大阪の都市制度改革の必要性について考える(53)。過去の大阪府議会を検証する(2)。府議会は府市一元化に賛成だった。
《大阪市域拡張をめぐる府市の論争(左藤・中馬論争)》について検証します。
【左藤・中馬論争の概要について】
昭和38年、市域拡張を主張する中馬市長が大阪市長に就任。以後、大阪市の市域拡張をめぐって府市の間で論争が活発に行われました。昭和45年の第14次地方制度調査会「大都市に関する答申」を境に論争は途絶える。
【大阪府議会での議論】
どのような議論が府議会で行われてきたのか、特に自民党の府議会議員が、どのような発言をされたのか見ていきたいと思います。
・「今日におきまして知事は、近畿は一つである、この考えのもとに立って、府市行政一元化をいかに推進していくかという点を忘れられているんじゃないかと言うことを、私は非常に遺憾に思う次第でございます」(昭和38年、自民、北川石松議員)。
・「今日の大都市問題を解決し、世界の大阪をつくるには、まず足元からやっていかなければならんのじゃないかというふうに私は考えるのでございます。二重行政を撤廃して機構の重複をくずし、冗費的消費を節約いたしまして、現状に即した真に府民のための地方自治を確立することが必要だと思うのでございます」(昭和39年、自民、高橋義久議員)。
・「自由民主党議員団の政調会におきましては、広域行政というものが今後大阪府のあり方の一つの突破口になるんではないか、・・・地方自治の根本理念に立脚した府政の進展をはかるためには、まず大阪府と市の行政の協調関係を一層強化して、広域行政処理体制というものをまず確立すべきではなかろうかというのが私どもの根本的考えであります」(昭和39年、自民、中山太郎議員)。
・「すなわち、府市一元化を実現し、二重行政による無駄遣いを省くことによって、財政的にも立ち直れることは必至であり、また二重行政でなるがゆえに住民がやむなくされている種々な手続等の煩雑さも打開され、都市過密対策等を一つの計画のもとに進め、より大きい行政効果をあげられるならば、府市一元化はまさしく一石二鳥、一石三鳥の効果があるものと信ずるものであります」(昭和40年、民社、浅田貢議員)。
・「10年前に私は、代表質問におきまして、府市行政一元化を赤間知事にお問い申し上げ、府市行政一元化によって生じますところの余剰財源をもって府民の福祉に貢献すべきであるという事を、この席上より質問したのを記憶するのでございます」(昭和40年、自民、北川石松議員)。
・「私の考えまするには、今やこの問題〔府市行政の一元化〕は議論のときにあらず、調査、実行のときであると、かように確信をするのでございます」(昭和41年、自民、梅本敬一議員)。
・「少なくとも住民の望んでおりますところの事務の簡素化、経費の節減、二重行政の排除等を図るために、大阪府市行政の一元化を実現しなければならないと思うのであるが、知事の決意のほどをお伺いしたいのであります」。「今日府民の幸せのために、府市行政の一元化が急務中の急務と考えられるのでございます」(昭和42年、民社、岩見豊明議員)。
・「すなわち府市行政の一元化こそ最も必要であり、かつ重要なものであると考えるものであります」(昭和42年、自民、吉村鉄雄議員)。
このように自民を含め各会派とも、府市行政一元化、二重行政の解消の推進を求めていることが分かります。だとすればいったい、自民党をはじめ、今の府議会議員たちに何が起こったのでしょうか。同じ党名を冠していても、断裂し変質したのはなぜなのでしょうか。何故大義を投げ捨てたのでしょうか。理解の範疇を超える事であり、戸惑うばかりであります。