今、注目の共産党について考える(60)。共産党の敵の出方論に見る独裁性。

「敵の出方論」について不破哲三氏は次のように述べています。

「我が党が綱領にも書いてあるように、政権につくときは選挙で多数を得て政権につく、大方針です、これは。・・・・国の政治でも国会の多数を得て政権につくというのは我が党の綱領に明記した方針です。それに対して、政権についたときにその共産党の入った政権なるが故に従わないという勢力が出た場合、そういう勢力がさまざまな暴挙に出た場合、それに対して黙っているわけにはいかない、そういうのは力をもってでも取り締まるのが当たり前だ、これは憲法に基づく当然の権利でしょう」(1989年2月18日の衆議院予算委員会で不破哲三氏の国会での発言)。このように発言しています。

これは一旦政権を取れば絶対に手放さないという決意の現れと言えるでしょう。共産党は民主主義政党だと装って、国民を欺いて政権の座につく、政権を握るやいなや、共産党政権の政策に従わない勢力に対して「力でもって取り締まる」。少数意見の尊重という、いつも共産党が言っていることと全く異なる主張であります。「力でもって取り締まる」のは「憲法に基づく当然の権利だ」とまで不破氏は言い切っています。共産党の本性を垣間見る事ができます。もし国民が「暴挙」にでるぐらい反発をしているとすれば、その国民の声に謙虚に耳傾けていくのが民主主義のあり方であります。しかし共産党は一度政権を取ると、その政権の方針にいかなる反対も許さない、そして最後には「力をもってでも取り締まる」と不破哲三氏は主張しています。このことは共産党が民主主義とは無縁の政党であることを明確に示しています。独裁主義そのものであります。

故にいかなる形であれ、共産党に政権をとらせてはならない。その理由はまさにここにあります。

しかしなぜ、選挙で多数を得て政権についたにも関わらず、「力をもってでも取り締まる」ことを想定しなければならないのでしょうか。それは共産党の綱領にも書いていますが「生産手段の社会化」といって、農地を農民から強制的に取り上げ国有化したり、資本家、株主から生産手段や財産を奪い共産党の管理下に置く政策を行うからであります。 このような共産党政権の政策には当然反対者が続出します。過去、共産主義者が行ってきたこの生産手段の社会化政策は考えられないほどの悲劇をもたらしました。強制労働収容、強制移住、粛清などによって歴史上何千万 人という 尊い命 が奪われてきました。日本共産党はこのことを想定して  いるからこそ、力でも って取り締まると言っているのでしょう。

しかし、そもそも指摘しなければならないのは、戦後の一時期、同じことを共産党は主張し、平和的革命・愛される共産党を全面的にアピールしていました。しかし、スターリンの『コミンフォルム』より武力革命の指令が出されるやいなや、日本共産党は暴力による革命へと方針を転換しました。そして実際に武器をもって騒乱事件を全国各地で起こしました。共産党は表面上、民主主義や平和主義を装っているだけで、世界情勢、国内情勢によってはいつ武力革命路線に転換するかわかりません。平和主義を装って、革命の時の到来を待っているのです。「国会の多数を得て政権につく」と言う不破哲三氏の言葉は、国民を欺くためのもので、全く信用できません。なぜなら全国各地で起こした戦後の騒乱事件について、共産党はいまだに謝罪すらしていません。

今、注目の共産党について考える(59)。中国、企業活動の自由もなし。企業活動も共産党がコントロール。

平成27年8月17日の日本経済新聞の一面トップ記事に「中国企業『党の介入』明文化、上場288社定款変更」との見出しの報道がありました。それによれば、

「日本経済新聞社が調べたところ、党が経営判断に深く関わることを容認するなどの項目を盛り込んだ企業が4月以降で約200社にのぼった。党の意向をくんだ経営が一段と強まれば、外資企業にとって合弁事業など中国投資のリスクが高まる可能性がある。世界規模の企業もあり、国際秩序と相いれず新たな摩擦を生む恐れもある」。

「中国の憲法では党が国家を指導すると明記されている。党主導の国とはいえ、株主に一般投資家も多い上場企業が、党が企業経営の意思決定にまで関与することを自ら容認し、定款まで書き換えるのは異例だ。具体的には『企業内に党の中心的地位を認める』『社内に党組織を設立する』『重大な経営の決定事項の際は、事前に社内の党組織の意見を優先的に聞く』『会社の経営トップは社内の党組織トップを兼務する』などの内容が明記された。業種も多岐にわたる。中国工商銀行など四大銀行や鉄鋼大手の宝山鉄鋼、通信大手の中国聯合網絡 通信、トヨタ自動車やホンダと合弁事業を行う自動車大手の広州汽車集団などが含まれる。広州汽車は社内に党組織を作り、そこに十分な人材を配置し、活動費も企業負担を保証するという内容まで定款に わざわざ盛り込んだ」。

「習氏の権力基盤が固まれば中国企業への党支配はさらに広がる。外資企業にとっては、合弁相手の中国企業が党の意向に振り回され、幹部人事や新規事業の決定などで迅速な決定ができず、経営が滞るといったリスクを抱えることになる。中国投資について、今まで以上に慎重な経営判断が求められそうだ」と報道されています。

このことについては平成29年6月29日の産経新聞のオピニオン欄に石平氏がChina Watch「完全支配体制をめざす『党建』」と題して寄稿しています。この中で石平氏は、

「『党建』とは中国共産党の専門用語で、『党組織の建設』を指している。『党建全面カバー』とは要するに、 中国国内に存在するすべての機関や企業体、各種の社会団体にあまねく共産党組織をつくり、党組織のネットワークを持って中国社会を完全にカバーすると言う意味合いである」。「民営企業や外資企業など国有企業以外の企業体」や「学術団体や業界団体、NPO組織や同好会など、ここ20年で頭角を現し、各分野で活躍している民間団体」などすべてに党組織をつくることによって、「すべての中国人は、みじかにある共産党組織によって監視、管理され、逃げ場のない『完全支配体制』の中で生きていくしかないのである。・・・・」

「外資企業がそこから逃れる唯一の道は、共産党支配の中国から一日も早く撤退することであろう」と。

生産手段の社会化(私有財産の否定と国有化)は共産主義の本質であります。自由は共産党一党独裁を脅かすが故に、共産党は一切の自由を認めません。生産手段の社会化と矛盾する経済活動の自由も当然共産社会では認められることはありません。これ以上経済活動の自由を許せば共産党一党独裁が維持できないという、ギリギリのところで、習政権はあらゆる企業、あらゆる団体を共産党の管理下に置くという「党建全面カバー」を決断したのだと思います。しかし、経済活動の自由を否定し企業を共産党の管理下に置くということは、経済の失速を招きやがて経済全体の崩壊に繋がっていきます。

経済活動の自由を認めれば共産党一党独裁は存続できなくなり、経済活動の自由を否定すれば経済社会は崩壊し、共産党の一党独裁も危うくなります。もはや共産党一党独裁を維持する道は完全に塞がれたということでしょう。共産党支配の終わりが来た時のことを今から考えておかなければなりません。