日韓問題について考える(45)。「韓国歴史認識『国民情緒が支配』」ー李栄薫氏ー

産経新聞と李栄薫ソウル大元教授とのインタビュー記事が掲載されていました。(9月18日の産経新聞)。非常に重要な課題ですので、全文紹介します。韓国を覆う重苦しい状況がよくわかります。

ー『反日種族主義』の韓国社会での影響はー

・「批判は予想通りだったが、評価や共感も少なくない。多数ではないが、大きな成果だ」

ー著書への批判は熾烈だったようだー

・「自宅に押しかけての強引な取材や、市民団体の露骨な嫌がらせもあった。警察での事情聴取を受け、告訴もされた。『反日種族主義』への反論本は9月上旬までで計8冊出版された」

ー公開討論会はしないのかー

・「批判本が出るたび公開討論会を要求したが、応じられていない。批判者らは自分たちだけで討論する」

ー反論への再反論として、続編『反日種族主義との闘争』を出版したー

・「このまま黙ってはいられないと思った。事実や記録に基づき具体的に反証、反論した」

ー与党議員ら左派は「売国行為」と批判しているが、保守サイドの反応はー

・「目立った反応はない。政権を批判しても、問題が日本になると沈黙する。個人的に敬意を表しても、公開の場では国民感情を考慮し、落選を恐れ何も言わない。野党の最大の限界だ」

ー歴史研究者や韓日関係の専門家には肯定的に見ている者もいるー

・「今、韓国に韓日関係の専門家なんていないも同然だ。真実を分かっていても、言うべきことを言わない。国民情緒に支配されている間は希望がない。ただ、同感し支持している者も多く、メディアには肯定的な論評もある。韓国は今、岐路に立っている」

ー新作では、いわゆる徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じた韓国最高裁判決を批判したー

・「判決文から原告の主張の相当部分が嘘だと判断した。原告らは『給料をもらったことがない』『日本企業にだまされた』のではなく、『企業の募集広告に応募し、賃金を受け取っていた』ことが判明した」

ー判決に対し日本政府は「請求権問題の『完全かつ最終的』な解決を定めた日韓請求権協定に明らかに反している」との立場だー

・「未払い賃金の支払いを求めるなら、請求権協定に従い、韓国政府を提訴すべきだった。続編では、韓国最高裁の判決を『拭えない黒い歴史』と表した」

ー執筆陣は名誉毀損罪で刑事告訴された。裁判は不利なのではー

・「覚悟はできている。韓国の裁判は政治的な視点の上に成り立っており、裁判の状況は流動的だ」

ー両国関係悪化は「安倍晋三前首相のせいだ」という主張も聞かれるー

・「安倍氏に対する誤解だ。慰安婦問題で日本は何度も謝罪し、日本政府主導で創設されたアジア女性基金から元慰安婦の女性らに償い金が支給された。2015年には政府間の合意で日本から10億円を受け取り、元慰安婦のための財団をつくり彼女らにカネを支給した。だが、文在寅政権は財団を解散させた。国同士の約束を一方的に破棄することは、日本としては当然受け入れられないだろう」

ー元慰安婦の支援団体の前理事長が寄付金をめぐって横領や詐欺などの罪で在宅起訴されたー

・「支援団体は元慰安婦を利用した左派の運動団体にすぎない。元慰安婦の声を代弁し国民を代表しているかのように振舞ってきた。独島の領有権問題もそうだが、韓国は自ら問題をあおり騒いでいる」