今、注目の共産主義について考える(88)。孔子学院の静かなる侵略。

平成30年4月12・13・14日付産経新聞朝刊に、11日に続いて孔子学院についての記事が掲載されていました。

記事によれば、ドイツのシンクタンク「国際公共政策研究所」と「メルカトル中国問題研究所」は、『独裁主義者の進行』と題する、中国の試みに焦点をあてた報告書を作成し、その中で孔子学院について「孔子学院は市民社会・学術界に働きかける手段の一つ」と位置づけたということです。純粋な文化交流団体ではなく、中国共産党のフロント組織だということです。この報告書の共同執筆者であるメルカトル研究所の一人ポベッテイ氏は、孔子学院について「学術議論に影響を与え、中国政府に不快な問題の議論を制限する」ことにその役割があること、さらに他の国際交流機関と違い「独裁主義国家の指示や資金を受ける点で大きく違う」と指摘しています。

また、同記事によれば「豪チャールズ・スタート大学のクライブ・ハミルトンは、今年2月に出版した著作『サイレント・インベージョン(静かなる侵略)』で、孔子学院のことをこう記した。『学術界へのマルウエア(悪意のあるソフトウエア)』」だという。

「ハミルトンは産経新聞の取材に、孔子学院は中国共産党に対する批判を許さないが、『それを検閲する方法は極めて巧妙だ』と指摘する。中国が嫌がる人権問題などを取り上げないよう直接要求するのではなく、多額の資金提供を行い、豪州側に『忖度(そんたく)させる』というのだ。しかも孔子学院を置く大学当局は5カ年の協定を孔子学院本部と締結するが、協定は大学の教員にも公開されていないという」。

「豪州の大学における中国の影響は孔子学院にとどまらない。豪州の教育・訓練省の統計によると、17年の海外からの留学生62万人のうち、中国人はトップの約18万5千人で全体の約30%を占める。留学生がもたらす経済効果は約286億豪ドル(約2兆3千億円)で、豪州の輸出項目の3位に相当し、その3割が中国人に握られている計算になる」。

「ハミルトンは『豪州の大学が学内に孔子学院を置き続けるのは、中国の資金の影響を受けているからだ。完全に北京になびき、学問の自由を損なっている大学もある。金銭の力に屈し、いま起きていることに目をつぶっている』とため息をついた」と。

国際交流との名目で、金銭的援助やその他の便宜供与を受けるようになればどのようになるのだろうか、怖いですね。特に独裁国家の金は怖いです。がんじがらめにされていく光景が目に見えて来ます。一度金をつかまされると相手の要求から永遠に逃げられなくなります。日本の大学も中国政府から多額の資金援助を受けて孔子学院を開設・運営しているようです。独裁国家を賛美する論文を書かされるようになる前に、孔子学院を閉鎖するのが賢明ではないでしょうか。ただその前に、必ず孔子学院に関わる全会計を公開すべきです。

 

今、注目の共産主義について考える(87)。やはり孔子学院は「中国スパイ機関」なのか。

 孔子学院は「中国スパイ機関」との指摘絶えず、と題する記事が産経新聞平成30年4月11日付朝刊に掲載されていました。孔子学院は世界1600ヶ所に拠点があり、しかも各国は無防備の状態だという。日本の第一号の設立は「立命館孔子学院」で、学校法人立命館と北京大の共同運営で平成17年10月に設置されたということです。

孔子学院の正体は一体なんなのでしょうか。記事では「孔子学院に対しては中国共産党思想の政治宣伝や中国政府のスパイ活動に利用されているとの指摘は絶えない。米連邦捜査局(FBI)長官、クリストファー・レイは2月の上院情報特別委員会で、孔子学院が『捜査対象』になっていることを明らかにした。日本でも22年に大阪産大の事務局長が組合との団体交渉で孔子学院について『(中国の)文化スパイ機関』と発言し、職を辞する事態となった」という。

しかるに、日本の大学が孔子学院を設置するのはなぜなのだろうか?記事によれば「日本国内では18歳人口が減っていく『2018年問題』に直面している。中国からの学生派遣や資金提供は大学にとって運営上プラスになっている面もある。孔子学院を設置したある大学の担当者も『一番のメリットは、中国の学生の受け入れだ』ともらす」。唖然としますね。

さらに「カリキュラムや教材は孔子学院が提供し、資金は中国政府と日本の学校法人が折半するのが原則という。講師は中国の大学から派遣され、講師の給与は漢弁(中国教育省の傘下にある国家漢語国際推進指導小組弁公室)が支給する。中国の大学への留学支援のための奨学金制度もある」ということです。資金援助や留学生受け入れによる収入、そして奨学金制度は確かに魅力的ですね。しかし、魂を売るきっかけにならないことを祈るのみです。

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