国家やメディアがつくる「フェイク」について考える(1)。「中国共産党政府の巻」。

櫻井よしこ氏の「美しき勁き国へ」(産経新聞7月5日掲載)より引用します。中国共産党、中国政府によってつくられた“架空の物語”が紹介されていました。櫻井氏は次のように語っています。まず“架空の物語”をつくる中国の意図について、

「習近平国家主席が願ってやまない『中国の夢』の実現は『恥辱の一世紀』の恨みを晴らすことでもある。中華人民共和国建国100年までに中華民族が『世界の諸民族の中にそびえ立つ』には、彼らが奪われたと記憶する領土の回復と失われた栄光の復活が欠かせない。だが他国の領土を奪うには、それが元々中国のものであるのに不当に奪われていたという物語が必要だ」と説明しています。

そのためにつくられた“架空の物語”とは。

1)北朝鮮は中国の一部

「物語のひとつが東北工程と呼ばれるものだ。現在の北朝鮮はかつての高句麗と領土が重なり、高句麗はかつて中国の地方政府のひとつだったために、北朝鮮は中国の一部だという物語である」

2)南シナ海は2000年前から中国領

「南シナ海も同様だ。2016年のアジア安全保障会議で、人民解放軍副参謀長は同海は2000年前から中国領だったと主張し、失笑を買った。だが中国は国際社会の批判など歯牙にも掛けず、本記事執筆中も中国海軍がパラセル諸島周辺海域で大規模軍事演習を続行している」

3)豪州を発見したのは元朝時代の中国の探検家

「彼らが豪州に仕掛けた物語は03年10月、豪州議会における胡錦濤国家主席の演説から始まる。『1420年代には明朝の遠征艦隊がオーストラリアに辿り着いた。その後の数世紀、中国人は海を越えて航海し、豪州に住みついた」そうだ。明代に中国艦隊が豪州近くまで航海した事実はない。だが、2年後、駐豪中国大使は「豪州は中国の世界航海の地図に常に記されていた』と語った。中国共産党中央宣伝部は、提督鄭和が18世紀に豪州を踏査したキャプテン・クックより数世紀も早く豪州に到達していたと宣伝した。嘘は段々と本格化し、ついに2016年、李肇星元外相がオーストラリア国立大学で『豪州を発見したのは「元朝時代(13世紀〜14世紀)の(中国)の探検家だ』と講演した(『目に見えぬ侵略』飛鳥新社、クライブ・ハミルトン著)」

4)尖閣諸島は中国固有の領土

「同じ年の4月、李元外相は第一回日中韓公共外交フォーラム開催中に『日本は中国固有の領土、尖閣諸島を中国に返すべきだ』と語っている。日本に対しても失地回復の意図をもって『物語』を語っているのだ」。