日韓問題について考える(44)。北朝鮮情勢は如何に、「金正恩の肉声、なお聞けず」

 北朝鮮の最近の情勢について2人の識者の見解を見ていきます。

最初に東京通信大学教授・重村智計氏の見解です。『朝鮮半島通信146』(Hanada 2020,10)より一部抜粋し紹介します。

「表現変化の理由。いわば唯一領導体系は、すべての幹部が指導者にだけ報告し、指示を仰ぐ『縦の指導』なのだ。そのため書記同士や軍の幹部たちが勝手に集まり会議を開く『横の連絡』は禁止された。書記同士でも、二人以上で会談する場合は必ず指導者の許可を得ていた。これはクーデターや反乱を防止するためで、軍の将校や幹部の言動は厳しく監視され、家庭と事務所にも盗聴装置がつけられている。・・・政務局会議の開催と写真の公表は、これまでならあり得ないことだった。しかも報道は金委員長が政務会議を『指導された』とは書かず、会議に『参加され、司会された』と表現したのだ。北朝鮮では、指導者に関する表現は厳しく決められている。他の政務局員と同列になる『参加された』との言葉を使うことも、これまでならありえない。だが、同じ表現と報道が今年五月以降続き、『指導された』が使われたのはたった一回だけだった。なぜ表現が変わったのか。考えられるのは、①金委員長が重体で、影武者が演じているから、②金委員長が考えを変えたから、の二つの理由しかない。・・金委員長の身に何が起きたのか、引き続き注視が必要だ」。

次に、9月9日の産経新聞『正論』に掲載された西岡力氏の見解を一部紹介します。

「北朝鮮で異常な出来事が続いている。その原因は、金正恩委員長の個人資金である党39号室の外貨が制裁の結果、枯渇してきたことだ。安倍晋三首相の置き土産と言うべき最強圧力が効果を上げてきたのだ」

「その上、金正恩政権を決定的に追い詰める事態が起きた。8月25日に、中国政府が北朝鮮との国境を完全に封鎖するという挙に出たのだ。中国政府が中朝国境の税関を閉鎖してモノの流れを止めると同時に、北朝鮮人の中国入国をストップさせた。・・・現在、海外にいる北朝鮮関係者は多額の外貨上納を迫られている。ハッカーらも例外ではないはずだ。ところが北朝鮮ハッカーが金融機関を襲っていることが広く知られるようになり警戒が厳しくなってきた。そこで、禁じ手とも言える中国人の口座から金を盗んだのではないか。39号室資金枯渇の影響がここにも表れている。中国が石油や食料なども止めたならば、軍も維持できない。金正恩体制は持ちこたえられない。まさに体制の危機だ」。

金正恩委員長の体調に異変?  39号資金の枯渇?  体制の危機? 

韓国や日本は備えができているのだろうか。

中国共産党政府との関係を見直そう(110)。日本の大学は大丈夫?

【ワシントン(9月)1日 ロイター 】「ポンペオ国務長官は1日、米大学内に設置されている中国政府の非営利団体『孔子学院』について、年末までに全てを閉鎖することを望んでいると述べた。ポンペオ氏は8月、中国政府が出資する孔子学院について、米国の大学や学校などで中国政府のプロパガンダと有害な影響を拡散する機関であるとの認識を示し、大使館などと同様に外交施設としての登録を義務付けると発表した」。

1E901BA0-A5AA-4F36-A143-13D121038D1D

 【8月14日 産経新聞】「ポンペオ国務長官は13日、中国政府が米国の大学内などに設置している中国語普及のための非営利教育機構『孔子学院』について、『中国共産党による世界規模のプロパガンダ(政治宣伝)工作に使われている』と断定し、米国内の学院を統括するワシントンの『孔子学院米国センター』を大使館や領事館と同様の外国公館に指定すると発表した。ポンペオ氏は声明で『孔子学院は中国政府と中国共産党の宣伝工作部門から資金提供を受けている』と指摘。また、『中国は米国の開放性につけ込み、米国内で大規模な政治宣伝や影響力拡大工作を展開している』と強調した。・・・ステイルウエル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は13日の電話記者会見で『孔子学院は米国から追放する意図はないが、学院が中国共産党の意を受けて運営されていることを明確にする』とした。ステイルウエル氏によると、米国では現在、約500もの孔子学院主催の授業が開講しているとされる。また民間団体『全米奨学生協会』によると6月末現在、米国内には75の孔子学院が存在し、うち66が大学や短大に設置されているとしている」。

【8月26日産経新聞】「菅義偉官房長官は26日午前の記者会見で、中国政府が国外での中国語普及の拠点とする『孔子学院』を米国が外国公館に指定すると発表したことについて『わが国も関連する動向はしっかり注視している』と述べた。同時に『米国とは平素よりさまざまな課題について緊密に連携しており、今後もしっかり対応していきたい』とも語った」。

最近の孔子学院に関するニュースを見てきましたが、日本の大学は大丈夫なのか心配ですね。アメリカどころではないのではないかと。文部科学省はしっかりと調査してほしいものです。先月、文科省に潜入しているスパイ疑惑について新聞や雑誌で話題となりましたが、文科省は孔子学院について、しっかりと事実関係の調査(特に金銭のながれについての調査)を行い、その結果を公表し、国民の信頼回復に努めていただきたいと思います。