2005年(平成17年)は大阪市にとってどんな年だっか?

2005年(平成17年)の4月、大阪市は「中期的な財政収支概算」を発表しました。新聞にも大々的に報道されましたが、大阪市は4年後の2009年には財政再建団体(破産という意味)に転落する可能性があるということでした。同年5月、関市長は今後改革に取り組まないと、20年以内に大阪市はなくなるか、吸収合併されるとの見解を示し、官民の役割分担を厳しく見つめ直し、大胆な抜本的な改革を行うと発言しました。そして同年7月、大阪市職員6000人の削減(この時には大阪市職員の数は約4万7000人です。平成27年4月現在は約3万1000人です)、人件費の522億円(10パーセント以上)の削減、地下鉄の民営化などの方針を発表しました。そして、これらを実行するために同年(平成17年)10月に出直し選挙を行うことを決断しました。大平助役はこの時に辞任を表明し、大阪市から去って行きました。これから本格的な改革着手という時期に、実行力のある大平助役を辞任に追い込んでしまったことは、極めて残念でありました。惜しまれた退職でありました。しかし、関淳一市長は再選を果たし、本格的な改革に取り組みました。職員厚遇問題で揺れた公務員の改革、コンプライアンス改革、財政改革、同和対策事業の見直し、敬老パスの見直しなど、抜本的な市政改革への取り組みに着手しました。しかし、2007年(平成19年)の選挙で、平松氏に敗れ、改革は初期段階で頓挫してしまいした。平松邦夫市長の時代はただ時間が過ぎ去ったのみで終わり、平成22年の大阪市財政局の「中期的な収支概算」では『2015年には、約2000億円の累積収支不足に陥り、財政再建団体への転落』が指摘されました。大阪の行方、明暗、大阪が破綻するのか、再生することができるのか、大阪の運命が橋下徹市長に委ねられました。

吉富有治氏の著書、『大阪破産』(2005年10月出版)について。

吉富有治氏の著書『大阪破産』は2005年10月に出版されました。当時の大阪市の状況が手に取るようにわかります。今からでも遅くはありませんので、みなさんもぜひ読んでください。光文社から出版されています。この本の裏表紙にはこのように記されています。「その日はいつか? 日本初の大都市の崩壊。腐敗と放漫財政で税金を湯水のように使ってきた大阪市は、このままいけば2009年には『財政再建団体』に転落すると言われている。つまり破産である。『財政再建団体』とは、ひと言で言えば『破産した自治体』のことで、そうなると、行政サービスは一気に低下し、市民生活まで破壊される。この破産を回避するため、2005年9月末、大阪市は、財政削減と第三セクターの統廃合を含む大リストラ案を発表した。これまで職員のスーツまで税金で支給してきたことを思えば、これは当然の措置だが、それでも、これで破産が回避できる可能性は少ない。いったい、なぜ、こんなことになってしまったのか?本書は、大阪を長年にわたって見つめてきた在阪ジャーナリストの警告の書である。というのも、『大阪破産』は大阪だけの話ではなく、国家破産に向かう日本全体への警告でもあるからだ」と書かれています。