日韓関係について考える(42)。有事に備える。

評論家の江崎道朗氏は7月9日付産経新聞『正論』で朝鮮半島有事の問題にふれ、

将来予見される朝鮮半島有事に際して、拉致被害者の救出を含め日本がいかに関わるのか、国民的議論」が必要との見解を述べています。そして、1950年に勃発した朝鮮戦争で日本が担った役割(後方支援)について紹介しています。

朝鮮戦争時の日本の後方支援とは、

1)掃海部隊の派遣

「日本は朝鮮戦争当時、現行憲法があるにもかかわらず、旧海軍の掃海部隊を派遣し、死者まで出している」

 2)  兵站補給作業

「朝鮮作戦向け兵器弾薬など軍需品その他の積載、輸送、警備、付帯事務等の兵站補給作業に従事したものも相当数にのぼったと推定される」

3)  看護婦派遣

「朝鮮戦争当時、日本は国連軍に対して看護婦も派遣している」

「朝鮮半島有事に日本は無関係ではおれない」とし、有事に際し後方支援のあり方や拉致被害者救出について国民的な議論が必要だと訴えています。そして当然、在韓日本人の救出についても議論しなければなりません。

また有事といえば、中国での有事にも備えなければなりません。長谷川慶太郎氏は「中国経済は明らかに破綻しています。この点については、後ほど詳しく触れますが、問題は中国に在留している日本人です。中国が崩壊の兆しを深め、国内が大混乱に陥った場合、天安門事件(1989年6月4日に北京市にある天安門広場で民主化を求めて終結した学生と一般市民に、人民解放軍が武力弾圧した事件)のような大暴動が至る所で起きる可能性が高いのです」(『朝鮮崩壊』2014・6実業之日本社)と述べています。

日韓問題について考える(41)。「日韓関係はしだいに修復されていく」ー長谷川慶太郎氏。

日韓問題についての長谷川慶太郎氏の見解を拝聴します。前回と同じく『2020長谷川慶太郎の対局を読む』(2020・10 徳間書店)から引用します。

輸入管理がしっかりしていれば日本政府は必ず許可する。

「第一段階と第二段階の措置を取った理由について日本政府は、いわゆる禁輸措置ではないとしたうえで、日韓政府間の対話が一定期間ないことや韓国側の輸入管理体制がしっかりしていないことを指摘した。つまり日本政府は、韓国向けの輸出品の規制を強化したのではなく、これまで簡略化していた輸出手続きの優遇措置をやめただけなのだ。実際、優遇措置を利用して日本からの輸入品を北朝鮮向けに密輸して儲けるという業者がいた。密輸品の中には北朝鮮のミサイルや化学兵器の素材・部品に転用されているケースもある。そのような安全保障上のリスクをなくすのが日本政府の方針ということだ。逆に言うと、輸入管理がしっかりしていれば日本政府は必ず許可する」

日韓基本条約と日韓請求権協定の破棄は不可能。

「本来、日韓基本条約と日韓請求権協定を踏まえれば、いくら大法院でも原告の主張を認めるはずがない。認めたのは日韓基本条約も日韓請求権協定も無効だと考えたからだ。無効というのはそもそも1910年の日韓併合を非合法としたことによる。つまり、無理やり植民地にされ、そこで精神的苦痛を味わった原告に対して慰謝料を払うのは当然だというのが、徴用工訴訟をめぐる大法院判決なのである。・・・・一部では、光復節演説で日韓基本条約及び日韓請求権協定の破棄を宣言するのではないかという見方もあったが、そんなことをすれば国交断絶に追い込まれてしまう。そもそも日韓基本条約は国交回復のために結ばれたからだ。・・・・国交断絶はありえないので日韓基本条約及び日韓請求権協定の破棄も不可能だ

時間はかかるものの、日韓関係は修復されていく。

「それにしても、これまでの日本政府は韓国政府に甘かった。韓国政府が多少無理なことを言っても、結局、受け入れてしまうところが日本政府にはあった。それで味をしめて韓国政府は前言を翻すようなことをたびたび行ってきた。だが、さすがに日韓基本条約と日韓請求権協定を守らないのを日本政府は許すわけにはいかない。今後もこの姿勢を堅持していくべきである。と同時に主張すべきことはしっかりと主張していく必要がある。これまでその点が弱かった。日本と韓国にとって最もプラスになるのはお互いに友好関係を維持していくことだ。それは韓国も分かっているし、むしろ日本が輸出手続きの優遇措置をやめたことで改めて痛感したはずである。時間はかかるものの、日韓関係はしだいに修復されていくだろう」と述べておられます。

長谷川氏が言われるように、日本と韓国の関係が修復され日米韓共同で北朝鮮や中国に対峙することができればと思うのですが、文在寅政権に期待できるのでしょうか。文在寅氏の政治哲学が全く見えません。