今、注目の共産主義について考える(106)。中国の顔認証監視システム。

7月4日の産経新聞7面の河崎真澄氏のコラム”上海余話”の『「悪党は」誰か?』より。中国の話しです。

同コラムに『「昨年は2千人以上が捕まった。今年は1万人を超えるだろう。悪党も科学技術にはかなわない」。貴州省の顔認証システム開発会社トップは胸を張った。同社のシステムは今年4月、江西省で約6万人が集まったコンサート会場で指名手配中の男を検出。警官らが取り押さえたと報じられ、一躍有名になった。河南省の駅では2月、警官がかけたメガネ型監視カメラから乗客の顔を不審者リストと照合、警告が出るシステムが導入された。さらに名門の北京大学ではキャンパスに入る際、顔認証で学生らの身元確認をする仕組みが取り入れられる。不特定多数から不審者を探し出す以外に、あらゆるシーンで顔認証を使った監視の目が光る時代になった。この国に渡航する外国人も監視の重点対象だと、認識しておく必要がある』と書かれています。

外国人も監視の重点対象ということは、我々の考える犯罪者だけが対象になるのではなく、中国国内では政治問題や人権問題で活躍する人たちに対する監視にも、当然この顔認証システムが利用されているということでしょう。産経新聞の「中国、強まる人権弾圧」と題する報道からも推察されます。

共産主義国における最新の科学技術を使った国民(人民)監視システムは悪いSF小説のようで不気味であります。一党独裁体制の維持に危機感を感じる習近平氏はじめ中国共産党の指導者は、最新の科学技術を悪用してまで一党独裁体制を維持しようともがいているということでしょう。しかし、このような科学技術の悪用は 決して許されることではありません。また長く続くこともできないでしょう。

今、注目の共産主義について考える(105)。中国、強まる人権弾圧。

天安門事件から29年。1989年6月4日に起こった天安門事件とは、「1989年6月3日深夜から4日未明にかけ、中国政府が軍を動員し、北京の天安門広場などで民主化を求めて集まっていた学生や一般市民のデモ隊を武力弾圧した事件。当局の発表だけでも  事件全体で約300人が死亡。死亡者約2600人、負傷者約1万人などとする説もある。最高指導者の鄧小平らが運動を『動乱』と断定したことが弾圧の引き金となった」。「事件で子どもを亡くした親の会『天安門の母』は今月1日付で習近平国家主席に宛てた声明を発表し、『悲惨な事件は歴史になったが、災難は終わらず傷口は癒えていない』と強調。『真相と賠償、責任追及』を求め続けると訴えた」と言う。

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さらに「人権派弁護士の相次ぐ拘束や海外亡命者の監視など、中国の人権状況は深刻さを増す一方だ」と、中国の強まる人権弾圧の状況について報告しています。

「習近平指導部の下で弾圧は強まっている。昨年7月に事実上獄死したノーベル平和賞受賞者で民主活動家の故劉暁波氏の妻、劉霞さんは法的根拠がないまま当局の軟禁が続く。今年1月、憲法改正に関する書簡を公表した人権派弁護士の余文生氏は、4月に国家政権転覆扇動容疑などで逮捕された。妻の許艶さんによると、これまで弁護士が留置場を20回訪れたが、接見は一度も認められていない」という。