大阪市営交通事業の民営化について考える(9)自民党の12項目の要求について

地下鉄建設には膨大な事業費が必要であります。8号線の今里から湯里六丁目までの延伸にかかる建設費は約1300億円と言われています。かかる事業を実現するには、①大阪市の財政状況、②事業の採算がとれるのか、③国が建設を認めるかなどの課題があります。②について、大阪市ネットワーク審議会の答申では8号線の延伸は公営、民営にかかわらず採算性が厳しいと指摘されています。①について大阪市財政局は大阪市財政の現状認識として毎年約200億円から300億円の通常収支不足が続くとしています。厳しい財政運営が強いられています。大阪市の財政状況について、自民党大阪市会議員団はどのように見ているのでしょうか。平成28年1月14日の黒田議員による代表質問(党を代表する質問)の中で、「財政に関する認識について」と題して市長に質問をしています。この中で「当面見込まれる通常収支不足との関係において、本市財政に関する認識と、予算編成にあたっての方針、そして子供の教育費、医療費無償化にかかる財源はどうするのか」「ここまで学校教育ICTやバウチャー等、多額の財源が必要な事業について指摘をしてまいりましたが、さらに市長は、施政方針の中で、子どもの教育・医療費無償都市大阪を目指すとして市民サービスの拡充を宣言されておりますが、今後、当面見込まれる通常収支不足との関係で問題はないのでしょうか。前市長は、将来世代に負担を残さないため、予算編成に当たっては、補填財源に依存することなく、収入の範囲内で予算を組むとして、通常収支不足の解消を目指しておられましたが、市長はその方針を変更するということでよろしいのでしょうか」と吉村新市長が打ち出した5歳児の教育費無償化と、18歳までの子ども医療費無償化拡大について、財源はどうするのかと厳しく追求しております。言うまでもなく吉村市政での5歳児教育費無償化や子ども医療費無償化の18歳までの拡充などは、今までの改革によって生み出された財源によるものです。財源がなければ施策を実行することはできません。自民党が財源について追及するのは当然であります。しからば8号線延伸のための膨大な事業費について自民党はどのようにされるのでしょうか?吉村市政での施策について、その財源を追及するのであれば、当然自民党が主張する8号線延伸のための財源について自民党が説明する必要があります。我々だけでなく、市民も大いに関心を持っていることと思います。自民党の考えを聞きたいものです。③の国の助成制度を活用するためには、大阪市の財政計画を明確にしなければなりません。

大阪市営交通の民営化について考える(8)自民党の12項目の要求について

自民党大阪市会議員団として地下鉄8号線未着工区間の延伸を主張し、そのための基金として100億円とも400億円ともいわれる基金を積み立てるようにとの主張であります(新聞情報によれば、新聞情報しかありません、説明がないので)。現在営業している今里筋線では、年間約50億円の赤字を出しております。未着工区間(今里〜湯里六丁目)の工事費は約1300億円といわれ、当然借り入れ資金による建設となります。それだけの巨費を借り入れてまで、さらに赤字が積み増すことが明確であるにもかかわらず、今里筋線未着工区間の建設を迫っているのが自民党大阪市会議員団であります。本来新規路線の整備と地下鉄の民営化は別の問題であります。本当に民営化に賛成ならば、まず民営化を進め、その後に新規路線の整備のあり方について議会で議論を重ねるとともに、施策を積み重ねて、しかるべき条件整備を図っていくべきであります。本来は民営化に賛成なのに、民営化と直接関わりのない自民党の要求をのまなければ民営化に反対するというのは、いったい何をしたいのでしょうか?賛成なのに反対をするという。自分の立場を利用して賛成して欲しければ、この条件をのめということでは、脅迫じみていると感じるのは私だけではないでしょう。その結果は膨大な借金と膨大な赤字であります。自民党大阪市会議員団としても大阪市の財政状況の厳しさは認識しているはずです。平成28年3月の荒木肇議員の代表質問では「大阪市自身も当面は通常収支不足が見込まれる中、幼児教育無償化やこども医療費助成の拡充は多額で恒久的な財源が必要となるが、どうするつもりなのか」と、市民生活に不可欠な予算の財源をめぐって市長の姿勢を厳しく追求していました。ましてや自民党として地下鉄8号線の未着工路線の建設を主張するならば、財源をどうするのか、赤字対策をどうするのか、その財政計画を説明すべきであります。“ねだる”だけでなく責任政党としてきちんとした財政計画を示さなければなりません。さらに疑問として浮上するのは、他の条例路線や、国の答申に盛り込まれた路線についてはどうするのでしょうか?課題は8号線だけではありません。8号線だけが大切だということにはなりません。全体の整備計画のあり方について、これについても見解が示されていません。納得のいく説明を求めるとともに、まずは市民にしっかり説明しなければなりません。