(13)拉致監禁拷問による強制棄教。国連はどのように見ているのだろうか。国連の自由権規約委員会の日本への勧告について。「人権」は政治・思想・宗教の違いを超えて人間に付与された「普遍的価値」である。
国際人権規約について
「国際人権規約は、世界人権宣言の内容を基礎として、これを条約化したものであり、人権諸条約の中で最も基本的かつ包括的なものです。社会権規約と自由権規約は、1996年の第21回国連総会において採択され、1976年に発効しました。日本は1979年に批准しました」(外務省ホームページ)と書かれています。
日本も批准した国際人権規約、国連の自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)委員会は2014年7月、日本における「拉致監禁問題」を取り上げ、懸念するとの総括所見を発表しました。以下の通りです。
【拉致及び強制改宗】21、委員会は、新たな宗教活動へ強制改宗させることを目的とした、家族による(家族に一員に対する)拉致及び強制監禁がなされているとの報告を懸念する(第2条、第9条、第18条及び第26条)。
締約国は、全ての人が宗教や信仰を持つ又は選ぶ自由を害されうる強制を受けない権利を保障するための実行措置を取るべきである。
【「公共の福祉」を理由とした基本的自由の制限】22、委員会は、「公共の福祉」の概念が曖昧で制限がなく、規約の下で許容されている制限を超える制限を許容し得ることに、改めて懸念を表明する(第2条、第18条及び第19条)。
委員会は、前回の総括所見を想起し、締約国に対し、第18条及び第19条の各第3項に規定された厳格な要件を満たさない限り、思想、良心及び宗教の自由あるいは表現の自由に対する権利への如何なる制限を課すことを差し控えることを促す。
このように自由権規約委員会は日本政府に勧告しています。
自由権規約第18条
1、すべての者は、思想、良心及び宗教の自由についての権利を有する。この権利には、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由並びに、単独で又は他の者と共同して及び公又は私的に、礼拝、儀式、行事及び教導によってその宗教又は信念を表明する自由を含む。
2、何人も、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない。
3、宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。
4、この規約の締約国は父母及び場合により法定保護者が、自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。
自由権規約第19条
1、すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
2、すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
3、2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制限を課すことができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、つぎの目的のために必要とされるものに限る。
(a)他の者の権利又は信用の尊重
(b)国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
これに対する日本政府のコメントは以下のように外務省ホームページに記されています。
外務省のホームページによれば、「ご指摘のような事例は把握していない。一般論としては、捜査機関においては、刑罰法令に触れる行為があると認められる場合には、法と証拠に基づき、適切に対処している。また、法務省の人権擁護機関では、人権擁護委員法及び事件侵犯事件調査処理規定に基づき、宗教・信条に基づく差別を含む人権侵害の申告等を踏まえて所要の調査を行い、事案に応じた適切な措置をとっている」と回答しています。
さらに『日本国憲法第38条第2項は、「強制、拷問もしくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない」と規定し、これを受けて、刑事訴訟法第319条第1項は、「強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものではない疑いのある自白は、これを証拠とすることができない」と規定しており、拷問あるいは不当な処遇によって得られた自白が証拠として採用されることはない』と。
以上が日本政府の国連自由権規約委員会に対する回答です。
しかし、このような日本政府の回答は、国内で起こっている重大な人権侵害事件に誠実に対応しているようには思われません。