日韓問題について考える(40)。韓半島有事に備える。

「北朝鮮崩壊」について、長谷川慶太郎氏の見解を今一度見てみましょう。長谷川氏の著書『2020対局を読む』(2019・10 徳間書店)より引用します。

アメリカに白旗を上げる日が来る北朝鮮

板門店で米朝首脳が会っても核を放棄しないと北朝鮮制裁は続く

「トランプ大統領と金正恩委員長は2019年2月27〜28日にベトナム・ハノイで2回目の米朝首脳会談を行なったのだが、何の合意もなく会談は物別れに終わった。事前には世界の多くの政治関係者が、北朝鮮による寧辺核施設の破棄、核・ミサイル実験の完全停止、アメリカによる制裁の一部解除や平和宣言などで両首脳が合意に達するのではないか、と予想していただけに意外な幕切れとなった。

とはいえ筆者は物別れに終わったのは当然だったと思う。その最大の理由は金正恩委員長が国際情勢に通じていなかったからだ。すなわち中国やロシアなどの東側陣営とアメリカを中心とする西側陣営の軍事バランスは圧倒的に西側が優位にあるのだが、金正恩委員長はそれをまったく理解していない。それでトランプ政権の対北朝鮮強硬派の側近はトランプ大統領に対して『金委員長の国際情勢に対する認識は現実的ではなく、それに引っかかったら大変なことになる。ここは北朝鮮が全面的な非核化に応じない限り一切妥協すべきではない』と進言した。これにトランプ大統領が同意したのだ。

全面的な非核化というのは、新規の核兵器製造を行わないだけでなく、保有する核兵器及び核兵器製造施設の全廃も指している。会談でトランプ大統領から全面的な非核化を迫られたとき、金正恩委員長はそれを受け入れるという思い切った譲歩ができなかった。金正恩委員長が全面的な非核化に応じれば、アメリカは制裁を解いて経済支援も行うことになっただろう。応じなかったのは金正恩委員長の失策であり愚かな選択だった。

物別れはもちろん北朝鮮にとって大打撃となる。例えばインフラでは今、北朝鮮の鉄道は多くの線路が壊れてタイムスケジュール通りの運行ができなくなっているし、北朝鮮の電力供給の中心である水力発電所も老朽化していて、頻繁に停電が起きている。金正恩委員長も線路や水力発電所の新設の必要性は認識しているのだが、北朝鮮にはインフラ整備の資金が全くない。

・・・

北朝鮮は経済制裁の早期解除を望んでいるのだが、板門店で金正恩委員長に会った後も、トランプ大統領は、実務協議の結論を急がずに完全な非核化に向けた包括的な合意をめざす立場に変わりがない、という考えを改めて示した。北朝鮮が完全な非核化を達成するまでアメリカが経済制裁を続ける方針に変わりはない。

・・・

いずれにせよ、アメリカ自身は軍事行動を起こすことなく、このまま兵糧攻めを続けて静観していれば良い。北朝鮮が全面的な非核化に応じてアメリカに白旗を上げざるをえない日を待つだけなのである」と。

示唆に富んだ見識であります。北朝鮮が白旗を上げるとき、同時に大規模な難民が発生することが予測されます。北朝鮮がどのような選択をするのか、様々な観点からの備えが必要であります。

拉致解決に取り組むトランプ大統領と米国民に心から感謝致します。

IMG_5273

 

産経新聞の記事によれば、トランプ大統領から横田早紀江さん宛に書簡が送られていたということです。

「書簡は英文で、『親愛なる横田早紀江様』との表題で始まり、『私と(妻の)メラニアは、滋さんがご逝去されたとの報に接し、悲しみに暮れています』と弔意を表明。2017年の訪日時に、早紀江さんら被害者家族と面会したことに触れ、『めぐみさんと再会し、すべての拉致被害者家族が愛する人の居場所について真実を知るべきであるとのあなた方の不屈の決意に、感動しました』とつづった。また、『早紀江さんと拓也さん哲也さんとともに、めぐみさんを必ずご自宅に連れて帰るという、この重要な任務を続けます』『早紀江さんと滋さんの弛まない活動によって、北朝鮮による拉致問題は日本と米国にとって優先課題であり続けています』とし、拉致解決に向け継続的に取り組む姿勢を鮮明に示した」と報道しています。米国の協力は拉致問題解決のためには不可欠であります。トランプ大統領と米国民に心から感謝します。

産経新聞は7月4日の主張欄で「北朝鮮が圧力を抜きに動くことはない。それは歴史が証明している。日本が軍事力を行使できない以上、同盟国米国にも頼らざるを得ない。安倍首相はトランプ氏に、最大限の圧力路線に立ち返るよう迫るべきである」と述べています。