中国が進める「一帯一路」政策はあらたな植民地化への罠(ワナ)なのか? 大いに危惧するところであります。以下、平成30年7月5日の日本経済新聞から一部記事を紹介します。
「中国が進める広域経済圏構想『一体一路』の実現に向けた大型の投資事業がアジア各国に懸念をもたらしている。経済成長に不可欠なインフラ整備を加速させる一方で、債務返済が困難になれば、完成したインフラを中国に譲渡するなどの『代償』を伴いかねない。ただ新興国にとっては中国の豊富な資金力は魅力的に写り『脱中国』は簡単ではない」。
「『各国は無償と勘違いしてはいけません』。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は今年4月の公演で『一体一路』についてこう指摘した。同構想はアジア各地で不足するインフラ整備を加速させているものの、中国の投資が各国の過剰債務になりかねないとの警鐘だった」。
「その典型例がスリランカでの港湾開発事業だった。南部ハンバントタ港は建設費の大半を中国からの融資でまかなって完成。しかし、需要の見通しが甘く、赤字が続いたため中国への返済が進まなかった。17年12月、99年間の港湾運営権を中国企業に譲渡せざるを得なくなった。・・・・最初からスリランカの港湾権益の取得を狙って中国が仕掛けた『債務のワナ 』だったのではないかとの指摘もでる」。
「米シンクタンク世界開発センターの分析によると、一体一路への参加国のうちジプチ、ラオス、モルデイブ、モンゴルなど8ヵ国はすでに中国からの巨額の債務の返済リスクを抱えているという」。
私はこの記事を見て、過去の大阪市の経験から推察しますと、土地信託事業を連想します。大阪市は土地を提供するだけで、市のお金を使わずに、事業は銀行の金(借金)で行い、その事業の利益配分だけ大阪市は受けるという夢のような事業計画です。必ず儲かるとの銀行の甘い勧めに乗って、市は金は出さないが失敗の責任は取るという条件、これがいわゆる土地信託事業でありました。しかし銀行が企てた事業はことごとく失敗し、その結果大阪市は土地を失うだけでなく、多額の負債を背負うこととなりました。これと同じことが中国と新興国との間で行われているのでしょう。中国の甘い言葉に誘われてこれらの国の政治家は大きな夢を見たのでしょう。それとも多額の賄賂が動いて政策決定されたのでしょうか。マレーシアでは前首相が逮捕されました。