が仕掛けた『債務のワナ 』だったのではないかとの指摘もでる」。

「米シンクタンク世界開発センターの分析によると、一体一路への参加国のうちジプチ、ラオス、モルデイブ、モンゴルなど8ヵ国はすでに中国からの巨額の債務の返済リスクを抱えているという」。

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私はこの記事を見て、過去の大阪市の経験から推察しますと、土地信託事業を連想します。大阪市は土地を提供するだけで、市のお金を使わずに、事業は銀行の金(借金)で行い、その事業の利益配分だけ大阪市は受けるという夢のような事業計画です。必ず儲かるとの銀行の甘い勧めに乗って、市は金は出さないが失敗の責任は取るという条件、これがいわゆる土地信託事業でありました。しかし銀行が企てた事業はことごとく失敗し、その結果大阪市は土地を失うだけでなく、多額の負債を背負うこととなりました。これと同じことが中国と新興国との間で行われているのでしょう。中国の甘い言葉に誘われてこれらの国の政治家は大きな夢を見たのでしょう。それとも多額の賄賂が動いて政策決定されたのでしょうか。マレーシアでは前首相が逮捕されました。