改めて思う「朝日新聞の犯した罪は大きすぎる」と。

今、大阪市、大阪市議会はサンフランシスコ市に公設置される慰安婦像等の問題で大きく揺れ動いています。姉妹都市関係にも波及しました。この問題を考えるたびに思うのは、やはり朝日新聞の罪深さであります。

少しさかのぼりますが、平成26年8月6日付け産経新聞夕刊です。そこには

「朝日新聞が8月5、6日付朝刊に掲載した同紙の慰安婦報道の検証記事をめぐり、橋下徹大阪市長は6日『(誤報から)32年間、過ちを認めなかった朝日新聞が白旗をあげたが、言い訳じみている』と批判。『朝日新聞の罪は大きすぎる。ここで収束させてはだめだ』とも述べた。慰安婦報道が国際社会に与えた影響について、朝日自らがさらに検証していくべきだとする見解を示した。朝日は過去に何度も取り上げた自称・元山口県労務報国会下関支部動員部長、吉田清治氏の『慰安婦を強制連行した』との証言を虚偽と認め、記事を取り消した。橋下氏は国連人権委員会に提出され、慰安婦を『性奴隷』と認定した『クマラスワミ報告』が吉田証言を引用していることを指摘。『朝日の報道によって国連の人権委員会がたきつけられた』と指弾した。吉田証言を報じて32年が経過した今年になって、朝日が『強制連行』があったとしていた韓国の済州島で再調査をしたことについては『やっと取材するなんてひどすぎる。どこまで日本を侮辱し続けるのか』と憤った。橋下氏は昨年5月、慰安婦について『(第二次世界大戦)当時は世界各国の軍隊が必要としていた』と発言。世界各国が反省すべきだとし、『日本だけが批判を受けるのはアンフェア』と主張している」以上が当時の産経新聞の報道です。

さらに平成26年8月9日付産経新聞には安倍首相とのインタビュー記事が載っています。

「朝日新聞が取り消した吉田清治氏の強制連行証言が事実として報道されたことにより、日韓の二国間関係に大きな影響を与えた。全ての教科書にも強制連行の記述が載ったのも事実だ。第一次安倍政権では『政府発見の資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を示すような記述は見当たらなかった』という閣議決定を行なったが、改めて間違っていなかったということが証明された。報道によって多くの人が悲しみ、苦しむことになったのだから、そうした結果を招いたことへの自覚と責任感の低下、常に検証を行うことが大切ではないか」という、安倍首相とのインタビュー記事を報道しています。当時の安倍首相のコメントは極めて控えめですが、心中はいかばかりであったかと推察できます。

朝日新聞が招いた災厄は想像を絶するものであります。記事の取り消しだけで済まされるものではありません。朝日新聞はサンフランシスコ市に直接説明をするなど何らかの行動を起こすべきではないでしょうか。改めて誠意ある行動を示していただきたいと思います。

 

大阪の都市制度改革の必要性について考える(54)。過去の大阪府議会を検証する(3)。広域行政機能の統合と二重行政の解消には賛成であった。

《太田房江知事の時代の大阪新都構想》に対する府議会の議論を見てみます。

【大阪新都構想の概要について】

大阪府を廃止し、新しいタイプの広域連合である「大阪新都機構」を設置し、広域行政を総合的、一元的に実施する。市町村は、広域連合である「大阪新都機構」を構成するとともに、国や大阪府から権限移譲を受け、住民に身近な行政を自律的に執行するという内容です。大阪府地方自治研究会が平成16年10月最終報告としてまとめたものです。今の都構想と構図はよく似ています。

【府議会での議論】

自民は、府市の広域行政機能の統合、二重行政の解消に賛成しています。

・「大阪は東京の首都機能を代替できるような都市であるべきではございますけれども、しかし現在の大阪では能力不足、あるいは大阪は強くなる必要があるということで、府市の広域行政機能を統合して一つの強い大阪をつくるという意味で、府の構想の方向性は正しいものだろうと思います」(平成15年9月、梅本憲史議員)

・「その報告書の中で特に共感した部分は、大阪府が都市圏全域の発展に向けた広域調整をより効果的に担っていくためには、現在の大阪府の区域でも狭過ぎるという記述であります。まことにすばらしい提言だと思いました」(平成15年9月、自民、北川イッセイ議員)

・「東京では、品川駅の再整備や汐留の再開発が行われてまいりました。東京に比べて大阪は、そういう点で非常に遅れておると思っております。このままでいきますと、東京、大阪、二眼レフ構造の一角を占めていくというようなことはよく言われておりましたけれども、見過ごすわけにいきませんので、是非ともこの状況を打破していきたい、そんな思いを持っております。・・・このような大阪の衰退の中で大阪の再生は喫緊の課題であり、この解決のためには、大阪府と大阪市との連携を強化し、大阪市が大阪市民のことだけを考えるんではなく、府民のことも考えていかなければならないと思っております」(平成15年9月、自民、北川法夫議員)

・「これからはやはり二重行政を避けた効率的な行政というのが求められているんです。そいう方向で、もっともっと大阪市と大阪府が、本当に理想的な都市というものがどういうものか、行政体というのはどういうものかということを、既存制度を廃止することをあまり嫌わんようにして、とにかく新しいものにチャレンジするというような気持ちに向こう側がなってもらわないいかん」(平成15年12月、橋本昇治議員)

・「今、大阪市は揺れに揺れています。そして、改革への第一歩を踏み出そうとしています。もう大阪府と大阪市でけんかをしている場合ではありません。そんな内ゲバをしている間に、名古屋の背中ははるか遠くになることでしょう。このままだと、大阪は負け組になる。大阪府と大阪市のあるべき関係、パートナーシップの再修繕を模索するべきです」(平成17年5月、民主、西川弘城議員)

公明党も、二重行政解消には賛成。道州制を目指すべきとの主張。

「道州制の導入を進めるにあたっては、大阪新都構想にこだわらず、道州と市町村など基礎自治体との二層性を目指すべきではないかと、このように申し上げさせていただきました」(平成17年5月、柏原賢祥議員)

・「新しい地方自治システム構築の議論もいいけれども、もっと足元の大阪府と大阪市の二重行政の解消に本腰を入れて取り組んでいただきたい」(平成18年9月、三宅史明議員)

このように当時の府議会では、二重行政の解消や広域機能の一元化について、活発に議論されてきたのがわかります。

橋下知事の時代になった時も、自民党の吉田利幸府議会議員は「我が会派は、大阪の再生と将来の発展を考えれば、府と市を解体・再編するワン大阪構想については大いに賛成するものでありますが、今になって、どうして府市再編を打ち出されたのでしょうか。また、大阪府、大阪市を最終的にどのような形に持っていこうとされているのでしょうか、あわせて知事にお伺いします」(平成22年2月)と質問しています。

ところが今の府議会の自民党は大阪市を政令指定都市のまま残し、これまでどおり二元行政・二重行政のままで良いと主張しています。とても同じ政党とは思えません。