今、注目の共産党について考える(40)『大いなる失敗』より(1)

「ブレジンスキーは、共産主義を「歴史の悲劇」以外の何ものでもなかったと総括する。理想主義に発しながらも、理性の力を過信し、結果的に史上未曾有の巨大な抑圧と犯罪行為を生み出したのであった」。これは今から28年前の平成元年に出版された『大いなる失敗』(ブレジンスキー著作:カーター政権で国家安全保障問題担当大統領特別補佐官を務める)の訳者伊藤憲一氏のあとがきでの言葉です。共産主義の政策によって、いかなる災禍が人類にもたらされたのか、ブレジンスキー氏の著書を見ていきます。「マルクス・レーニン主義政権が社会を共産化する過程で、どれほどの人命が犠牲になったか、大まかな推定をすることはできる」「(1)権力獲得の過程での処刑:革命や内戦での戦死を除く、処刑による死者の数は、ソ連で少なくとも100万人、中国で数百万人、東欧で約10万人、ベトナムで少なくとも15万人と推定される。(2)権力獲得後の政敵や反抗者の処刑:これらの殺戮は、共産主義者が全国を制覇していった数年間にわたり行われた。大まかな推測で、その数は(1)であげたものと同程度と思われるが、ソ連と中国の合計は控えめに見ても500万人と言われる。(3)実際の態度に関係なく、政敵になる可能性があると思われた階級に属する人々の根絶:元軍人、役人、貴族、地主、僧侶、資本家が典型的な例である。処刑されたり、強制労働収容所に送られ、そこで大多数の人々が死亡した。その数は見方によってかなりの幅があるが、最近のソ連、東欧、中国の発表から推測しても、300万人から500万人は下回らないものと思われる。(4)自営農家の解体:ソ連のクラークと呼ばれた階級がその代表例である。クラークは処刑または収容所送りとなって消滅した。ソ連と中国において抹殺された自営農家の合計は、数百万人から1000万人近くで、ベトナムと北朝鮮が数十万人と思われるので、この種の死者は1000万人以上であろう」。(続く)

今、注目の共産党について考える(39)日本共産党解散の勧め

日本共産党の綱領に明記されている「生産手段の社会化」は憲法違反か?憲法で保障されている財産権、自由権について考えます。日本国憲法第97条には「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し犯すことのできない永久の権利として信託されたものである」と記されています。憲法第11条には「国民はすべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる」とあります。その国民が永久に享受すべき権利として基本的人権、平等権、自由権、社会権、幸福追求権などが挙げられます。この中の自由権について、特に経済活動の自由について考えていきます。憲法第22条は居住・移転・職業選択の自由を保障し、憲法第29条第1項には「財産権はこれを侵してはならない」として、私有財産を保障し、国家はそれを侵してはならないという財産権の不可侵が定められています。昭和62年の最高裁の判例でも、憲法は「私有財産制度を保障しているのみでなく、社会的経済的活動の基礎をなす国民の個々の財産権につき、これを基本的人権として保障する」と判示されています。国民の個々の財産権を基本的人権として保障しているのが日本国憲法であるにもかかわらず、この財産権を否定して、国民から財産を剥奪し国有化や集団所有 とし、国家権力で管理・運営するために、共産党の綱領に明記されている「生産手段の社会化」を行うということであれば、これは憲法で保障されている基本的人権、自由権、財産権を踏みにじることになります。憲法違反となります。共産党が本当に“護憲”を主張するならば綱領を変更しなければなりません。しかし、未だに変えていないということは、“護憲”は当面の間だけの期間限定の方針ということになります。当面は“護憲”を主張して政権を目指し、ゆくゆくは共産党単独政権を樹立して、生産手段の社会化などの社会主義政策を進めようということでしょう。つまり“護憲”は共産党政権樹立のための方便、策略にすぎないということが分かります。