日韓問題について考える(17)。『亡国の予感』ー李栄薫氏ー

李承晩学堂校長でソウル大学元教授、『反日種族主義』の著者の一人李栄薫氏は、

「何人かのアマチュア社会学者たちが、何人かの職業運動家たちが、この国の外交を左右しました。全国民が彼らの精神的捕虜となりました。全国が、彼らが巫女となって繰り広げる死霊祭の会場になりました。シャーマニズムの賑やかなお祭りでした。いたるところに慰安婦を形象化した少女像が建てられました。誰も犯すことのできない神聖なトーテムでした。この本に載せた私の慰安婦関連の三つの章は、この全ての騒動がいかに軽薄な精神文化に立脚したものなのか、学術的に見ていかに実証からほど遠い虚偽に基づいたものなのかを暴露しました。その偽善のありように、書いている私も背筋が寒くなるほどでした」

「どんな国であれ、数人の巫女が繰り広げる死霊祭に全国民が動員される精神文化に縛られているとしたら、その国に希望があるでしょうか。そんな水準の外交で一貫していたら、その国は激動する国際社会で生き残ることができるでしょうか。反日種族主義は、この国を再び亡国の道に引きずり込んで行くかもしれません。109年前、国を一度失った民族です。その民族が未だにその国を失った原因が分からずにいるのであれば、もう一度失うのは大して難しいことではありません。憲法から『自由』を削除しようと叫ぶ勢力が政権を握っているのではないですか。半数の国民が、彼らを支持しているのではないですか。亡国の予感を拭い去ることができないのは、その原因を作っている反日種族主義の横暴に対し、この国の政治と知性があまりにも無気力なためです」

「遅ればせでも大きな討論が起きるなら、天のくださった祝福です。もしも大きな騒動が起こるなら、我々の実証と理論が我々を護る槍と楯になるでしょう。我々の拠って立つところは自由です」

李先生が言われるように、韓国の国民の半数が今得ている自由と民主主義を放棄し、チュチェ思想によって武装された北朝鮮と統一国家を樹立しようと考えているならば、全くの驚きであり理解の範疇を超えるものと言わなければなりません。何故なら、北朝鮮には言論の自由も無ければ、政治結社の自由もなく、信教の自由もありません。あるのは個人独裁、人権無視の抑圧、強制収容所などであります。かつて日本での北朝鮮帰還運動は、北朝鮮から「北朝鮮は地上の楽園だ」と言われ、日本のマスコミもそれを積極的に拡散しました。多くの人々は金日成の言葉やマスコミを信じて、北朝鮮に渡っていきました。しかし行ってみれば、そこは「楽園」ではなく「地獄」でした。「生き地獄」だったのです。少数の脱北者以外、北朝鮮に渡った人で日本に帰ってきた人は一人もいません。ましてや当初約束された自由往来も未だに実現していません。北朝鮮の言う「地上の楽園」とは真っ赤な嘘でした。騙されたのです。さらにその後において、日本から北朝鮮に拉致された、身体的拘束を受け強制的に連れていかれた人が大勢います。悲惨極まりない事件であります。しかし韓国にもたくさん拉致被害者がいると聞いています。このような事実が明らかになっているにもかかわらず、なんと韓国の国民の半数が自由と民主主義を放棄するという。そしてその先頭に立っているのが文在寅大韓民国大統領だという。北朝鮮に対する幻想や歴史に対する虚偽が蔓延し、マスコミがそれを拡散する、韓国でもかっての日本と同じことが繰り返されています。何という悲劇、なんという理不尽。李栄薫氏によればシャーマニズム的「反日種族主義」が、国民から良識を奪い、嘘と誠を混同させ、幻想に酔いしれているということです。願わくば、韓国において李栄薫先生たちが執筆された『反日種族主義』という本が韓国内で大きな騒動となり、先生たちが研究し築かれた「実証と理論」が韓国を守る「槍と楯」となることを切に願っています。