山田宏衆議院議員の質疑(2)。2014年2月20日 衆議院予算委員会、「河野談話について」

【山田宏衆議院議員】石原元官房副長官は知らないけれども、こういったものを作るにあたってはありうる話しだだと、今のお話を受け止めました。普通、国の考え方を定めるのに一方的な証言だけでそれを形にすることは、非常に問題だと私は思います。おそらく、大きな政治的判断があって多分韓国側から当時強制性を認めれば、韓国側は納得して日韓関係もこれから未来志向で良くなる、そういった話が相手からもあって、またなんらかの示唆があって、この文章がまとめられたと考えているが、そういった話は当時策定するにあたって内閣官房の中であったのでしょうか?

【石原信雄元内閣官房副長官】韓国側が終始、彼女たちの中には意に反して慰安婦とされた者がいるんだ、そのことをぜひ認めてもらいたいと再三言っておりました。それを証言の結果として、その心証をもとに河野談話は作成されましたが、ご案内のように談話が出された後、韓国側は過去の問題は一応決着したという姿勢で韓国政府がこの問題を再提起することはしばらくありませんでした。私の在職中は全くありませんでした。したがって、そういう効果はあったと思うが、作成過程で意見のすり合わせは当然、行われたことは推定されるが私自身はタッチしていないので確認できません。

【山田宏衆議院議員】配慮が当時、善意だったと思いますよ。善意の部分が多かったと思いますよ。ある程度妥協すれば日韓関係が良くなると、ところが、先ほど紹介しました強制連行や性奴隷と言った言葉が世界中に輸出され、それが碑文となり永遠に残る結果になりました。これだけ韓国側に配慮した結果、河野談話は結果的に韓国側に利用され、この事態に現在なっていると思います。こういった事態を、石原元官房副長官は当事者としてどのように受け止めていますか?

【石原信雄元内閣官房副長官】私は当時、政府としては河野談話の発出にあたり苦渋の選択として慰安婦とされた方にヒアリングを行った。我々は韓国側に対して客観的に過去の事実を話せる人を選んでくださいと、責任を持って選ぶというので16人が選ばれ、そのヒアリングの結果を踏まえて、あの談話になったわけでありますから、16人にどんな問題があったかというのは、我々は韓国側を信頼して、この全体作業が行われてわけでありまして、前提に問題ありという報道もありますが、その点は全く想定していなかったことを申し上げたいと思います。河野談話によって過去の問題は一応決着し、これからは日韓関係は未来志向でいきましょうという話で取りまとめられたわけですから、当時一応少なくとも韓国政府側はこの問題を再提起することはなかった。しかし最近韓国政府自身がこれを再提起するそういう状況を見て、私は、当時の日本政府の善意が生かされてないので非常に残念に思っております。

【山田宏衆議院議員】相手の善意を信じてここまで妥協し、苦労したのに苦渋の選択をしたのに、結果裏切られたという話でした。もう一度石原元内閣官房副長官に確認しますが、河野談話はいわゆる民間業者が騙したり、強圧的に少女たちに色々な行為をしたり、言動をして連れてきたということは、証言として言われたかもしれないが、しかし日本の軍隊や官憲、政府が今言われているように少女たちを強制連行して性奴隷にしたことを、認めたものではないですよね。河野談話は。

【石原信雄元内閣官房副長官】談話の文言にありますように、主として募集は業者が行なっており、その募集の過程で官憲や軍がかかわった可能性があるという表現になっておりまして、日本政府あるいは日本軍の直接的指示で、募集したことを認めたわけではありません。

【山田宏衆議院議員】日本軍や官憲が直接強制連行に加わって少女たちを性奴隷にしたとなどというものを、この河野談話は認めたものではなかった。しかし現在それを一方的に曲解し、そして自分たちの主張に合わせて河野談話が使われるようになりました。私はですね、全ての原因は河野談話の曖昧さにあったと思います。何を誰が強制したのかはっきりしない、韓国側はこう受け取る、日本側はこう受け取る。玉虫色的な妥協の産物であった。まさに事実を確認したものではなくて、政治文書であったと思っています。特にこの談話自体は確たる証拠もなく一方的な証言で、しかもその証言内容も、昨今の調査で明らかになったものによると、かなりいい加減なものであることが分かってまいりました。私はこういった事態に今陥っている中で、この質問の趣旨で申しました通り、日本国の名誉を守り、そして日本国の我々の先人祖父母又はおじさんおばさん、こういった方々の名誉尊厳を守り、そして未来永劫日本の子供たちがこういった世界中に作られるいわれなきこういう言い方によって、そこに行って頭を下げなきゃいけない、丸くなり日本人であることに胸を張れない、この状況をなんとしても改善しなければならない。これが政治家の役割です。石原元内閣官房副長官、最後にもう一度聞き取り調査が河野談話の強制性の原点ですが、この聞き取り調査の再検証というか、裏付け調査というか、こういったものは行われていなかったという話ですが、やはりこれはきちんと行なっておくべきだった。又はこれからでも行う必要があるというお考えをお持ちかどうかお聞かせください。

【石原信雄元内閣官房副長官】当時は慰安婦とされた人たちの中で、客観的な状況を話せる人を選んでいただきたいと、その要請に応えて、選ぶということで、韓国側が16人の候補者を出したわけなので、当時の状況としては、その裏付けを取るというか、できるような雰囲気ではなかったと思います。一般論として、この種のものについては裏付けを取るということがあるでしょうが、当時の状況としてはこちらが要求するような雰囲気ではなかったと思っております。

【山田宏衆議院議員】ありがとうございます。本当は裏付け調査を取るべき話だけれども、当時はそんな雰囲気ではなかった。それができなかったというお話でした。本来これで全部収束するはずだった問題が、今やモンスターのように世界中を駆け巡っています。今や子供たちが自分が日本人であることを、胸を張れない状況に置かれています。私は現内閣においても少なくともこの聞き取り調査、報告の内容について、これからでも構わないので、ぜひ出来る限りこの裏付け調査をして、再検討していくべきだと、16人の慰安婦の方々の発言内容について、当時裏付け調査がされていなかったのだから、やはりこれからきちんと資料を確認し、そして日本政府だけでやれば日本の自分たちの思いだけだろう、こういう風に言われますから、第三国の中立的な研究者も入れて、河野談話の再検証をお願いしたい。官房長官にお聞きします。

【菅義偉内閣官房長官】まず、安倍内閣の基本的な考え方ですが、これまでの歴史の中で多くの戦争があって、その中で女性の人権が侵害されてきた。21世紀こそ、人権侵害のない平和な国にしたい、さらに慰安婦問題についても総理が国会でたびたび答弁しているように、筆舌に尽くし難い辛い思いをされた方のことを思い、非常に心が痛む思いであるということを総理は答弁させて戴いています。歴代内閣も同様の思いと理解しています。そして内閣としてはこの問題を政治問題外交問題にすべきでないという考え方を持っています。ただ先程申し上げましたけれども、前回の第一次安倍政権の時に、強制性について閣議決定したと申しました。こうした経緯も踏まえまして内外の歴史学者や有識者の皆さんによって、さまざまな研究が行われていることも事実です。この問題についても学術的観点からさらなる検討が重ねられることが望ましいと思います。