《太田房江知事の時代の大阪新都構想》に対する府議会の議論を見てみます。
【大阪新都構想の概要について】
大阪府を廃止し、新しいタイプの広域連合である「大阪新都機構」を設置し、広域行政を総合的、一元的に実施する。市町村は、広域連合である「大阪新都機構」を構成するとともに、国や大阪府から権限移譲を受け、住民に身近な行政を自律的に執行するという内容です。大阪府地方自治研究会が平成16年10月最終報告としてまとめたものです。今の都構想と構図はよく似ています。
【府議会での議論】
自民は、府市の広域行政機能の統合、二重行政の解消に賛成しています。
・「大阪は東京の首都機能を代替できるような都市であるべきではございますけれども、しかし現在の大阪では能力不足、あるいは大阪は強くなる必要があるということで、府市の広域行政機能を統合して一つの強い大阪をつくるという意味で、府の構想の方向性は正しいものだろうと思います」(平成15年9月、梅本憲史議員)
・「その報告書の中で特に共感した部分は、大阪府が都市圏全域の発展に向けた広域調整をより効果的に担っていくためには、現在の大阪府の区域でも狭過ぎるという記述であります。まことにすばらしい提言だと思いました」(平成15年9月、自民、北川イッセイ議員)
・「東京では、品川駅の再整備や汐留の再開発が行われてまいりました。東京に比べて大阪は、そういう点で非常に遅れておると思っております。このままでいきますと、東京、大阪、二眼レフ構造の一角を占めていくというようなことはよく言われておりましたけれども、見過ごすわけにいきませんので、是非ともこの状況を打破していきたい、そんな思いを持っております。・・・このような大阪の衰退の中で大阪の再生は喫緊の課題であり、この解決のためには、大阪府と大阪市との連携を強化し、大阪市が大阪市民のことだけを考えるんではなく、府民のことも考えていかなければならないと思っております」(平成15年9月、自民、北川法夫議員)
・「これからはやはり二重行政を避けた効率的な行政というのが求められているんです。そいう方向で、もっともっと大阪市と大阪府が、本当に理想的な都市というものがどういうものか、行政体というのはどういうものかということを、既存制度を廃止することをあまり嫌わんようにして、とにかく新しいものにチャレンジするというような気持ちに向こう側がなってもらわないいかん」(平成15年12月、橋本昇治議員)
・「今、大阪市は揺れに揺れています。そして、改革への第一歩を踏み出そうとしています。もう大阪府と大阪市でけんかをしている場合ではありません。そんな内ゲバをしている間に、名古屋の背中ははるか遠くになることでしょう。このままだと、大阪は負け組になる。大阪府と大阪市のあるべき関係、パートナーシップの再修繕を模索するべきです」(平成17年5月、民主、西川弘城議員)
公明党も、二重行政解消には賛成。道州制を目指すべきとの主張。
「道州制の導入を進めるにあたっては、大阪新都構想にこだわらず、道州と市町村など基礎自治体との二層性を目指すべきではないかと、このように申し上げさせていただきました」(平成17年5月、柏原賢祥議員)
・「新しい地方自治システム構築の議論もいいけれども、もっと足元の大阪府と大阪市の二重行政の解消に本腰を入れて取り組んでいただきたい」(平成18年9月、三宅史明議員)
このように当時の府議会では、二重行政の解消や広域機能の一元化について、活発に議論されてきたのがわかります。
橋下知事の時代になった時も、自民党の吉田利幸府議会議員は「我が会派は、大阪の再生と将来の発展を考えれば、府と市を解体・再編するワン大阪構想については大いに賛成するものでありますが、今になって、どうして府市再編を打ち出されたのでしょうか。また、大阪府、大阪市を最終的にどのような形に持っていこうとされているのでしょうか、あわせて知事にお伺いします」(平成22年2月)と質問しています。
ところが今の府議会の自民党は大阪市を政令指定都市のまま残し、これまでどおり二元行政・二重行政のままで良いと主張しています。とても同じ政党とは思えません。