国家やメデイアがつくる「フェイク」について考える(4)。中国共産党一党独裁政治とメディア。

石平氏は「Hanada」10月号に「中国『一党独裁』体制の驚くべき中身」と題して寄稿しています。その中で、

「現代中国の政治体制は『一党独裁』であることは、大半の日本人が知っている。・・しかし、この『一党独裁』体制の本当の意味、その驚くべき中身を、日本のマスコミが果たしてわかっているかどうかは甚だ疑問である」と。

そして、政治権力、人民解放軍、警察、検察、裁判所、外交機構、企業など全てが共産党の完全な支配下にあると指摘しています。

メディアについても、

「さらにもう一つ、共産党が完全に支配しているのが全国の新聞やテレビや雑誌社などのメディアである。『宣伝機関』と呼ばれるこれらのメディアを牛耳るのは、『党支部』と呼ばれる共産党組織であるが、その総元締めの党組織は共産党中央宣伝部だ。新聞社やテレビ局のトップは、各党支部の一員として中央宣伝部の命令に従って党のための宣伝工作を行うことを仕事としなければならない。日本の場合にたとえてみれば、朝日新聞や日経新聞も産経新聞も、そしてフジテレビやテレビ朝日もTBSもみな、毎日のように共産党中央宣伝部の指示に従って共産党を賛美する社説や嘘の記事を書き、中央宣伝部の指示に従って、本来なら伝えるべき真実を隠蔽するのである(ちなみに、現在の日本の朝日新聞の社説を読んでいると、この新聞社がすでに『党中央宣伝部』の命令に従って記事を書いているのではないかと思うこともあるが、これは不肖の私の錯覚だろうか)」と述べています。

中国共産党中央宣伝部の指示通り、真実を隠蔽したり、嘘の情報を流したりするのが中国のメディアであるとすると、その中国メディアの情報をそのごとく報道するということは、そのメディアはすでに中国共産党のメディアと化しているということになります。

石平氏は、最後に「このように、中国の『一党独裁』とは、中国共産党がこの国の軍隊・警察・メディア・対外機構のすべてを完全に支配下に置いていることであるが、この一党独裁の末端組織は、外国であるはずのわれわれの近くにも侵食してきている。実に恐ろしいものである!」と締め括っていました。

 

日韓問題について考える(44)。北朝鮮情勢は如何に、「金正恩の肉声、なお聞けず」

 北朝鮮の最近の情勢について2人の識者の見解を見ていきます。

最初に東京通信大学教授・重村智計氏の見解です。『朝鮮半島通信146』(Hanada 2020,10)より一部抜粋し紹介します。

「表現変化の理由。いわば唯一領導体系は、すべての幹部が指導者にだけ報告し、指示を仰ぐ『縦の指導』なのだ。そのため書記同士や軍の幹部たちが勝手に集まり会議を開く『横の連絡』は禁止された。書記同士でも、二人以上で会談する場合は必ず指導者の許可を得ていた。これはクーデターや反乱を防止するためで、軍の将校や幹部の言動は厳しく監視され、家庭と事務所にも盗聴装置がつけられている。・・・政務局会議の開催と写真の公表は、これまでならあり得ないことだった。しかも報道は金委員長が政務会議を『指導された』とは書かず、会議に『参加され、司会された』と表現したのだ。北朝鮮では、指導者に関する表現は厳しく決められている。他の政務局員と同列になる『参加された』との言葉を使うことも、これまでならありえない。だが、同じ表現と報道が今年五月以降続き、『指導された』が使われたのはたった一回だけだった。なぜ表現が変わったのか。考えられるのは、①金委員長が重体で、影武者が演じているから、②金委員長が考えを変えたから、の二つの理由しかない。・・金委員長の身に何が起きたのか、引き続き注視が必要だ」。

次に、9月9日の産経新聞『正論』に掲載された西岡力氏の見解を一部紹介します。

「北朝鮮で異常な出来事が続いている。その原因は、金正恩委員長の個人資金である党39号室の外貨が制裁の結果、枯渇してきたことだ。安倍晋三首相の置き土産と言うべき最強圧力が効果を上げてきたのだ」

「その上、金正恩政権を決定的に追い詰める事態が起きた。8月25日に、中国政府が北朝鮮との国境を完全に封鎖するという挙に出たのだ。中国政府が中朝国境の税関を閉鎖してモノの流れを止めると同時に、北朝鮮人の中国入国をストップさせた。・・・現在、海外にいる北朝鮮関係者は多額の外貨上納を迫られている。ハッカーらも例外ではないはずだ。ところが北朝鮮ハッカーが金融機関を襲っていることが広く知られるようになり警戒が厳しくなってきた。そこで、禁じ手とも言える中国人の口座から金を盗んだのではないか。39号室資金枯渇の影響がここにも表れている。中国が石油や食料なども止めたならば、軍も維持できない。金正恩体制は持ちこたえられない。まさに体制の危機だ」。

金正恩委員長の体調に異変?  39号資金の枯渇?  体制の危機? 

韓国や日本は備えができているのだろうか。