大阪の都市制度改革の必要性について考える(35)。「特別自治市構想」について、自民党大阪市議団の見解と橋下前大阪市長の見解。皆さんはどう思われますか。

自民党大阪市議団は大阪の大都市制度に対する解答は「特別市」だという。

特別市(政令指定都市市長会が提案している特別自治市構想のことと思われます)になれば「例えば、課題として上げられることの多いムダな二重行政についても、特別区なら完全になくなりませんが、特別市ならすべてなくせます。・・・・私たちは特別市こそが大阪の発展にふさわしいと考えています」。「大阪市が特別市になったら、ムダな二重行政を完全に解消できる。市が府県と全く同じ権限を持つことができる」。これが「大都市制度への解答」などと市政報告紙の『自民市民』に記載しています。残念なのは、この紙面では特別市構想の説明は全くなく、かかる主張のみしか記載していないことであります。

橋下前大阪市長の特別自治市構想についての評価を改めて紹介します。

「これは、先日、地方制度調査会でヒアリングに呼ばれて行ってきましたけれども、特別自治市構想はもうボロボロでした。もう論理的に破綻しています。これはなぜかというと、川崎市長の阿部さんが一生懸命、特別自治構想を言われていたんですが、地方制度調査会長の西尾会長から、では政令市の周辺の市町村の財源はどうなるんですか。この点については一切答えられませんでした。国全体の統治機構を考えたときに、では特別自治市というのは20の都道府県を増やすようなものになり、全国に67の都道府県をつくるような話になりますかというような、そういう指摘に対しても、特別自治市構想は何も答えられませんでした。と言いますのは、この特別自治市構想というものは、政令市の権限と財源を増やすということだけが軸となっていまして、日本全体の統治機構をどう整理するかという視点が全く欠けております。ですから、財政調整の問題もしかり、全くそのあたりについて整理できていない特別自治市構想は、地方制度調査会の中でもうボロボロに論理破綻になっているということです」(平成24年3月本会議)。

 地方制度調査会での「特別自治市構想」の議論については、前のブログで一部分ですが紹介していますので、参考にしてください。橋下氏のいう論理破綻した特別自治市構想を、自民党大阪市議団は「大都市制度の解答」と言っています。なぜなんでしょうかね。

大阪の都市制度改革の必要性について考える(34)。政令指定都市市長会が提案している「特別自治市」とは。阿部川崎市市長の言より。

第30次地方制度調査会、専門小委員会(平成24年2月)での

阿部川崎市市長の発言より、その他ピックアップしてみました。

「そして、それよりも今、行財政改革時代ですので、選挙をやって公選職を増やすことがいいのかどうかという問題も一緒に考えていかないといけないと思っております。とにかく政令市の県会議員をなくして、暫定的に必要であれば、市議会議員として選ばれた人の中から県議会議員として送るという仕組みを暫定的に考えていってもいいのだろうと思います。市から出てくる税金を県にも回すということであれば、そういう形で、市議会議員の上位得票者を何人か県会議員にして、兼務をしてもらうというやり方だってあるのだろうと思います」。

「実質、特別自治市にするという手だってあると思うのです。その場合に、住民に近いところに議会を設けるかどうかということですが、実は、私ども区民会議をつくってどういう具合にやっているかというと、公募の人数を少なくしているんです。それは入ってきて文句ばかり言っているんです。行政が肥大化するようになるんです。・・・ですから、そういう時代の流れの中で、民主主義が本当に機能するかどうか、私は疑問を持っているんです。例えば東京都の特別区は議会と区長公選があるために、ものすごく金がかかっているはずなんです。ですから、その辺の時代の流れとして、少子高齢化が進んで、税収が余り上がらない時代の組織機構というものも、真剣に検討していく必要があると思っております。今は科学技術が発達しているので、できるだけ科学的に行政をやるという考え方をとると、かなり住民の意向を把握しながら、住民の意向に近い行政を縦割りの行政の中でできると思っています」。

行財政改革という観点から、政令指定都市での府・県会議員を無くして、市議会議員が兼務するという話。また同じく行財政改革から、東京都の区議会議員選挙や区長選挙にはお金がかかるので、そのようなことをしなくても、科学的に行政を行うことによって住民の意向に近い行政を行うことができるという話。多分これらは特別自治市構想と不可分の考え方なのだと思います。住民自治から遠ざかっていく話であります。それにしても大阪の自民党府議会議員はこのことを知っているのだろうか。自民党大阪市議団は特別自治市が大阪の目指す都市の姿だと言っています。