秋山好古の言葉ー『坂の上の雲(3)』p90(司馬遼太郎)より

秋山好古(日露戦争当時、日本陸軍少将、騎兵第一旅団の旅団長)の弟・真之への言葉

「さらに好古はやや遺言めいた重要なことを書いている。『国家が衰退するのは、つねに上流社会の腐敗よりおこる』。上流社会の定義はさておくとして、この当時の日本は陸海軍の佐官以上の家庭はその収入はべつとして、上流社会に属していた。好古は自分も真之もそれに属しているとして書く。『自分の多年の宿論としてそろそろこの社会からひきあげて閑居したい』。つまり少将になったことはたいそうな栄達で、これ以上は栄達すべきでない、という意味であろう」。