IRになると反カジノになる奇妙な話。

競輪、競馬、競艇などはいわゆる公営ギャンブルと言われています。日本各地にそのギャンブル場があり、多くの市民・国民がそこに出入りしています。そしてギャンブル依存症に苦しむ本人や家族の悲劇は幾度となくマスコミでも報道されてきました。しかし、しかしであります。テレビやラジオ、新聞などのマスコミは毎日のようにギャンブルを実況中継し、報道してきました。競馬の実況中継、競輪・競艇の実況中継。おまけにいくら儲けたかまで報道する始末です。ギャンブルの実況中継や報道によって多くの国民をギャンブル場に誘導してきました。ギャンブル振興に一番貢献してきたのはテレビ、ラジオ、新聞などのマスコミではないでしょうか。それがIRの議論になった途端に、反ギャンブル論を展開する。ギャンブル振興に一番貢献しているのにです。実に奇妙な話です。また、パチンコ・スロットもギャンブルなんです。ところがこれまたテレビ、新聞、ラジオなどでは盛んにパチンコ産業を広告することによって国民にギャンブルを拡散してきました。それがIRの議論になった途端に、反ギャンブル論を主張する。まるでパチンコ・スロット、競輪、競馬、競艇などはギャンブルではないと主張しているように聞こえます。実に奇妙な話であります。もしかして、既存のギャンブルの既得権者を守ろうとしているからなのでしょうか?と考えてしまいます。大切なことは、IRを含めてギャンブルとどう向き合って行くべきなのか、事業者や政府、自治体の責任や取るべき対策について、真剣に考えることだと思います。

やっと腰を上げた民進党。

民進党の蓮舫代表が、ギャンブル依存症対策基本法案をつくる方針を、記者会見で示したということです。やっと気がついたのかと思うとともに、半歩前進として、今後の取り組みに期待したいと思います。ギャンブルはIRによって初めて登場するのではありません。ギャンブルはすでに存在しています、パチンコ・スロットなどは街の隅々にあります。売り上げは20兆円とも30兆円とも言われ、ギャンブル依存症による悲惨な事件や出来事も後を絶ちません。パチンコ・スロットだけでなく公営ギャンブルも極めて盛んであります。ギャンブルはすでに莫大な規模で存在し、その弊害は大きな社会問題となっています。シンガポールでは宝くじもギャンブルとして扱われています。あっちのギャンブルは良くて、こっちのギャンブル(IR)は悪だ、という理論は通じません。むしろ問題なのは、依存症対策を含めギャンブルを適切に管理・統制してこなかったことであります。IRに関する議論をきっかけに、ギャンブルについて根本的に考える必要があります。