今、注目の共産主義について考える(109)。中国の野望は成功するのか?失敗するのか?

中国の野望について産経新聞田村秀男編集委員は、

「2012年秋に中国の最高権力者となった習近平氏は『偉大な中華民族の再興』を掲げた。25年にはハイテクの全面的な国産化を達成し、35年には国内総生産(GDP)で米国を抜いて世界一になる目標を立てている。軍事面でも南シナ海の岩礁を占拠して埋め立て軍事基地を建設している。ユーラシア大陸とその周辺までを包含する現代版シルクロード経済圏構想『一体一路』をぶち上げ、高利の借款を供与してアジア各地で港湾などのインフラを建設し、相手国が払えなくなると“接収”する帝国主義路線だ」と解説しています。

長谷川秀行氏の“一筆多論”(産経新聞)によれば、

「習近平政権が掲げる『中国製造2025』は、先端技術の国産化を進め、世界トップの製造強国を目指すものだ。軍事力強化と結びつく国家戦略」だという。中国はその国家戦略を達成するため、世界最先端技術の獲得に躍起になっているという。

これに対して米国は、「米国が中国からの買収攻勢を警戒するのは当然だろう」とし、すでに中国を念頭に「米企業買収で先端技術が海外に流出するのを防ぐ」ため、「外国資本による自国企業への投資について規制強化に動いている」という。日本も「昨年10月、改正外為法を施行し、国の安全の観点から外国企業が取得した株式の売却命令を出せる制度を導入した。ただ、それで十分かどうかは引き続き政府内の検討課題となっている」という。

長谷川氏は投資規制に止まることなく、「日米欧が対中関係で連携すべき分野は他にもたくさんある。デジタル情報の国家管理を強める中国型のデジタル保護主義にどう対抗するか。インフラ輸出で途上国に過剰債務を負わせて自らの勢力圏を広げようとする動きをどう阻むか」という課題にも取り組む必要を訴えています。

中国の野望は成功するのか?それとも日米を中心とする西側諸国の動きによって失敗に終わるのか?北朝鮮問題とともに大いに注目するところであります。

 田村編集委員は、

「『米中戦争』とかけて、米映画『ジュラシックパーク』シリーズ第1作と解く。巨大な富と技術を持つ米国が昔、消滅した『中華帝国』という恐竜を再生、繁殖させたところ暴れ出し、封じ込めに転じるというのが、トランプ政権の対中強硬策だからだ。今、上映中のシリーズ最新作は、恐竜を再絶滅の危機から救おうとする物語のようだが、さて、眼下の米中ドラマはどうなるのか」と書いています。

大阪都構想実現の必要性について考える(86)。基礎自治体である大阪市に求められる「子ども・子育て政策」と「超高齢者社会政策」。

いま少し金井利之東京大学法学部教授の話に耳を傾けたいと思います。『超高齢社会の自治体再編政策』より。

「超高齢社会で重要なのは、高齢者政策と少子化対策とを並行して行うことである」。

「少子化問題が解決しない限り、超高齢社会問題は解決不可能だからである」「都市問題への対処は、都市政策だけではなく、地方圏政策が必要であるのと同じなのである。こうした政策編成をパッケージとして提示することができて、はじめて、超高齢社会への対処が可能になる」。

「子ども・子育て政策の成否こそが、真の意味での高齢化対策を左右する」。

「そして、子ども・子育て政策は、視野狭窄の保育所整備だけに終わるべきではない。子ども・子育ては、出生前から、成人するまでの、全若年世代人口に対しての、24時間1年365日の切れ目なき日常の連続である。こうした政策領域が完全に充填されて、超高齢社会の自治体政策の再編が完了する。現在の政策再編は穴だらけである。唯一整っているのは、6歳から15歳までの、午前8時頃から午後3時頃までの、月曜日から金曜日までの、夏季・年末年始・春季休業期間を除く時期の子ども・子育て政策のみである(しばしば、義務教育と呼ばれている)。それ以外は空白・空隙だらけなのである。自治体の役割は大きいと言わなければならない」。

金井氏が言われるように、「超高齢社会政策」や「子ども・子育て政策」を担う基礎自治体としての市町村の役割は重大であります。大阪市も基礎自治体でありますので「超高齢社会問題を解決していくための政策」、「子ども・子育て政策」を担っていくのは当然であります。しかし振り返って見ますと、大阪市はこの本来の役割に徹することができず、子ども子育て予算はごくわずかで、たとへば小中学校にクーラーも設置せず、中学校給食も行っていませんでした。改善されたのは橋下市政になってからです。橋下市政以前はその資源(財源)の多くが二重行政といわれる事業に費やされ、多くの無駄・財源の浪費を行ってきたのは周知の事実であります。その一番の原因が大阪府との二重行政にあったことは明白であります。したがって二重行政を解消し、大阪市域の基礎自治機能の充実をはかるために、大阪市役所を基礎自治機能に徹する役所(特別区役所)に作り変えなければならない、という議論が起きるのは当然であると言えます。またそうしなければ、次の時代を担っていくことはできず、このままでは「相当悲惨な社会」となっていってしまいます。