大阪市営交通事業の民営化について考える(5)橋下前大阪市長の発言より

「公営だからこそ担えた役割・使命があるはず、それはおっしゃるとおりです。おっしゃるとおりなんですが、民間だからもっとできたことが公営だからできないということもたくさんあります。だから、公営だからメリットがあるじゃないかという話しだけでなく、公営だからのデメリット、これがはるかに大きいから、国鉄なんかもJRになってきたと。国の公社についても民営化ですね。事業がある程度軌道に乗れば、公営のメリットよりもデメリットのほうが大きいというのは、これは普通の感覚であれば皆が理解できるところかなと思っております。それから、ネットワークの問題についてはおっしゃるとおりであります。鉄道ネットワークの整備、これは大阪の都市力を強化するため、また関西圏の広域的な視点で考えたとしても、ネットワークの整備についてはもちろん重要なことでありますが、一番重要なことは、具体策については政治が口を出さないこと、これに尽きます。・・・・ですから、一番大切なことは、方針を決めるー大阪の都市力強化、関西圏の強化のためには鉄道ネットワークが必要なんだというところを、もし議会の皆さんできちっとこういうかたちで方針を決めていただければ、あとは経営のプロに事業は任せると。今、交通局長1人が民間から入ってきた人材ではありますけれども、本来では取締役を含め鉄道のプロ集団、経営のプロ集団が入った経営ということをやります。もちろん交通局の職員も一生懸命交通事業をやっていますけれども、純粋な交通事業の経営ということではなくて、どうしても政治対応、そういうところに追われるところがある。これは交通局で藤本局長から話を聞きましたけれども、議会対応をするための職員といいますか、その労力というものも、これは民間企業ではありえない、びっくりしたという話も聞いております。決して議会対応をおろそかにするということではなくて、そういうことに民間の企業体というものは力を余り注がなくてもいい環境にある。だから鉄道事業に集中できる。周囲の私鉄とこれからしっかり鉄道ネットワークを形成していくためにも、早く純粋な民間の経営感覚でもって鉄道事業の経営ができるような環境を整えてあげることが我々の使命ではないかと思っております。それと同時に、市民の足を確保する、市民サービス、公の税金を使ってでも確保しなければならない部分については、我々公選職が責任を持ってやっていくべきかと思っております。」(平成24年9月第三回定例会)

 

大阪市営交通事業の民営化について考える(4)橋下前大阪市長の発言より

「民営化のメリットというところがまだ伝わっていないというのは非常に残念なところではあるんですけれども、まず第一に、事業においては、民間の感覚でいわゆる収支を合わせる経営の部分と、それから不採算だけれどもしっかりやらなければいけない公のサービスの部分、ここをしっかり分けるというところが重要だと思っています。・・・・僕も含めてですが、公選職である我々がそのような交通事業について口を出すなんていうことをやるから事業体がおかしくなっちゃうわけです。それは、もう皆さんご存知の通り、住民の声、いわゆる政治ですね、そういうことによって路線のひき方、こういうところに影響が出てしまう。議会のほうで決議を出すというのは、交通のプロでもない議会が路線について決議出してどうするんですか。そういうことを早くやめさせる、議会のほうからのそういう関与というものを交通事業体からなるべく離させることが重要だという思いで民営化ということがあると思っています。ただ、市民の足とか、公が関与しなければいけない部分については、当然これは我々公選職が出て関与して、いろいろ声を上げていかなければいけない。そういう部分をきちっと分ける。・・・・ですから、事業をしっかり分けて、政治が関与する部分としない部分を分ける。通常の経営の部分については政治は関与しない。政治が関与する部分は、ある意味、公がお金を投じて経営とは別の観点で、市民の足を確保する部分に政治というものが関与していくべきではないでしょうか。そいうい意味で民営化というものを打ち出したところであります。・・・真に必要な地域の移動手段を途切れるさせることなくしっかりやっていかなければいけない点は、議会からいろいろ御指摘いただいている通りでありますが、やはり交通事業というものは、最初のイニシャルのとき、だれも事業の担い手がいなかった場合、資金を集めることができない場合には公がやらなければなりませんが、ある程度軌道に乗れば、これは経営でやっていかなきゃいけない。そうなれば、もうそれは政治から切り離していかなければいけない。それは国鉄にしたって何にしたって全部そうですよ。JALにしたって何にしたって、政治が事業に関与したらろくなことが起きませんよ。ですから、政治から事業は切り離す、そういう意味で民営化はしっかりやっていくと。しかし、不採算部門で、事業経営とは別の観点で、どうしても市民の足のために移動手段を確保しなければいけないというところは税を投入する。税を投入する以上は、これは民間事業の感覚ではなくて、住民代表である議員の皆さんに関与していただく。こういう切り分けをやるために民営化というものが必要不可欠だと思っています。」(平成24年9月第3回定例会)