大阪都構想の必要性について考える(79)。都構想が実現すれば、10年間で1兆円を超える効果が生じるとの調査結果(嘉悦大学付属経営経済研究所)。

大都市制度の経済効果に関する調査結果報告(嘉悦大学付属経営経済研究所)が平成30年6月29日付でありました。その概要を紹介します。

《本調査結果における政策的意味》

(1)府市の連携の強化の程度は財政効率化や経済効果に影響を与える。

基礎自治行政の財政効率化効果として、総合区では、10年間で3億円から712億円、特別区では1兆1040〜1兆1409億円の効果が生じるとの結果を得た。

政策効果分析による経済効果については、意思決定の迅速化による社会資本整備の進展の効果として、交通インフラをモデルにした場合、総合区であれば、指定都市都道府県調整会議による協議の実現性、期間をこれまでの府市協議の実績から導くことで、ゼロから4218億円の効果。特別区であれば、広域機能が一元化され、協議の必要性がなくなることで、速やかな意思決定のもと迅速に社会資本整備が進むとして、4867億円の効果が生じるとの結論を得た。

マクロ計量経済モデルにおいても、総合区、特別区それぞれの効率化によって生み出される財政資金をもとに、社会資本整備による限界生産力を加味し、生産波及効果を含めると、総合区で853億円、特別区で最大1兆1511億円の効果との結論になった。

(2)理論的には、制度のリフォームとデザインには改革に伴うコストが異なることには注意を払う必要がある。本報告では、そうした側面の検討は行なっていないが、その点を考慮したとしても、大都市制度の議論を深めていくことには大きな意義があるものと考える。

(3)制度改革により生み出される財政資金を効率的な公共投資・社会資本蓄積に投じることにより大都市としての機能向上を図ることができれば、本報告書で示した経済効果に加えて、現在に至るまでに東京が実現した民間資本へのグラビティ効果(引付効果)がより大きく発生する可能性が期待できる。

以上、今回の調査結果からは、大都市制度の選択が経済効果に結びつくものであること、また、選択の内容によってその効果に差異が生じることとなっている。今回の報告書が今後の大都市制度改革に関する議論に資するものとなれば幸いである。

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以上。 

しかし、新聞、テレビをはじめマスコミはあまり取り上げないでしょうね。残念ながら予測されます。あまりにも情けないですよね。大切な真実を報道しないマスコミの現状は。

今、注目の共産主義について考える(108)。「米中の衝突は政治・経済システムの優劣をかけた戦いの始まり」

米中の経済摩擦はエスカレートし、経済戦争に突入か?  7月11日の日本経済新聞によれば、

「トランプ米政権は10日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の追加措置案を公表した。衣料品や食料品など2千億ドル(約22兆円)に相当する6031品目の輸入に10%の関税を課す。発動は9月以降になる見通し。7月6日に課した関税に対して中国が報復に動いたため、追加関税の対象を広げて対抗する。中国側もさらなる報復に出る構えを示しており、両国間の対立は一段と激しくなりそうだ」。

米国のこの措置に対して中国は同じく日経新聞によれば、

「中国商務省は11日、米国が追加関税の対象を広げると発表したことに対し『国家と人民の利益を守るため、これまでと同じように必要な反撃を取らざるを得ない』とする声明を公表した」。

このように経済摩擦から経済戦争の様相を呈してきた根本的な理由については、

「トランプ政権がいらだちを募らせるのは、中国のハイテク企業の台頭は国家ぐるみの支援を受けた『不正競争』を許してきたことにあると見るからだ。通商政策を担うナバロ大統領補佐官が中心となって6月中旬にまとめた報告書は人民解放軍による産業スパイやサイバー攻撃、外資企業への技術移転の強要など中国の手口を詳細に分析」(日本経済新聞)しているとの記事を掲載しています。

さらに「街中に監視カメラが設置されるなど、一党支配下の安定は究極の管理社会という大きな代償を伴う。それでも異論を排し事業を進める圧倒的なスピードは、議会を通じて利害調整する民主主義国にとって脅威だ。・・・・民主主義と一党支配のせめぎ合いが米中による主導権争いの根底にある。米中の衝突は政治経済システムの優劣をかけた戦いの始まりでもある」(日本経済新聞7月5日)。

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