今、注目の共産党について考える(8)日本共産党の日本人民共和国憲法草案

共産党の日本人民共和国憲法草案には受刑者についても記載されています。第二十二条「刑罰は受刑者の共和国市民としての社会的再教育を目的とする」。第二十三条「受刑者を含む被拘禁者にたいして進歩的民主主義的出版物の看読を禁止することはできない」。とあります。受刑者がどのように扱われるべきかが書かれています。中華人民共和憲法にはこれに該当する条文は見受けられませんでしたが、第二十八条には「国家は、社会秩序を維持保護し、国家に対する反逆及び国の安全に危害を及ぼすその他の犯罪活動を鎮圧し、社会治安に危害を及ぼし、社会主義経済を破壊し、及びその他の罪を犯す活動を制裁し、犯罪分子を懲罰し、改造する」とあります。日本人民共和国憲法草案でいう「社会的再教育」「進歩的民主主義的出版物の看読」という言葉が、中華人民共和のいう「改造」と同じ意味を持ち、表現は直接的ではありませんが、日本人民共和国憲法草案の趣旨は、“受刑者を改造する”ということでありましょう。そして受刑者を共和国市民に改造するために、強制労働を科したり強制収容所に送ったりして、共産主義の思想教育を徹底して行い、自己批判につなげるということになるのでしょう。「改造」できない場合には、最後には生存の保障もないということなのでしょう。わざわざ日本人民共和国憲法草案に受刑者の扱いについて言及しているのは、受刑者に対する「改造」行為の正当化と、人民民主主義体制において「改造」に重要な位置付けを与えるためでありましょう。プロレタリア独裁の社会は、労働者天国とは無縁の世界であります。

今、注目の共産党について考える(7)日本共産党の日本人民共和国憲法草案

共産党のいう労働者階級が支配する世の中、プロレタリア独裁の社会とはどのような社会なのだろうか。ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊して、「その経済制度、社会の土台に毎年数百万の奴隷労働が組み込まれた、社会主義国とは言えないような社会であったことが明らかに」(兵本達吉氏)なりました。毎年数百万人の奴隷労働者がいたということであります。プロレタリア独裁で、労働者天国であるはずの社会主義社会で奴隷労働者が、しかもこんなにも多くいたという、全く信じられない事実であります。かってシベリヤに抑留された日本人が過酷な労働を強いられたことからして、奴隷労働者の境遇も推し量ることができます。北朝鮮の強制収容所での人間としての限度を超えた悲劇については、日本のメデイアでも見聞するところであります。労働者階級が支配する、共産党のいう労働者の天国であるはずの社会主義、共産主義の国において、なぜ奴隷労働というものが存在するのか。日本人民共和国憲法草案第三十二条「労働の期間及び条件は労働者の健康、人格的威厳または家庭生活を破壊するものであってはならない」。第三十三条「人民は休息の権利を持つ。この権利は一周四十時間労働制、一周一日・一年二週間以上の有給休暇制、休養のための諸施設ならびに労働諸法規によって保障される」。三十六条「家のない人民は国家から住宅を保障される権利をもつ」。中華人民共和憲法にも第四十三条に「中華人民共和の勤労者は、休息の権利を有する。国家は、勤労者の休息及び休養のための施設を拡充し、職員・労働者の就業時間及び休暇制度を定める」とあります。社会主義の国は労働者にとって天国ではなかったのか?世界共産革命のリーダーであったソビエト社会主義共和国連邦や中華人民共和国こそ、その見本になるはずではなかったのか?しかし現実には数百万人の奴隷労働者によって経済・社会が支えられていた。かって地上の楽園として日本のマスコミは北朝鮮を礼賛したが、現実は地上の地獄であった。憲法で、プロレタリア独裁をいかに美化しようと、その行き着く先は奴隷社会なのか。