朝鮮半島で何が起きているのか?(7)。勇気ある人たち、『赤い水曜日』の著者・金柄憲(キム・ビョンホン)
韓国で出版された『赤い水曜日』(著者、金柄憲)について黒田勝弘氏が文春オンラインで【「慰安婦被害者はいない」韓国で出版された“慰安婦問題のタブーを破る本”『赤い水曜日』驚きの内容とは?】と題してこの本を紹介していました。その一部を下記に記します。
著者の金柄憲氏(キム・ビョンホン、52歳)は成均館大学出身で在野の歴史研究者である。これまで左翼偏向がひどく反日色の強い教科書に対する批判活動を展開してきた。特に学校教科書で慰安婦問題が日本軍による強制連行説として証拠抜きで“暴力的”に記述され、教えられていることに疑問と怒りを感じたのが慰安婦運動糾弾に乗り出した動機という。著者は『赤い水曜日』の「あとがき」で、韓国で定説とされている日本軍慰安婦をめぐる「強制動員説、性奴隷説、戦争犯罪説」は運動団体のウソの扇動による虚偽であると断言。「慰安婦問題の本質は貧困であり、貧しさによってもたらされた悲しくも恥ずべきわれわれの自画像である」「もう人のせいにするのはやめよう」「問題解決の前提はウソをやめ正直になることだ」と主張している。
本書では慰安婦証言の検証対象として内外でよく知られた代表的人物の3人がしばしば取り上げられている。一人は1991年、初めて日本軍慰安婦被害者を名乗り記者会見したことで有名な金学順。それに政府から人権活動家として勲章まで授与された金福童。もう一人は今も健在で資金疑惑を最初に問題提起し、慰安婦問題の代弁者格になっている李容洙。いずれも証言には大きなブレがあり、彼女らの経歴に日本軍による強制連行や慰安婦強制の証拠はないとしている。
著者は慰安婦証言の矛盾やウソ、あいまいさ、いい加減さを踏まえ、韓国におけるいわゆる慰安婦裁判の「でたらめ判決」も厳しく批判している。証言が事実かどうかという裁判では不可欠の“事実の究明”や、韓国で定められた「慰安婦被害者法」との整合性などお構いなく、日本非難を前提にした結論先にありきの判決がまかり通っていると批判している。
著者は、元慰安婦たちの証言を検証し、韓国での法的根拠になっている定義に照らし合わせた場合、日本軍慰安婦被害者なるものは存在せず、そこに加害者がいたとすればそれは日本軍ではなく「ひどく貧しい国で自分の子どもを物のように売り渡した父母や、それを商品のように紹介し紹介料を手にしていた業者、そしてそれを性的商品として軍人や多くの男たちから金をせしめていたお抱え主だった」という。その結果「日本軍は慰安所で定められた費用を支払い、性的欲求を解消する顧客にすぎなかった」といい「慰安婦問題はわれわれが解決しなければならない問題であって、決して他国にその責任を押し付けることではない」と書いている。
そして著者は慰安婦にかかわる謂わゆる「強制性」を、外交的解決のため曖昧かつ安易に認めた「河野談話」や、外交的配慮による近年の「政府間合意」についても、慰安婦問題の虚構性を広げる結果につながったということで厳しく批判している。
以上のように紹介しています。慰安婦証言の検証については本来、当時の宮澤内閣の河野洋平官房長官が行わなければならなかったのですが、検証を行わず、証言を鵜呑みにして、強制性を認めたかのような官房長官談話とその後の記者会見でのコメントがさらに世界に誤解を与える結果となりました。他者任せではなく日本政府による検証を強く求めたいと思います。早く日本語訳が出版されることを願っています。