大阪の都市制度改革の必要性について考える(8)。基礎自治体の役割とは。

橋下前市長は平成26年度予算に関する説明の中でこのように述べてます。「私は、何より活力ある大阪を取り戻したい、今こそ大阪を再生させなければならないと考えております。活力ある大阪を取り戻すためには、まず、現役世代が継続的に活力を生み出せるよう支援し、その活力を高齢者にも還元する流れをつくらなければなりません。また、その活力による成長を通じて、市民の安全・安心を守る取り組みを充実すると同時に、未来への投資を行い、それをまた成長につなげる好循環を実現しなければなりません。あわせて、市民による自律的な地域運営を支援し、市民生活の安全・安心を支えるコミュニティーを活性化させ、自助・共助の力を取り戻す必要もあります。これまでの取り組みをさらに発展させ、現役世代への重点投資や大阪の成長に向けた府・市一体の取り組み、市民生活の安全・安心の確保など政策転換を推進するとともに、市政改革を強力に進め、市政に定着させていきます」と(平成26年5月)。少子化問題が解決しない限り、超高齢化社会問題を乗り切っていくことはできません。東京大学法学部教授の金井利之先生は『超高齢社会では少子化対策こそ自治体の役割』であるとして次のように述べておられます。「高齢者政策は勿論重要であるが、それだけを求めていたのでは、政策編成として持続可能性がない。超高齢社会で重要なのは、高齢者政策と少子化対策とを並行して行うことである。都市問題への対処は、都市政策だけではなく、地方圏政策が必要であるのと同じなのである。こうした政策編成をパッケージとして提示することができてはじめて、超高齢社会への対処が可能になる」と。橋下前市長の施策方針はまさしく時代を見据えたものということができます。このような少子高齢化社会の喫緊の課題を担う基礎自治体の役割はますます重要性を増しているといえるでしょう。大阪では広域を担う役所と基礎自治を担う役所に役割を分けて、それぞれが広域と基礎的自治の役割リに専念できるように、大阪府庁と大阪市役所を再編(都構想)しようと試みていますが、少子高齢化社会を見据えると、このことは極めて重要な課題であるといえます。

大阪の都市制度改革の必要性について考える(7)。橋下前大阪市長の言より。

人口減少社会を見据えて、大阪市の都市制度改革の必要性についての言及です。「議員、もうちょっと将来を見越した議論をしていただきたいですね。これ、少子高齢化社会を迎えて、どんどん行政サービスの支出というものは増えていきますよ。一方、歳入は、それは右肩上がりに増えていかないですよ。そうすると、どういうことを考えなきゃいけないかというと、政策について、住民サービスについて選択をしていかなければいけないという、もうそういう時代に今、突入しているんです。どんどん住民サービスをふやしていく、もうそういう時代ではありません。じゃ、住民サービスを選択していくという、その意思決定をやるのに、この260万人単位でやるということがどれだけ大変なことなのか。そっちの方が。もう不可能ですよ。限界ですよ。・・・だから、受益と負担の関係を明確化して、それぞれ大阪市内で5つか7つにおいて意思決定をしてもらう。それは何のためかといえば、少子高齢化時代を迎えて、限られた財源の中で住民サービスはふえるわけがない、その中で選択をしてもらうというその厳しい選択というものを住民の皆さんにやっていただこうと思えば、意思決定の仕組み、これを今の一極集中、中之島集中型を地域分散型にこれは変えていかなきゃいけない。これは地方分権というものそのもの、理念がそういうことです。地方分権というのは、受益と負担の関係を明確化していくという事なんです。それをこの大阪市で、先を見越してやりましょうと言うことです。・・・少子高齢化時代に、もう本当に待ったなしですよ」(平成25年11月)。「本来、住民自治の規模で考えたら、全国で1700ある自治体のうち85%が10万人未満なわけですよ。そしたら、今の24区という視点から見れば、今の区役所は何の権限もないし、財源もないわけです。だから、今のこの区役所、大阪市の出先機関である区役所をもっと拡充していこうというのが、この大阪都構想のもともとの考え方なわけですから、財源についても、今、大阪市が持っている財源、減るわけでもありませんので、住民サービスに使う分はきちっと確保した上で、そして各区間の格差というものをきちんとルールに基づいて透明性のある形で是正をしていく。そして、選挙で選ばれた長が大阪市内に複数人誕生することによって、きちんと大阪市内、地域の実情に応じた決定をする。・・・・限られた財源の中なんですから、これからどんどんお金がふえるわけじゃないので、選択をしてもらうということが一番重要、これがニア・イズ・ベターですよ」(平成25年11月)。