共産党の日本人民共和国憲法草案には受刑者についても記載されています。第二十二条「刑罰は受刑者の共和国市民としての社会的再教育を目的とする」。第二十三条「受刑者を含む被拘禁者にたいして進歩的民主主義的出版物の看読を禁止することはできない」。とあります。受刑者がどのように扱われるべきかが書かれています。中華人民共和憲法にはこれに該当する条文は見受けられませんでしたが、第二十八条には「国家は、社会秩序を維持保護し、国家に対する反逆及び国の安全に危害を及ぼすその他の犯罪活動を鎮圧し、社会治安に危害を及ぼし、社会主義経済を破壊し、及びその他の罪を犯す活動を制裁し、犯罪分子を懲罰し、改造する」とあります。日本人民共和国憲法草案でいう「社会的再教育」「進歩的民主主義的出版物の看読」という言葉が、中華人民共和のいう「改造」と同じ意味を持ち、表現は直接的ではありませんが、日本人民共和国憲法草案の趣旨は、“受刑者を改造する”ということでありましょう。そして受刑者を共和国市民に改造するために、強制労働を科したり強制収容所に送ったりして、共産主義の思想教育を徹底して行い、自己批判につなげるということになるのでしょう。「改造」できない場合には、最後には生存の保障もないということなのでしょう。わざわざ日本人民共和国憲法草案に受刑者の扱いについて言及しているのは、受刑者に対する「改造」行為の正当化と、人民民主主義体制において「改造」に重要な位置付けを与えるためでありましょう。プロレタリア独裁の社会は、労働者天国とは無縁の世界であります。