大阪の都市制度改革の必要性について考える(14)。人口減少社会への提言。

元千葉県我孫子市長、中央学院大学教授の福嶋浩彦氏。

「これから30〜50年は出生率が多少上昇しても、日本全体の人口減少は確実に進む。子どもを産む世代の人口が既に決まっているからだ。《従来の社会の仕組みを維持していくには人口が減ると困る、何とか食い止めよう》ではなく、人口減少の中で皆が幸せになる、持続可能な仕組みに変えていくことが必要だ。自治体の首長には、こうした方向をしっかりと住民へ提起する勇気と、住民合意をつくり出して行くリーダーシップが求められている」。

「自治体は、人口奪い合いの不毛な競争をするのではなく、地に足がついた、持続可能な地域づくり戦略を立てる必要がある」。

「人口減少社会というのは、特別な地域だけでなく、普通の自治体が全て人口減少する。その時、今までの社会の仕組みを維持し、従来通りのやり方を続けるには人口が減ると大変だ、と言っている場合が多い。そうではなく、人口減の中で皆が幸せになる仕組みとやり方に変える必要がある」。

「人口減少社会では、何をやり、何をやめるか、適切に判断する必要がある。そのための住民の合意づくりが問われる」。(Governance February 2016)

大阪の都市制度改革の必要性について考える(13)。新たな大都市制度について。橋下前大阪市長の言より。

「新たな大都市制度は、現在の大阪府、政令市というそういう枠組みを超えて、今の大阪の都市の実態に合わせた行政機構をつくり上げる、そういう取り組みだと思っております。大阪市域内、また大阪市域外というような形で、ある意味、区域を分断したような形での行政機構のあり方を抜本的に改めなければなりません。かって大阪市域内に大阪全体の7割の人口が集中していた時期においては、大阪市域内で大阪を引っ張るということもそれなりに合理性があったのかと思いますが、今においては、大阪府域内の人口のうち、大阪市域内には3割の人口しか住んでおりません。また、非常に大阪府の面積は全国の中でも2番目に小さい、そういう府県でありまして、にもかかわらず、人口は日本の中でも3番目に多い880万人という住民が住んでおります。まさに大阪は、今、大阪市域だけで物事を考えるのではなく、大阪府域全体として大阪を捉える、そのような大阪の都市構造の実態に合わせた行政機構というものをもう一度、一からつくり直さなければなりません。・・・この狭い大阪の中に、大阪府域内に大阪府庁と大阪市役所、大阪府議会、大阪市議会という2つの意思決定機関が併存することは、これは大阪府民、大阪市民のためになりません。このような2つの意思決定機関が狭い地域内にあることから、これまで大阪府政、大阪市政を振り返れば莫大なロスを生み出してきました。・・・ですから、大阪全体の広域機能、広域行政機能というものを一元化し、府域全体の観点から広域行政をしっかりと進めていく、・・二重行政の莫大なロスというものを二度と生み出さない、そういう広域行政機能を一元化する必要があると思っております。

また、大阪市域内においては公選区長、公選の区議会を複数置く必要があるかと思います。260万人の大阪市域内に選挙で選ばれた行政の長が1人だけというのは、これはもう全く住民自治からかけ離れた現状でありまして、住民の皆さんのニーズをきめ細かくくみ取り、きめ細やかなサービスを提供することを考えても、この大阪市域内に選挙で選ばれた行政の長、選挙で選ばれた議会というものを複数置く必要があるかと思います。

新たな大都市制度の問題は、大阪市役所、大阪府庁、そういう役所の縄張り争いといいますか、そういう発想を捨てて、大阪府民、大阪市民のためにどのような行政機構が必要なのか、議会が必要なのか、そういうことを一から考えていく、本当に抜本的な統治機構改革でありまして、大阪市域内のことだけを考えてはいけないし、また、大阪市域内、市域外を分けてもいけませんし、また、大阪府庁のほうも、大阪府庁だけが何か生き残るんだというような考え方もダメです。これは、大阪府庁、大阪市役所、大阪府議会、大阪市議会、大阪府知事、大阪市長という今ある制度を一旦白紙にして、大都市大阪、今の大阪の実態に合わせた行政機構と議会をつくっていく、そういう取り組みでありますので、今の大阪に絶対に必要な構想だというふうに考えております」(平成25年10月本会議)。